modeレーベルのThe Complete John Cage Editionからの1枚。
ケージと合唱曲って一見結びつかない気もするのですが、どの曲も合唱の純粋な響きをうまく生かしたものとなっています。
FOUR2、FIVEといった後期のいわゆるナンバーピースものは持続音を中心にしている作品ですから合唱の響きの美しさを引き出せるのは予想できましたが、意外な収穫はHymns and Variationsという1979年の作品でした。
ある賛美歌から幾つかの声部を部分的に取り除いて歯抜け状態にしたり、音を引き伸ばしたりというシンプルなアイデアの作品ですが、結果としては希薄な調性感のある断片的なハーモニーがぽつぽつと表れては消え、という音楽になっていて、しかももとの賛美歌の雰囲気もわずかに残っている、という絶妙な仕上がりになっています。
ケージがシェーンベルクの弟子だった時に「君には和声の感覚が欠如している」と指摘され、リズムの探求に走ったのは有名な話ですが、ここに収められている合唱作品は極めて美しいハーモニーに満ち溢れています。


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