2003年8月アーカイブ

バッハのこの大作は楽器指定がないので様々な編成で演奏されていますが、ここではエマーソン弦楽四重奏団の演奏を紹介したいと思います。
弦楽四重奏による演奏としてはジュリアード弦楽四重奏団のものが有名かと思いますが、エマーソン弦楽四重奏団の演奏はジュリアードの物に比べて全体の演奏時間が10分ほど短くなっていて、1枚のCDにぎりぎり入る程度になっています。という訳で、演奏はかなりきびきびしたものとなっていますが、このテンポ設定のお陰で長大なこの曲集を集中力を保ったまま聴く事が出来るし、楽想が次から次へと溢れ出てくるような効果もとてもいいです。

「フーガの技法」でこの演奏と対極をなすのがシェルヘンによるオーケストラ版でしょうか。オーケストレーションは非常に論理的な観点からなされていますが、ロマン派的な演奏スタイルも影響して、その響きはマーラーや新ヴィーン楽派のようですが、シェルヘンのバッハの音楽に対する深い洞察があまりにも素晴らしいので、演奏スタイルの古くささを全く感じさせません。

マイケル・ブレッカーのこの新しいアルバムはギル・ゴールドスタインのアレンジによるラージ・アンサンブルとの共演によるものです。このアンサンブルはトランペット、トロンボーン、ホルン、フルート、クラリネット、オーボエ、ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ、ギター、ベース、ドラム、パーカッションという編成でクラシカルなオーケストラやビッグバンドのどちらとも違う独特な色合いを持っています。ヴァイオリン以外の全ての楽器は1人ずつなのでひとりひとりのサウンドが主張していて、その集積が生み出す音色の混ざり具合がとても面白いです。

この素晴らしいアンサンブルに触発されてか、マイケル・ブレッカーのプレイも冴え渡っています。
この人のテクニックはほんとうに見事なので、どんな速いフレーズを吹いてもなんでもないように聞こえてしまい、それが逆にハートのないメカニカルなものに感じられることもある、という欠点を持っているのですが(といっても相当高いレベルでの小さな不満です)、ここではいつになく熱いテンションを感じる事ができ、それがいつもながらの超絶技巧と結びつく事で凄まじい世界を作り出しているのです。

ほとんどが彼のオリジナル曲ですが、込み入ったリズムやハーモニーの仕掛けが効果的ですし、ファンクっぽいナンバーがあったりと変化にも富んでいて、何度も聴きたくなります。

昨日のヘリカルのリンクがもう切れてしまったので、ドイツ語ですがこちらの記事を紹介しておきます。

オーストリアで軍用ヘリの空中ダンス ということですが、これ実はシュトックハウゼンの「ヘリコプター弦楽四重奏曲」のコンサートなんですね。映像の方を見ると、ほんの数秒ですがシュトックハウゼンとスージーが写っています。
しかし、なぜかニュースの中ではシュトックハウゼンの名前は一度も出てきません。
ニュースでは触れられてはいませんが、このコンサートはシュトックハウゼンの75歳の誕生日を祝う企画でもあります。

週末は仕事で長野で2泊しましたが、大接近している火星を肉眼ではっきりと確認する事が出来ました。どの星よりも明るく赤く光る火星を実際に見るのはとても興奮します。

それにしても、音楽やってるせいか、火星をみるとホルストの「惑星」の「火星」の5拍子のリズムやシュトックハウゼンのAriesのメロディーが頭を駆け巡ってしまいます。。。

cover林檎姫のプロモを集めたDVDの最新作です。
やっつけ仕事、真夜中は純潔、茎、迷彩、映日紅の花、la salle de bainの6曲のプロモとおまけ映像が収録されています。最後のはセカンド・アルバムのテクノ風なアレンジがかっこよかった「浴室」をかなり懲りまくったオーケストラ・サウンドにアレンジし直したものでなかなかヨロシイです。

私は基本的にプロモ・ヴィデオというものは好きではないのです。なんか音に合わせて口パクで映像を無理矢理合わせてる感じが嫌だし、それは林檎姫の初期のプロモもそうだと思ったのですが、ここにきて映像スタッフも林檎姫のキャラクターというものをよく理解してきて、なかなかうまい映像をくっつけられるようになってきたように感じるのです。
特に「やっつけ仕事」の林檎姫はもちろんバンド全員が和装でライブしていて、客も全員和装でなんだか変なポーズで踊っていたりとか、林檎姫の(意図された)キワモノ路線を惜しげもなく踏襲した企画にいたく萌えるのです。
「真夜中は純潔」の70年代アニメを思わせるなんともチープでわざとらしい映像もたまりません。

でも、やっぱり林檎姫はライヴ映像の方がずっと面白いです。
「下克上エクスタシー」「発育ステータス」「賣笑エクスタシー」の3種のライヴDVDが出ていますが、どれもお勧めです。「下克上〜」がファースト、セカンドの名曲がぎっしり詰まっているのでこちらをまずご覧になると良いかと思います。
それにしても、やたらと「エクスタシー」という言葉を濫用してますな、姫は。

シュトックハウゼン講習会の売店で買ってきました。
シンセの持続音を中心とした電子音楽ですが、これはかなりイイです。
この手のものといえば「オクトフォニー」がすぐ思い浮かびますが、「オクトフォニー」の様など派手で重厚なサウンドではなく、音数を極端に節約したスリムな作りになっていますが、なぜかスカスカな感じがしないのです。
ひとつひとつのサウンドのプログラミングがものすごく独特で非常に強烈な個性を持っていることと、サウンドの立ち上がりの多彩さ、時折表れるプヨプヨプヨといったようなサウンドのゆらぎが極めて効果的で50分という長い演奏時間にかかわらず決して聞き飽きる事がありません。
カティンカの声も電子的にモジュレートされながら巧みに挿入されていますし、シュトックハウゼンがめちゃくちゃ普通に「Mittwochs-Gruss」としゃべるところは(個人的には)妙にぶっとびます(笑

ひょうひょうとしたポップな感覚も独特で、この作品は結構テクノ世代の人に受けそうな感じがします。特に、クラスターやコンラート・シュニッツラーなどジャーマン・ロック系の電子音楽を好む人なら絶対気に入ると思います。

本日キュルテンより戻ってきました。

とりあえず簡単に報告を。

1. お陰様で今回も受講生のコンサートで歌う事が出来ました。
2. 今回初演されたRechter Augenbrauentanzはなかなか面白い曲でした。
3. 「カレ」の4チャンネルのテープのプロジェクションによる上演は予想をはるかに上回る素晴らしさでした。
4. 今回のコンポジション・セミナーのテーマであったHoch-Zeitenのテキストは例年を上回る分厚い充実したものでした。この曲はフォルメルをもとにしつつ作曲されていますが、細部の構造は徹底的にセリーを用いて作曲されていて、テキストに載せられた膨大なセリーのスケッチは50年代のそれを思わせます。
5. これが一番重大な事だと思いますが、ピアノのクラスの講師でピアノ曲のI〜XIV全曲を演奏する予定だったエレン・コルヴァーが直前(何日前というレベル)になってキャンセルしました。足を折って入院、という理由ですが、講習会スタッフは大慌て、結局は以前から受講生として参加していたベンジャミン・コブラー、フランク・グートシュミットという二人の若いピアニストが代役で演奏しました。ベンジャミンがI, II, III, IV, V, VII, VIII, IX, XI、フランクがXを演奏しましたが1週間で急遽準備したとは思えない素晴らしい演奏でした。
VI, XII, XIII, XIVは演奏されませんでしたが、その代わりに「コンタクテ」(電子音楽のみの版)、「少年の歌」、Hoch-Zeiten(5チャンネルのテープのプロダクションによる上演)が演奏されました。特に「コンタクテ」に対する聴衆の反応が異常に凄まじく、シュトックハウゼンが急遽、別の日にもう一度演奏することを決めたほどでした。
ちなみにエレン・コルヴァーの件に関してはシュトックハウゼンから説明があり、ピアノのクラスはフランクとベンジャミンの二人が講師となって教える事になりましたが、シュトックハウゼンの話のニュアンスからはエレン・コルヴァーはおそらく来年以後戻ってこず、この二人のどちらか、あるいは両者が新しい講師として教える事になりそうです。

「シュトックハウゼン見聞録」にEUROPA-GRUSSとSTOP und STARTの記事をアップしました。明日(木曜日)にキュルテンへ出発するので、まさにギリギリセーフでした。今年のドイツはかなり暑いらしいですが、湿度が少ないだけ日本よりはましでしょうか?

ケージ晩年の打楽器4重奏のための作品。この曲は実は日本で世界初演され、私はその場に立ちあっていました。
トレモロなどで引き伸ばされた打楽器の音色が断続的に表れては消え、という典型的な彼の晩年のスタイルによる作品ですから、初期のにぎやかな打楽器アンサンブルの作品群とは全く作風が異なります。
そういえば4人の奏者全員がレインスティックを用いるFOUR3もなかなか気持ちの良くなる作品です。

この作品はあらゆる音楽の中でもっとも私の心に訴えかけてくるものの一つですが、この作品が完成されず、モーツァルトの才能には到底及ばないジュスマイヤーによって補作されたという歴史的事実がよりこの作品の運命の悲劇性を高めていると思います。

合唱やソロでこの曲を何度も歌っていますが、ともかくこの作品を演奏できる形に持っていったジュスマイヤーに感謝するとともに、彼の作曲技法がもっと洗練されていれば、ということを毎回痛感するのです。現在の研究ではスコアのどの音符がモーツァルトの筆によるものなのかというのが、はっきりと分かっているのでそれをもとに何人かの音楽学者が新たな完成版を作っていますが、個人的にはバイヤー版かレヴィン版がベストかな、と思います。

バイヤー版は割と控えめにジュスマイヤーの稚拙な部分を直し、レヴィン版はもっと大胆に踏み込んだ改訂を行っていて、LacrimosaのあとにAmen Fugaが繋がるように書き直し、SanctusやHosannaにはかなり大胆に手を加えていてかなりモーツァルトっぽい感じを出すのに成功しています。
バイヤー版はアーノンクール(ただし合唱がいまいちなのが痛いです)、レヴィン版はマッケラスのものがスタンダードかなとは思いますが、バイヤー版を使ったバーンスタインの演奏は壮絶です。

他の晩年のバーンスタインの演奏同様、主観入りまくりのどろどろの演奏でテンポも劇遅でモーツァルトの様式を完全なまでに逸脱していますが、そんなことはどうでも良くなってしまう強烈な説得力には完全に降伏してしまいます。

彼女の2ndアルバムはまってしまったついでに、1stアルバムの「花園」も買ってみました。アコースティックなサウンドが全体を支配している2ndに比べて、こちらの方はロック魂溢れるビートやエレキ・ギターがばりばりに使われていますが(メロトロンなんかも密かに使って泣けます)、アコギのみをバックに淡々と歌う場面も多く、全体的な印象としてはそれほど差がありません。

曲の完成度でいえば2ndの方が格段に素晴らしいと思いますが、1stがつまらないかというと全然そうではなく2nd同様「捨て曲」というものが一切ありません。
個人的にはListen to meで、はじめはアコギ一本で淡々と歌っていたのが、突然のシャウトと共に全ての楽器が突然弾き始めサビにいくところなどは何度聴いてもガツンときます。

彼女の歌声は、本当に素晴らしいですね。。。
彼女の声には、宇多田ヒカルとかBjörkなど一流のシンガーが持っている心の琴線に触れる周波数帯(具体的な数値は知りませんけど)の倍音が多く含まれているように聞こえます。
あとフレーズの作り方もツボを得ていますね。

といってもグロではありませんのでご安心を。
コチラです。
ちょっとクラクラ来ます。

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おしらせ

双子座三重奏団うるう日ライヴ
2012年2月29日19:00-
門仲天井ホール

双子座2012チラシtogo.jpg

中川俊郎:バッハーズ・アロウ
森田泰之進:こうふくのしま
鈴木治行:蛇行
山本哲也:スライドホイッスル三重奏曲
ケージ:ラジオ・ミュージック
ほか

出演:
曽我部清典(トランペット)
中川俊郎(ピアノ)
松平敬(声)

コンサート詳細はこちらまで

■タリス:40声のモテット
(一人の歌手による多重録音)

ご試聴、ご購入は以下まで
iTunes
e-onkyo music
OTOTOY

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》

 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006
平成22年度文化庁芸術祭
レコード部門優秀賞受賞作品

文化庁芸術祭シンボルマーク

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ご購入は以下まで:
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