2004年6月アーカイブ

coverボサノバ好きな人ならこの人の孤高の素晴らしさはご存知かと思いますが、この東京でのライヴ盤も当然ながら非常にハイレベルな仕上がりになっています。当初はアルバムにして発売する予定はなかったので、たまたま記録用に録っていたDAT録音からマスターを作ったとのことで、音質に関しては最高級ではないですが、会場の雰囲気をよく捉えています。
このライヴの行われたのは東京国際フォーラムAホールというところですが、行ったことのある方ならご存知でしょうけど、とてつもなくバカでかい会場なのです。そこであのボソボソ歌うスタイルでのギターの弾き語り、という会場と音楽のギャップがものすごく高いライヴを行ったのですが、録音を聴く限りでは自分の部屋で気楽に歌っているように聞こえ、曲間の拍手で、ああ、あのバカでかいホールでライヴやっているんだ、と気づくほどです。
逆に言うとそこまで聴衆が集中して彼の演奏に聴き入っていたということですが、ジョアン・ジルベルト自身もそこに大いに感動して今回のアルバム発売を決めたようです。

どうでもいいことかもしれませんが、このアルバムの冒頭、彼が聴衆に向かって一言日本語で「コンバンハ」と語りかけますが、このしゃべり方がもうすでに彼ならではの世界を表現して、思わずそこだけサンプリングして警告音に使いたくなるほどです(笑

ちなみにこのライヴに関して「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載が始まってますが、ライヴの様子がよく伝わってくるのでよろしければこちらもご覧下さい。
ほぼ日刊イトイ新聞 ー ボサノバをつくった男。

covercover知らない間にドン・チェリーのレアなこの2つのアルバムが再発売されていました。どちらも70年初頭の録音なのですがベース、ドラム、タンブーラといったシンプルな編成による演奏でドン・チェリーの独自の音楽性がダイレクトに伝わってきます。ドン・チェリーというとオーネット・コールマンのグループでポケット・トランペットを吹いているイメージをまず思い浮かべる人が多いかと思いますが、彼のリーダー作はそうしたイメージとは遠く離れたワールド・ミュージック的なものが非常に多いです。彼のプレイはフリー・ジャズ的な世界からもフリーであり、「ジャズ」というジャンルからもフリーで、ここに紹介したアルバムもジャズ臭はほとんどありません。そして、トランペット以外に、ピアノ、フルート、パーカッションも演奏し歌声まで披露しますから、彼のトランペットの音色を聴こうとする人にはちょっと期待外れの作品に写るかもしれません。例えば彼のピアノの演奏などはほんとうに単純きわまりないいわゆる「ノー・テク」なものなのですが、そこで演奏されるシンプルながらもスピリチュアルなメロディーの魅力を味わえるようになると、彼のトランペット以外の楽器や歌の演奏の味わい深さもより理解できるようになってきます。当然ジャズ的なグルーヴや緊張感は皆無ですが(ハン・ベニンクの時折見せる強烈なドラミングは例外)、妙にまったりした感じや、だらだらと色々な楽器を持ち替えて音楽をあてどもなく繋げていく感じには非常に東洋的なセンスを感じます。
一時期「癒し系」という嘘臭い言葉がはやったり、それをキャッチコピーにした表面的な音楽が流行ったりもしましたが、実はドン・チェリーの音楽こそ真の癒しをもたらすのではないかと考えます。
ちなみに、Orientの卵焼き&アリのジャケは非常に秀逸だと思います。

covercover
モリコーネによるNHKの番組「ルーブル美術館」のサントラです。とはいってもほかの映画のために作った作品の使い回しばかりなのですが、どの曲も偽バロック風な弦楽合奏、チェンバロ、ピアノ、オーボエなどを中心とした気品のある作品ばかりで、寄せ集めとは思えないすばらしい統一感を持っている素晴らしいアルバムです。偽バロック風なサントラといえば割と最近の映画「宮廷料理人ヴァテール」のサントラ(ラモーなどほんもののバロック音楽も混じっています)も印象的でした。偽バロック風といっても、例えばプロコフィエフの「古典交響曲」などを思わせるハーモニーを使っているのですが、ルイ14世の時代の豪華絢爛な映像と組み合わされても意外に違和感がなかったのが面白いです。この映画は出来としてはやや不十分なところもありますが、豪華な映像と素晴らしいサントラを愉しむだけでも十分に価値のある作品だと思います。

cover先日の記事でも紹介した、マイルスとプリンスの共演した唯一の公式トラックの含まれたこのアルバムをようやくゲットしました。といっても共演しているのは立たったの一曲「Sticky Wicked」で、プリンスがプロデュース&演奏したバッキングにマイルスがトランペット・ソロを加えたもの(おそらくオーバーダビング)です。この1曲のためだけにこのアルバムを買っても良いといえるほど、非常にクールな仕上がりとなっています。いかにもプリンス的なファンキーなグルーヴにのってチャカ・カーンが素晴らしいヴォーカルを繰り広げますが、いつまでたってもマイルスのトランペットの音色は聞こえてきません。もうこのままフェイドアウトしてしまうのではないか、というくらいのタイミングになってようやくマイルスが吹き始めます。
「プッ」
たった一音吹いてやめてしまいます。
(一音聴いただけでマイルスと分かる非常に印象的な音色ではあります)
おいおい、と思っているとしばらくしてもう少し長いフレーズを吹き始めます。
「パラパラパラ」
さっきより長いけどでもまだまだ一瞬だな(3秒くらい)、ひょっとしてこのままこの曲が終わってしまうのではないかな、と不安に思っていると、だんだんフレーズが長くなっていきます。とはいえ、非常に使う音を限定したストイックなプレイに終始します。
マイルスの至高のプレイというにはやや苦しいですし、結構気楽にレコーディングした感じではありますが、それでも凡庸なプレイヤーには決して真似の出来ない非常に素晴らしいプレイで思わず何度も聴きたくなります。
ちなみにMILES DAVIS-Trumpet Solo and Additional Vocalsというクレジットがありますが、このヴォーカルというのは一番最後にスタジオでのやりとりでのマイルスの話し声のことです(汗

それにしても、このアルバム、このマイルスの参加だけでなく、スティーヴィー・ワンダー、オマー・ハキム、デイヴ・グルーシン、マーカス・ミラーなど、よくここまで一枚のアルバムのために集めたなと思いたくなるほど、スーパー・ミュージシャンが勢ぞろいしていて、ほかのトラックも非常に聞き所があります。

皆さんはiTunesのスマートプレイリストの機能は活用していますでしょうか?
ただのプレイリストだけではなく、特定の条件に合った曲をマックが勝手に検索してプレイリストにしてくれるというものですが、例えば曲名にLOVEという言葉が入っている曲を勝手に集めてプレイリストにしてくれます。

この機能なんですけど、結構細かくカスタマイズできるので、iTunesの膨大にたまった音楽ファイルの中に埋もれた忘れさられた曲を発掘するのに重宝しています。

最後に再生されたのが3ヶ月前以前か再生回数が1回以下の曲からランダムにセレクトした3時間のプレイリスト、なんてのも簡単にできます。
あるいは、演奏時間が10分以内の曲で最近1週間に再生されたテクノのジャンルに登録された曲を再生頻度の高い順に50曲セレクトしたリストなどというのも出来て、何もしなくてもリストを最新の演奏情報に基づいてアップデートしてくれたりもしますから、工夫すればもっと複雑でマニアックな設定も可能かと思います。

コメントにコーホー絶賛とか折に触れて入力しておけば、コメントに「コーホー絶賛」を含むリストというのも簡単に作ったりできますが(汗)、何か面白いプレイリストのアイデアとかありますでしょうか?

cover元プリンス名義(正確にはあの読めない変な記号)での4枚組の未発表曲などを集めたアルバムです。お蔵入り曲集といっても、信じがたいほどどの曲もクオリティが高くて腰が抜けるほどびっくりしてしまいますし、単純にファンク度の高いブリブリのグルーヴがとても気持ちいいです。プリンスの大作といえば3枚組のEmancipationが思い浮かびますが、こちらも分量がある割にどの曲も凄まじくクオリティが高かったりするので、未発表曲でも質が高いというのは驚くに値しないのかもしれませんが、質も量も共にすごいというのには、やはりビビってしまいます。
プリンスのサウンドの重ね方って後期のマイルスのバンドのそれと非常に通じるものがあると思うのですが、この曲の1枚目の最後の方に入っているMovie Starを聴いて、ハッとなりました。「これマイルスやってなかったっけ?」
例のモントリオール箱を探していると、確かにやってました。もちろん作曲者にプリンスのクレジットも入っています。そしてマイルス・ヴァージョンとプリンス・ヴァージョンを聴き比べて、やはり音楽性の近さというのを感じました。
マイルスとプリンスの共演した公式トラックはチャカ・カーンのアルバムに入っている1曲だけのようですが(私は未聴)、音楽性が似通っていてもやはりお互いの個性が強すぎてうまくブレンドしないのではないかと思います。
プリンスは「陽」に突き抜けていく究極のポップ・サウンドだとすると、マイルスは同じポップでも、常に「陰」に向かっていく感じがします。

アーノンクールがモーツァルトの「レクイエム」を再録音したアルバムが発売されました。アーノンクールのこの曲の以前の録音では、演奏解釈のコンセプトの斬新さと素晴らしさに対して合唱(ヴィーン国立歌劇場合唱団)の技術の異様な低さが大きな問題だったのですが、今回は技術的には申し分のないアーノルド・シェーンベルク合唱団による演奏ということで演奏の完成度が高まっています。以前の録音と同じく一つ一つのサウンドの美しさとフレージングやアゴーギクのいびつさが同居した一種異様な、そして室内楽を思わせる非常に内省的な演奏となっています。
気になる版ですが旧録音と同様バイヤー版を使用しています。
この版は個人的にはもっと演奏されて欲しいと思う版なのですが、少なくとも日本国内ではほとんどあの忌まわしいジュスマイヤー版による演奏ばかりですね。。

あと、おまけとして、この曲のモーツァルトによる自筆譜すべて(アイブラーによる補筆も書き込まれています)が見られるようになっているのも大きなポイントです。細部を拡大して見たりできるような仕掛けになっていないのが残念ですが、モツレク・ヲタクの私としてはとても嬉しいおまけです。

オーダー等はこちらからどうぞ。

サン・ラのソロ・ピアノによるアルバム2枚がなんと国内盤で発売されることになりました。
SUN RA: solo piano Volume 1
SUN RA: ST. LOUIS BLUES
の2枚です。
特典として土星にも行ける宇宙浮遊券と称したキップが封入されているので土星に自由に行くことが出来ます(滝汗

セロニアス・モンクが宇宙でピアノ弾いたらこんな感じになるだろうな、という演奏ですが、浮遊感に満ちた絶妙なグルーヴ、モダン・ジャズとフリー・ジャズの間を自由に行き来するハーモニー感、妙にふざけているような微妙にユーモラスな雰囲気とスクリャービンを思わせる神秘的な感触との同居など、聞き所満載です。

「狂気の天才」なんて言い方はよくありますが、サン・ラの場合、天才なのですけど、適当にパラパラッとピアノを弾いたらこんな凄いの出来ちゃいました、という感じで、狂気すら越えてしまっているように思います。

以下のサイトでオーダー等ができます。
株式会社Musik>http://musik-affekt.jp/

「カッサンドラ」を演奏したりしたこともあって、直接題材がつながるトロイ戦争を題材としたこの映画は楽しみにしていたのですが、感触の方はちょっと微妙です。莫大な予算をかけているのは分かるし、3時間近い上演時間も決して退屈する物ではなかったのですが、なにか中途半端な感が否めません。映画の後半の、有名なトロイの木馬のエピソードが前半の様々な展開と比べると、なんだかあっさりとしている感じがしますし、幕切れは本当にあっけないです。最強の戦士アキレスをいとも簡単に殺してしまうのが、映画の前半では本当に情けないどうしようもないおぼっちゃまとして描かれているパリス、というのがなんとも後味の悪さを増幅させます。
古代ギリシアの伝説自体が不完全な人間と神々による復讐の連鎖と理不尽な展開に満ちているし、それが人生の現実をリアルに表しているともいえますから、どんなに凄い人でもへなちょこな人間にいとも簡単に負かされてしまう、という世の中の皮肉さを描いているのかな、と無理矢理に解釈することも出来ますが、そう考えてもやっぱりなんだか後味が悪いです。
こっちが勝手に壮大な作品になることをイメージしていたせいもあるかもしれませんが、上演時間の割には作品の出来は非常に小粒な感じもします。

公式サイト>http://www2.troy.jp/

椎名林檎が「椎名林檎」名義をやめ、バンド「東京事変」として活動を再開するそうです。前々から3枚アルバムを出したら「椎名林檎」名義をやめる、という話はありましたけど、こういう計画だったんですね。今までのアルバムにしてもライブにしても常になんらかのバンドの名義がクレジットされていましたし、「東京事変」も昨年のライブで使われていた名義でしたから、音楽の姿勢としての一貫性がある、ということがよく分かります。
7月からライブ活動を行い、秋にはシングルが発売される、ということですが、『おねがいだから、CCCDだけはやめて下さい。』

ソースはこちらです。>SR 猫柳本線

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おしらせ

双子座三重奏団うるう日ライヴ
2012年2月29日19:00-
門仲天井ホール

双子座2012チラシtogo.jpg

中川俊郎:バッハーズ・アロウ
森田泰之進:こうふくのしま
鈴木治行:蛇行
山本哲也:スライドホイッスル三重奏曲
ケージ:ラジオ・ミュージック
ほか

出演:
曽我部清典(トランペット)
中川俊郎(ピアノ)
松平敬(声)

コンサート詳細はこちらまで

■タリス:40声のモテット
(一人の歌手による多重録音)

ご試聴、ご購入は以下まで
iTunes
e-onkyo music
OTOTOY

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》

 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006
平成22年度文化庁芸術祭
レコード部門優秀賞受賞作品

文化庁芸術祭シンボルマーク

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