2005年6月アーカイブ

シュトックハウゼンの貴重な日本語の情報源として良く知られていた「シュトックハウゼン音楽情報」は管理人さんの本職が忙しかったためにしばらく閉鎖していましたが、まだ更新こそされていないものの、以前のデータは以下のページにアップされています。

http://www001.upp.so-net.ne.jp/kst-info/

たまたま仕事の都合がついたそうで、今回の来日公演にも全日参加されていて久々の「生」シュトックハウゼンを堪能している様子でした。

その内、新しい情報もアップされると思いますので、お楽しみに。

来日公演の最終日を飾ったのは「光」の最終章「日曜日」からの2つの場面LICHT-BILDERとENGEL-PROZESSIONENでした。LICHT-BILDERについては何度も書いてあるとおり素晴らしい作品、素晴らしい演奏でしたが、ENGEL-PROZESSIONENの8チャンネル・テープによる上演も非常に美しいものでした。完璧に録音されミックスされたものですから、「テープ上演」という代替上演的なイメージとはかけ離れた素晴らしい演奏でした。昨年のキュルテンでの講習会でも同様の形で上演されたのを聞きましたが、そのときよりもさらにサウンドが良く感じられました。オリジナルはアカペラの合唱曲ですが、特殊唱法を多用しているので一種の電子音楽としての聴取も可能です。そのようにとらえると、2日前に演奏された今や古典となった「少年の歌」とのつながりも強く感じることが出来ます。「少年の歌」では少年の声に加えて電子音を加えていたところを、ENGEL-PROZESSIONENでは非常に洗練された特殊唱法を使っています。声の持つ音色の多様性の探求の結果がこうしたサウンドの選び方に反映しているのでしょう。

相変わらずすきま風の音が気になりましたが、シュトックハウゼンの近作の美しさに素直に感動しました。

本日も相変わらずのスタンディング・オベーションで、企画をしたアリオン音楽財団の皆さまも安心していることと思います。
終演後は1時間近く多くのファンのサインに応えたり、プレゼントを受け取ったりと、「まめ」なところを見せていました。

シュトックハウゼンも何人かのファンに言っていたとおり、毎夏に行われているシュトックハウゼン講習会に参加するとこの様な体験をいつでもする事が出来ます。
演奏家、作曲家だけでなく一般の愛好家も大歓迎の講習会ですから、シュトックハウゼンの音楽を愛する人は一度参加してみてはいかがでしょうか?
きっと素晴らしい思い出になると思います。

今日はLICHT-BILDERとコンタクテでした。

初日からLICHT-BILDERを聞き続けている人は、この作品の聞き所が分かってきたのか、反応が初日から比べて次第に良くなってきた感じがします。昨日はリハの疲れや日本の聴衆が受け入れてくれるかどうかという不安からか、やや演奏に緊張したところも若干ありましたが(それでも恐ろしくレベルの高い演奏であることには間違いありませんけど)、今日はよりリラックスしてより集中した演奏で終演後フベルト・マイヤーが今日の演奏は今までのベストだとシュトックハウゼンから絶賛されたと話していました。

コンタクテは生楽器のつかない電子音楽のみの版での上演ですが、低音から高音まで音像が非常にすっきりとしていて、この長大な作品の面白さを堪能することが出来ました。わずかなすきま風の音や重低音が少しどこかに共振している音が聞こえたのが残念ですけど、かなりサウンドは良かったと言えると思います。

例によってスタンディング・オベーションの嵐ですが、昨日よりもさらに聴衆のテンションが高くさながらロックコンサートのようなノリでした。シュトックハウゼンもさすがにご満悦で2,3階のバルコニー席のお客さんにも手を振り、お客さんも大喜びで手を振り返す熱狂ぶりでした。

前半の演奏者は、後半シュトックハウゼンの席の近くに座って音楽を聴いているので、多くのお客さんがシュトックハウゼンだけでなく演奏者にも声を掛ける姿が多く見受けられました。
作曲者、演奏者、聴衆が一体になったすばらしいコンサートになったと思います。

さて、明日はいよいよ最終日です。

本日はLICHT-BILDER、「少年の歌」「テレムジーク」というプログラムでした。

LICHT-BILDERの午前中のゲネプロを見学させてもらいましたが、かなりの完成度の高さに達しているにも関わらず、あいかわらず大量なダメ出しをしていてこの巨匠の妥協の無さを改めて感じました。
後半の「少年の歌」「テレムジーク」といったもはや古典となっている名作が評判がいいのは当然としても、一度聞いただけでとても完全に理解できるとは思えない複雑な作品LICHT-BILDERに対する反応も決して悪くなかったと思います。

バルコニー席のある会場の作りはあまりマルチ・チャンネルに向いていないのですが、スピーカーを各階に配置するなど事前にいろいろと細工をすることによってあまり良くない席でもそれなりに聞こえるようには工夫していました。

開場したらいきなりシュトックハウゼンが客席中央のミキサーの前に普通に座っている様子に多くのお客さんがびっくりしていましたし(彼のコンサートではそれが普通なんですけど)、演奏直前に物音を立て続けてシュトックハウゼンがなかなか演奏開始のキューを出せなかったトラブルもありましたけど(本番明かりになって演奏開始まで異様に長い沈黙がありました)、最後の「テレムジーク」が終わるとスタンディング・オヴェーションとなる異様な盛り上がりとなり、シュトックハウゼン本人もかなり嬉しかったようです。

終演後ミキサー席でオタク集団(?)に取り囲まれても。いやな顔せずサインに応じていましたが(これもいつものことです)、意外にフレンドリーなシュトックハウゼンの一面を感じることが出来たのではないでしょうか。

ちなみにこの日のゲネプロと本番の間に、新宿で観光をしたい、というシンセのアントニオやアシスタント・エンジニアのイーゴルらを案内しましたが、連日のハード・スケジュールにも関わらず超ハイテンションで、新宿のタワレコのシュトックハウゼン・コーナーに押し掛けたり都庁の展望台に上ったりと、色々と楽しんでもらえたようです。

シュトックハウゼン来日公演の初日である、LICHT-BILDERに関する、レクチャーに行ってきました。
40分の大作のレクチャーなので細かくアナリーゼをしてしまうと、2時間の枠にとても収まり切るはずもなく(シュトックハウゼン講習会なら1週間かけるところです)、細かい説明は割愛しての実演を交えた作品の概要の説明という形式でした。途中で簡単なシュトックハウゼンの説明を交えながらも、実質的にはLICHT-BILDERの全体を演奏する形になりました。CDで聞くよりもリング・モジュレーションの効果が立体的に聞こえ、演奏者の発する音と肉体的な動きの関係(これも詳細にスコアに記されています)もはっきりと理解できました。

後半は質疑応答コーナーでしたが、始めはシュトックハウゼンの激怒を恐れてか(笑)、遠慮がちだったお客さんも、シュトックハウゼンの誠実で時々ユーモアも交えた回答を聞く内に場の雰囲気も打ち解けてきて、多くの人が手を挙げ、すべての質問を受け付けられないほどになりました。
中には、とんちんかんな質問もありましたけど、全体的には良い雰囲気で、一日こうした企画を設けて正解だったと思います。

御大は時差ボケがひどいらしく、あまり眠れていない、と言っていましたが、非常に元気で安心しました。

ちなみに、ロビーでCD、スコアの販売もありましたけど、巨大なスコアが高いのは仕方ないとしても、CDは本来ならもう少し安くなるはずのところが、色々な兼ね合いからタワーレコードやHMVなどと比べて露骨に安い設定にはできなかったようで少し残念です。

昨晩の大井さんとの演奏会「冬の旅・冬の音楽」はお陰様で無事終了致しました。細かい事故は色々とあったのですけどシューベルトとケージという全くキャラクターの違った音楽のそれぞれの面白さを楽しんでもらえたのではないかと思います。ご来場頂いた皆さま、本当にありがとうございます。

大井さんとは今回初共演で、壮絶なまでの毒舌ぶりと「紙一重」的な奇行(?)の数々に驚かされましたが(笑)、リスクを恐れないチャレンジ精神には敬服しました。

ちなみにケージの「冬の音楽」と「ソング・ブックス」は30分という演奏枠だけ決めて、内容に関しては2人で全く別に決めましたが、同時に通して演奏したのは本番の一回のみです。ゲネプロでも簡単なサウンドチェックをしただけですし、前日までは大井さんの持っている譜面すら見ていませんでした。
もちろん大井さんも本番で私の演奏を初めて聞いた訳です。
まさにケージ的ともいえる試みで、本番どうなることか不安でしたが、蓋を開けてみると、出て来たのはケージの音楽以外の何ものでもない響きで、ケージの偉大さを改めて思い知らされました。

さて本日よりシュトックハウゼンの来日公演がスタートします。今日はコンサートではなく、今回の来日公演のメイン・プログラムとなっているLICHT-BILDERに関するレクチャーですが何度も聞き込んでこの作品の面白さが徐々に分かってきたのでどういったアナリーゼをしてくれるのか非常に興味深いです。

もちろん、私は全公演聴きにいきます。

毎日のようにこの曲を聴いてきてかなり耳になじんできました。

CDの解説にも書いてありますけど、ステージに立つ4人の演奏者はテノールとトランペット、バセットホルンとフルートという2組のデュエットとして扱われます。それぞれのデュエットで音楽的な対話が行われますが、あるモチーフが2人で同時に演奏されたり、エコーの様に少し遅れて演奏されたりしますが、単なる模倣ではなくピッチやリズムの変容、奏法やリングモジュレーションによる音色の変容を伴っています。そしてその対話が二組同時に行われますしデュエット同士でも音楽的な対話の行われる部分もあるので、聴き慣れてくるとすべてのフレーズの元となっているミヒャエルとエーファのフォーミュラが非常に複雑に変形して散らばったりまとまったりする様子が聴き取れるようになってきます。

おそらくこうした音楽的な対話と、4人の奏者の肉体的な動きがうまく組み合わされているのだと思うので実演を見るのが楽しみです。

この作品に限らず「日曜日」では様々なレベルでのペアが音楽的に活用されていますけれども、もちろんこれは「日曜日」のテーマであるミヒャエルとエーファの神秘的な結婚と関連しています。

シュトックハウゼン音楽財団から今回の来日公演に関する声明が以下のページに発表されています。

http://www.stockhausen.org/tokyo.html

シュトックハウゼンがLICHT-BILDERといくつかの電子音楽を東京で演奏すること、その後京都に滞在し能や声明の演奏を楽しむことなどが書かれています。

最も注目すべきは、最後におまけのように書かれていることです。

The complete duration of the seven operas of LICHT comprises 29 hours of performance. The European Centre for Culture in Hellerau (Germany) recently announced that it would perform all seven operas, starting in 2008.

ということで、『光』全曲演奏プロジェクトに関しておそらく初めてのシュトックハウゼン・サイドからのコメントが発表されました。

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おしらせ

双子座三重奏団うるう日ライヴ
2012年2月29日19:00-
門仲天井ホール

双子座2012チラシtogo.jpg

中川俊郎:バッハーズ・アロウ
森田泰之進:こうふくのしま
鈴木治行:蛇行
山本哲也:スライドホイッスル三重奏曲
ケージ:ラジオ・ミュージック
ほか

出演:
曽我部清典(トランペット)
中川俊郎(ピアノ)
松平敬(声)

コンサート詳細はこちらまで

■タリス:40声のモテット
(一人の歌手による多重録音)

ご試聴、ご購入は以下まで
iTunes
e-onkyo music
OTOTOY

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》

 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006
平成22年度文化庁芸術祭
レコード部門優秀賞受賞作品

文化庁芸術祭シンボルマーク

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