2005年7月アーカイブ

シュトックハウゼン「光」がどのように初演されていったかを以下の通りまとめてみました。

ついでにシュトックハウゼンのCD全集の番号も書いておきましたので、参考になさって下さい。
ひとつのオペラとして初演された5つの作品に関しては全曲収録したボックスセットが発売されています。
全曲初演されていない「水曜日」と「日曜日」は全曲収録されたボックスは出ていませんが、以下の音源を手に入れると作品の全体を把握することが出来ます(「水曜日」の「ミヒャエリオン」だけはCDが出ていませんがシュトックハウゼン出版より初演時のヴィデオを入手することが出来ます)。
従って、以下のリストは「光」の全貌を把握するために最低限必要なCDのリストとしても機能します。
ボックスセットを5組とバラ売りCDを12種、ヴィデオを1本購入すると全部揃うという訳です。

「木曜日」CD30(4枚組)1981年ミラノ・スカラ座にて初演
「土曜日」CD34(4枚組)1984年ミラノ・スカラ座にて初演
「月曜日」CD36(5枚組)1988年ミラノ・スカラ座にて初演
「火曜日」CD40(2枚組)1993年ライプツィヒ歌劇場にて初演
「金曜日」CD50(4枚組)1996年ライプツィヒ歌劇場にて初演

「水曜日」
・水曜日の迎え CD66 2004年ベルファストにて初演
・世界議会 CD51 1996年シュトゥットガルトにて初演
・オーケストラ・ファイナリスト CD52 1996年アムステルダムにて初演
・ヘリコプター弦楽四重奏曲 CD53(2枚組) 1995年アムステルダムにて初演
・ミヒャエリオン 1998年ミュンヘンにて初演
・水曜日の別れ CD55 (2000年ケルンにて初演??)

「日曜日」
・LICHTER-WASSER(日曜日の迎え) CD58 1999年ドナウエッシンゲンにて初演
・ENGEL-PROZESSIONEN CD67(2枚組) 2002年アムステルダムにて初演
・LICHT-BILDER CD68(2枚組) 2004年ドナウエッシンゲンにて初演
・DÜFTE-ZEICHEN CD69 2003年ザルツブルク音楽祭にて初演
・HOCH-ZEITEN CD73 2003年ラスパルマスにて初演
・日曜日の別れ CD74 2004年キュルテンにて初演

「水曜日の別れ」だけは初演の情報がつかめなかったので、情報をお持ちの方はお知らせ頂けるとありがたいです。
少なくとも2002年に実演を聴いているのでそれ以前であることだけは間違いないのですが。。

先日頼んでおいた「日曜日の別れ」のCDと今年のキュルテンの講習会のテキスト&プログラムがシュトックハウゼン出版より届きました。送金から一週間強という今までにない迅速さでの発送でびっくりしました。

まず「日曜日の別れ」のCDですが、初演時に不満だったいくつかのシンセのプログラミングの問題点がやはり解決されていて、5つのシンセサイザーの多彩な音色と複雑なリズムがおりなす抽象的な音模様を存分に堪能することが出来ました。HOCH-ZEITENの5群の合唱パートを5台のシンセサイザーで解釈し直しただけの作品なのに、単なる「別ヴァージョン」を通り越した独自の世界を形作った作品となっています。
おまけのクリックトラックも、さすがにマルチトラックで聴いた講習会の感じとはいきませんが、この作品のリズム構造の複雑さを堪能するのにはもってこいです。それにしても「なんちゃってナンカロウ」風な趣が楽しいです。

今年は諸事情でシュトックハウゼン講習会に行けないのでプログラムとコンポジション・セミナーのテキストを送ってもらいました。今年のコンポジション・セミナーのテーマはLICHT-BILDERですがこのアナリーゼは非常に読みごたえがあります。

例によってスーパー・フォーミュラから作品の大まかな構成を決めていく様子から説明されますが、この作品の大きな特徴はミヒャエルとエーファのフォーミュラを疑似逆行のように展開していくところとそのフォーミュラを独特なプロセスで遅延させていくプロセスです。トランペットはテノール、フルートはバセットホルンの演奏した音形を模倣していきますが、同時に演奏するところから始まりだんだん遅延して模倣していきその模倣の遅れが拡大、縮小してまた同時に演奏するといったことが2つのペアで同時に行われます。

idea311.jpg「アイデア」という雑誌の311号でCDやLPのジャケットのデザインについての特集があり、ECMレーベルや杉浦康平の膨大なジャケットの写真と混ざって、シュトックハウゼンのCDのジャケットも収録されています。もちろん、「あの」有名なStockhausen-Verlagの本人直筆によるジャケットです。第一巻から最新の「日曜日の別れ」までの現時点で発売されているCDのジャケットが勢ぞろいしています。サインペンで適当に書いたようなトホホな感じですが、あそこまで大量にレイアウトして並べられると妙に詩的な感じが漂ってくるのが不思議です。清水穣氏が解説も書いていますが、その文章がかなりケッサクです。清水氏によるとこのジャケットは「ゆる〜い感じ」で「曰く言い難い変なもの」だそうですが、軽妙な清水氏の文体そのものも「ゆる〜い」感じだったりします(笑)
「シュトックハウゼン音楽論集」のあとがきでも触れていた336年間鳴り続けるソの音(清水氏曰く「そうですか」)を書いたドローイングの写真が掲載されて、その「解説」もなされていますが、こちらも一読の価値ありです。
雑誌の詳細に関しては本の画像をクリックしてみてください。

早いものでシュトックハウゼン来日公演から一ヶ月が経ちましたが、あちこちのサイトで感想やらレポートやらアップされてますのですでに紹介したものも含めて以下にまとめておきます。いくつかのブログにはトラックバックもさせてもらいました。

続・Yum Blogs -- 祭 最終日
mhrs: 巨匠2
WORD!! -- シュトックハウゼン
舞台批評 -- シュトックハウゼン@アートスフ
td-d2(仮) -- シュトックハウゼン / 《リヒト=ビルダー(光=イメージ)》
関心空間 -- シュトックハウゼン「リヒト=ビルダー」
Cafe Carrefour 日々の破片(かけら) -- 日々の足あと〜シュトックハウゼン
FREITAG log -- シュトックハウゼン来日記念演奏会感想
怪しくも快く -- 第21回 <東京の夏>音楽祭2005
the electreal -- シュトックハウゼンとプリゴジンと創世記
smacks dialy -- 巨匠シュトックハウゼンとその音楽
おまえにハートブレイク☆オーバードライブ -- これがシュトックハウゼンのサインだ!
casino della coltura
JAZZ TOKYO -- 永遠の光に"耳”がふれて・・・シュトックハウゼンの宇宙
パザ日誌 -- シュトックハウゼン・イン・トキオ
はやしのブログ -- シュトックハウゼン


ついでに拙ブログの関連記事も以下からまとめて読めます。

シュトックハウゼン来日レポート@KLANG Weblog

atak006.jpg高橋悠治の電子音楽作品ばかりによるアルバムが最近発売されました。一曲だけ1963年作曲のものすごく古い作品がありますが、あとは1989年以降の作品、全8曲中6曲が2005年作曲という最新作を中心としたものばかりです。

高橋悠治の呟き声を使った「それとライラックを日向に」はちょっと冗長な感じがしましたが、あとの作品は中途半端に薄い密度で配置された具体音や電子音がとても心地よい作品ばかりで、かなり気に入りました。音素材を縦に重ねることはあまりなくて、ひたすら横に連ねて行く、初期のミュージック・コンクレートで良く使われたような技法的には「古臭い」ともいえる作り方をしていますが、無関係な音のコラージュ風な感じにはならず、本来無関係な音素材が奇妙な統一感をもって聞こえるように絶妙に配置されていています。新しい、とか、古い、とかいった時代性から全く遊離した雰囲気も面白いです。

上記のフレーズをタイトルとしたシュトックハウゼン来日公演のレポートを発見しました。

こちらのリンクよりご覧下さい。

http://www.jazztokyo.com/horiuti/v5/v5-1.html

特にLICHT-BILDERに関しては先入観と偏見に満ちたトンチンカンな批判も数多く見られますが、この記事を執筆した堀内氏はシュトックハウゼンにおける作曲や演奏の特質、問題点などを非常に的確に指摘していて、シュトックハウゼンに対する「下らない」としかいいようのないつまらない誤解が解け、まともに論評されるようになってきたな、と嬉しくこの記事を読みました。

例えば堀内氏は

「ここまでくると、シュトックハウゼンの作品が「神聖な儀式である」という認識を共有することは、演奏家ばかりでなく、聴衆の側にとっても必要条件として逃れ難いのではないかとさえ感じられる。つまり、肉体的・精神的な準備が不充分なまま作品と向き合ったとしても、作曲者・演奏者の発信する世界を捉えるどころか、聴く側の誤解と思い込みに終始するしかないと思われてくるのである。」

と書いていますが、これは私がたびたび、シュトックハウゼンの作品をきちんと理解するためには何十回と繰り返し聞く必要がある、と書いていることと通じます。どうせシュトックハウゼンの近作はつまらないだろう、という先入観を持って、大した事前の「準備」もせずにLICHT-BILDERを聞いたところで、あの作品の百分の一も理解できないのは当然ですが、少なからぬ人々がそうした前提からトンチンカンな批判を繰り広げているのに対して、堀内氏がそうした先入観と無関係に的確にポイントを押さえているところに、深く印象づけられました。

シュトックハウゼンは毎年の講習会のモットーとして「○○して学習」のような文章を毎回書いていますが、作曲、演奏、聴取のすべてにおいて努力したり学習したりすることの重要さを強く認識していることがここにも表れています。
LICHTER-WASSERをのぞく「日曜日」の各場面のCDには本編に加えて、特定のパートを抜き出したり、本来必須の電子変調を省略した「学習用」のミックスも付録として併録し、HOCH-ZEITENに至っては本編とは別売りで学習用の3枚組のCDを2種発売している位ですが、裏を返せば、それくらい細かく聴きこなさないと作品を完全に理解できない、ということを表しています。

もっともシュトックハウゼンは自分の新作が簡単に理解されないのは「少年の歌」を発表したはるか昔から同じことなので、ほとんど気に留めてはいないようではあります。

先日の記事でも紹介した「日曜日の別れ SONNTAGS-ABSCHIED」のCDがシュトックハウゼン出版より発売されました。この作品はHOCH-ZEITENの5群の合唱部分を5台のシンセサイザーに置き換えたものです。HOCH-ZEITENが同時に5つのテンポで演奏するのと同様、この作品でも5人のシンセ奏者はそれぞれ異なるテンポで同時に演奏します。

この複雑なテンポの同期を可能にするために各奏者はイアホンを付けてクリック音に合わせてテンポを取るのですが、このクリックトラックのステレオミックスがおまけとして併録されています。1,2,3・・・という拍のカウントがシュトックハウゼンの声、「何ページ目」というページ数を知らせる声がカティンカの声で収録されています。本来は一つのトラックだけを聞く目的のクリックトラックですが、同時に5つのクリックトラックを聞くと、当然5つの異なるテンポでカウントするシュトックハウゼンの声が聞こえてくることになります。このこと自体には「遊び」以上の何の意味もないのですが、その「遊び」をキュルテンでの講習会のレクチャーで再生してみたところ、受講生にバカ受けでした。私も聞いて悶絶するほど爆笑した記憶がありますが、単に「楽しみ」だけのためにあのクリックトラックをまた聞きたいな、と思っていたら、シュトックハウゼンが「多くの人の要望に応えて」このクリックトラックを併録することにしたとのことです。

初演のときのシンセのプログラミングには結構問題があったと思っているのですが、そうした面が今回の新録音でどれだけ改善されたかが楽しみです。

ともかく、これで「水曜日」の最後の場面の「ミヒャエリオン」を例外として『光』の全ての場面がCD音源として揃うことになりました。「ミヒャエリオン」も画質など最悪ですが初演時のヴィデオが見られる訳で、それも含めれば『光』の全容を知ることができるようになった訳です。

詳しい情報は以下のリンクをご覧下さい。

http://www.stockhausen.org/whats_new.html

今年の08月16-21日にかけて山口県秋吉台国際芸術村で開催される「秋吉台の夏 2005」へ参加することになりました。
この講習会の始めと最後の2回、コンサートが行われますが、私は以下の作品を演奏します。

G. Scelsi: Wo Ma
松平頼暁: It's gonna be a hard core
湯浅譲二:「R. D. レインからの二篇」〜私は夢をみた〜、〜愛は似る。降りくる雪の〜
湯浅譲二:「天気予報所見」

松平頼暁氏の作品はもともとソプラノとピアノのためのものだったものをバリトン用に直し、さらに少し手を加えたものですが、歌のパートは終始4拍子を5分割したリズムで歌い、しかも1フレーズがその5連符の6つ分という非常に複雑なリズム(作曲者曰く「4拍子で5拍子で6拍子の作品」)、さらにそのリズムに合わせて手拍子も叩かなくてはならない超難曲です。
湯浅譲二氏の「天気予報所見」は曽我部清典氏と何度も演奏した作品ですが、今回はチューバの橋本晋哉氏とのデュオというより異色な編成に直しての演奏となります。「R. D. レインからの二篇」はソプラノの平松英子さんのために作曲した無伴奏ソロの非常に美しい作品ですが、バリトン用に移調しての演奏となります。

熱心なシュトックハウゼン・ファンのひとならシュトックハウゼン出版のCDの17巻が欠番になっていることに気が付いていたかと思いますが、ここには以前から「7つの日より」に続く直感音楽の続編「来たるべき時のために」が予定されていました。
そして、この曲集の新録音が行われ、近々発売されるようです。

5台のシンセのための「日曜日の別れ」も同様に近々発売されるようです。

ネタ元はこちら
http://homepage.mac.com/bernardp/iblog/B1978509736/C1658196585/E1276615452/index.html

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おしらせ

双子座三重奏団うるう日ライヴ
2012年2月29日19:00-
門仲天井ホール

双子座2012チラシtogo.jpg

中川俊郎:バッハーズ・アロウ
森田泰之進:こうふくのしま
鈴木治行:蛇行
山本哲也:スライドホイッスル三重奏曲
ケージ:ラジオ・ミュージック
ほか

出演:
曽我部清典(トランペット)
中川俊郎(ピアノ)
松平敬(声)

コンサート詳細はこちらまで

■タリス:40声のモテット
(一人の歌手による多重録音)

ご試聴、ご購入は以下まで
iTunes
e-onkyo music
OTOTOY

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》

 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006
平成22年度文化庁芸術祭
レコード部門優秀賞受賞作品

文化庁芸術祭シンボルマーク

プロモーション・ヴィデオ

ご購入は以下まで:
HMV ONLINE
TOWER RECORDS ONLINE
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