ECMレーベルからシェルシの新譜が発売されました。収録作品、演奏者は以下の通りです。
Ohoi
Ave Maria*
Anâgâmin
Ygghur*
Natura renovatur
Alleluja*
チェロ独奏:Frances-Marie Uitti*
Münchener Kammerorchester 指揮:Christoph Poppen
弦楽オーケストラのための作品と無伴奏チェロの作品を交互に並べた構成になっていますが、シェルシならではの繊細な弦楽の響きを遠近両面から観察できる仕掛けになっています。
チェロ独奏の方は1本のチェロを4本の弦の合奏と見立てて(楽譜も4段になっています)、ユニゾンから逸脱する微分音的な複数の弦の軋みと微細な音色変化を聴かせるYgghurと、極めてシンプルで旋法的なグレゴリア聖歌風のAve MariaとAlleluja(どちらも原曲は合唱作品)といった、全く作風の異なる作品を組み合わせていて、これがアルバム全体のトーンにうまく変化をつけています。
弦楽のための作品は複数の弦楽器のうねるようなハーモニーが印象的ですが、微分音を多用したハーモニーから突然長三和音が立ち上がって再び無調のテクスチュアに解体して行くNatura Renovaturを始めとして秀逸な作品が揃っています。
どの作品もこれまで別の音源で聴けたものばかりなのですが、これらの繊細な響きをテーマとした作品がECMのきめ細かく美しい録音によって聴けるというのが、大きなポイントかと思われます。
僅かなウィークポイントがチェロ独奏による前述のAve MariaとAllelujaでしょうか。
作品がシンプルなだけにもっと考え抜いたフレージングで演奏されれば、と悔やまれます。
アルバムの構成上、こうした作品があるのは良いアクセントになるのですが、どちらもアルカイックな曲想にしては「歌いすぎ」で、少し中途半端な印象が残ります。


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