2006年11月アーカイブ

先週に引き続きまたもやシュトックハウゼン出版から新譜の発売です。

KLANGの音源第3段で、1時間目「昇天」です。
このシンセ・パート(本来はオルガン用に作曲されました)の左手と右手がほとんど全曲にわたって異なるテンポで演奏し続けることは何度もここに書いていますが、ジャケットにはその両手のテンポの変化をグラフにしたスケッチが使われています。

新譜カタログのPDF版を見ていると、おまけとして、この曲の演奏のためにプログラミングされたシンセサイザーの何十種類もの音色を聴けるようになっているようです。
このプログラミングは作品のテンポと対応して音色が変化するように細かく指定されていますが、その辺の細部に関しては以前書いた記事をご覧下さい
KLANG:1時間目「昇天」(後編)

ちなみに、私は先週発売された「4時間目」のCDと一緒に注文し、送金済なので、一週間後には2つまとめて送られてくる予定です。

低音デュオライヴでやるシェルシの「Maknongan」の楽器指定は「pour un instrument grave ou voix de basse」つまり「低音楽器またはバス独唱のために」という一種異様な指定になっています(ちなみに「低音楽器」の例としてチューバ、コントラファゴット、コントラバスなどが挙げられています)。
低音楽器と一緒にバス独唱も並んでいるのが微妙に可笑しいですが、まさに今回の「低音デュオ」に相応しい曲と言えるでしょう。

楽譜自体は一種類の完全に固定されたものだけで、そこから各楽器、声でどのように細部を解釈するのかは演奏者に委ねられています。
例えば、各楽器、声の音域に合わせてどのように移調するか、楽譜中のいくつかの音符に記された「chiaro=明るく」「cupo=暗く」という音色に対する指示をどう解釈するか、などです。

私のための今回のヴァージョンでは原譜より完全4度下げ、chiaroの部分はAの母音で、cupoはMのハミング、特に指示のないところはÖのヴォカリーズで、ということで当初練習していたのですが、いまいちしっくりきませんでした。
主に楽器を想定したような細かいフレーズを母音のヴォカリーズだけで処理しようとすると明確さに欠け、しかも歌いにくいのです。

ところで、シェルシのバス独唱のために「WO MA」という4つの小品から構成される作品があり何度か歌ったことがありますが、この内の2つはもともとトロンボーン、1つはサックスのために作曲されていて、そこに抽象的なシラブルをあてはめてバス独唱用に「編曲」したものなのです。
あたかも始めから声のために書かれたかのようにうまく仕立てられているのですが、この「歌詞」付けにその成功の秘密があるのではないかと気付きました。
シェルシの声楽曲をいくつか歌っていると、シラブルの選択に彼なりの癖があることに気が付きます。特定の子音、母音の組み合わせばかりを使っているので、同じようなものを「Maknongan」のために「いかにもシェルシ風」にでっちあげてみたらどうなるだろう、と思ったのです。試行錯誤を重ねてそれなりに満足のいく仕上がりになってきましたが、もともと極めて見やすいとはいえないSalabertの出版譜に「歌詞」を書き込んでいくと、かなりゴチャゴチャしてきましたし、いくら使われている音数が少ない(9割の音符が単一のオクターヴのg, gis, aのみ)とはいえ、意外にややこしいリズムのカウントや細かいアーティキュレーションも考えながらだと注意力が散漫になってしまいそうだったので、Finaleで移調譜を作ることに決めました。

4分音符を基本としているようで32分音符単位で微妙にずれていたり、8割位の音符に何らかの音量やアーティキュレーションの指示が細かく記譜されているので作業はやや難航しましたが、まだ完璧ではないもののそれなりに納得いくもの(少なくとも原譜よりははるかに奇麗です)が出来たので以下にその一部をご披露します。
こっそり4分音やシェルシ独自のヴィブラート記号が紛れているところにもご注目下さい。
Maknongan.gif

またもやシュトックハウゼンの新譜発売です。

http://www.stockhausen.org/whats_new.html
CD86
  KLANG4時間目「天国への扉」 打楽器奏者と少女のための
  TÜRIN ドアとリンと語り手のための

「天国の扉」はともかく「TÜRIN」とは一体どういう作品なのでしょうか?
楽器編成にドアが入っているところから「天国への扉」の派生作品と思われますが。
それにしても「ドア=Tür」と「リン=Rin」をそのまま組み合わせて曲名にしてしまうセンスには脱力してしまいますが、ここにきて「祈り」以来シュトックハウゼンのお好みの楽器であるリンがまたもや登場しています。

ちなみに「1時間目」を収めたCD83も来週には出荷できるとのことですので、まとめて注文することにします。

低音デュオライヴで演奏予定のケージの「声のためのソロ2」には自分で演奏用の楽譜から作らなくてはならない非常に面倒な曲です。
曲線や点などの印刷された透明なシートを数枚重ねて楽譜の原形を作りますが、そこからもう一手間かけないと演奏用楽譜として役に立ちません。

まず透明シートを重ねた状態のものをデジカメで写真に録り、パソコンに取り込んで演奏に不必要な図形をフォトショップで消し(実はここで結構重要な音楽的選択をしなくてはなりません)、演奏しやすいように色調も調節しました(本日は18ページ分作成)。
テキストも別の透明シートを組み合わせた結果をもとに作っていきますが、このテキストもこの画像ファイルに自分で打ち込んでいきます。
とりあえずここまでを始めの2ページ分作ってみました。

以下がこの作業で完成した私の演奏用ヴァージョンの楽譜です。
ちなみに3つめの画像は加工する前、つまり透明シートを重ねただけの状態です。

p1.jpg
p2.jpg
DSCF1294.jpg

結果的に後年作曲する「龍安寺」の楽譜を思わせるような仕上がりになります。

縦軸がピッチ、横軸が時間軸なのでどういうメロディーラインになるかはおおよそ想像がつきますが、上の狭い方の長方形の枠のなかの「音符」はノイズ的な音響(声以外も含む)を表します。
従ってそこでどういう音を出すかというのも考えなくてはなりませんので(もちろんまだノー・アイデア)、とりあえず「さらえる」状態にするまでが一苦労です。
そしてそれだけ手間暇をかけて、演奏結果が、遊びで適当にやっているように見えるところが個人的にはグッときます(汗

できました(画像クリックすると巨大になります)。
勝手にコピーして宣伝して下さい(笑)
PDF版はこちらです。
teion-small.jpg

演奏会告知です。
今回のは結構濃いかもしれません。

橋本晋哉×松平敬低音デュオ・ライヴ

2006/12/21(木)19:00開演
松平敬(バリトン、声)、橋本晋哉(テューバ、セルパン)
公園通りクラシックス.
¥2,500 (ご予約)、¥3,000 (当日)
ご予約、お問い合わせ:松平tierkreis@sirius.104.net(メールを送る

演奏予定曲目:
溝入敬三, 怪盗キクノロと名探偵アキチ君 (2005)
Giacinto Scelsi, Maknongan (1976) セルパン版
Giacinto Scelsi, Maknongan (1976) バリトン版
Mauricio Kagel, Atem (1969/70)
中世、ルネサンスの2声ポリフォニー小品集
John Cage, Solo for voice 2 (1960) + Solo for tuba (1957) (同時演奏)
橋本晋哉/松平敬, TubaBaliBariTuva (2006)
Yan Maresz, Titube (2001)
Luciano Berio, Sequenza III (1966)

チラシpdfにして後日アップします。

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おしらせ

双子座三重奏団うるう日ライヴ
2012年2月29日19:00-
門仲天井ホール

双子座2012チラシtogo.jpg

中川俊郎:バッハーズ・アロウ
森田泰之進:こうふくのしま
鈴木治行:蛇行
山本哲也:スライドホイッスル三重奏曲
ケージ:ラジオ・ミュージック
ほか

出演:
曽我部清典(トランペット)
中川俊郎(ピアノ)
松平敬(声)

コンサート詳細はこちらまで

■タリス:40声のモテット
(一人の歌手による多重録音)

ご試聴、ご購入は以下まで
iTunes
e-onkyo music
OTOTOY

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》

 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006
平成22年度文化庁芸術祭
レコード部門優秀賞受賞作品

文化庁芸術祭シンボルマーク

プロモーション・ヴィデオ

ご購入は以下まで:
HMV ONLINE
TOWER RECORDS ONLINE
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