以前から注文していたシュトックハウゼンの新譜KLANG1時間目「昇天」、4時間目「天国の扉」が届きました。
取急ぎ、大まかな印象だけ書いておきます。
まず「1時間目」ですがシンセの右手パートを右チャンネル、左手パートを左チャンネルに振り分けたミックスによって、左手と右手のポリ・テンポによる複雑な絡み合いを極めてクリアーに楽しむ事が出来ます。シンセの音色の美しさも堪能しました。
改めて聴いてみて、本来パイプ・オルガンを想定して作曲したこともあって、21世紀にバッハが甦って作曲したらこのような作品を作るだろうな、と感じました。時々挿入されるソプラノやテノールのメロディーはまさに定旋律のようですし。
軽い衝撃を受けたのが「4時間目」です。
キュルテンでの初演では、6つの素材を使った見た目にも美しいドアのあちこちを叩きまくるパフォーマンス的な要素が強く印象に残りましたが、今回その視覚的要素を拝して聴いてみると、一見極めて音色の限定された「ドア」という「楽器」から実に多彩な音色を生み出しているか、ということが実感出来たのです。
もちろん初演のときにも同じようなことも感じたのですが、間近で録音している分(初演では、シュトックハウゼン作品には珍しく一切PAを通していませんでした)実演では聴き取れなかった微細な音色の変化が非常に鮮明に捉えられています。
視覚的要素の強い作品から視覚的要素を外してみると、無内容な音楽だけが残る作品も多い中、この作品では視覚的要素を外すと、抽象的な美しさをもったリズムと音色の饗宴が浮かび上がってきたという訳です。
ちなみに、余白に収められた「4時間目」の派生作品となる「TÜRIN」ですが、これにも吃驚です。
「4時間目」で使用したドアの様々な場所を叩いて24のサンプルを録音し、そのピッチをKLANGの24音セリーを演奏出来るように変更して、同じピッチのリンと同時にこのセリーを非常にゆっくりと演奏します。このアタック音自体もかなり異様なサウンドで、ここに異常なまでに長い数分間に及ぶリバーブ音を付加しているのですが、原音に対するリバーブ音の音量が通常のリバーブよりも極めて大きく、音量の減衰も非常にゆっくりなので、リバーブが凍りついたまま伸びているような異様な音響になっています。その「残響」が残っている内に次のアタック音が演奏されるので、この残響音もどんどん重なっていきクラスター状になっていき、非日常な世界へと誘われます。
この静的な音響は「3時間目:自然の持続時間」を連想させますが、アコースティック・ピアノのためのこの作品をミュージック・コンクレートでやってみました、という感じの仕上がりになっています。
この宇宙的な音響の合間にシュトックハウゼンの語りが入りますが、「Liebe」「Freundschaft」などの「美しいことば」がポツポツと話されるだけです。その力の抜け具合がなんともゆるくて、微妙にツボにはまります。


僕も13日にオーダーしたので早ければ年内に聴けるかもしれません。
TURIN楽しみです。
商品に同封されたカタログによると、当初2月発売予定だった残りのあと一枚、1月に発売されるようです。