2007年1月アーカイブ
私が出演する訳ではありませんが、私にゆかりのある曲が今週の土曜日NHK-FMで放送されるとのことですので、紹介しておきます。
1/27(土) am9:00-10:57 NHK-FM「名曲リサイタル」
川島素晴作曲「まつだいら家。」放送 曽我部清典(トランペット)
その他の曲目等はこちら
オリジナルの「まつだいら家。」は松平頼暁氏の生誕70年を祝う演奏会のために川島氏が作曲したもので、「まつだいら・よりあき、まつだいら・よりつね」などと、ひたすら松平家の家系を淡々と「トランペットで」しゃべっていきます。
数年前宇和島でやった私のリサイタルのために、同じアイデアによる私の名前をメインにしたヴァージョン「まつだいら家。II」を委嘱し、そのリサイタルのゲストとして参加して頂いた曽我部氏によって初演されましたが、現代音楽にほとんど馴染みのないお客さんも抱腹絶倒していました。
今回放送される演奏では、IとIIを自由に混ぜて演奏しているようで、私の名前が出てくるのかどうかも分かりませんが、とても面白い曲ですので是非聴いてみて下さい。
文字通りの「名」曲で、「名曲アルバム」という企画に最も相応しい作品と言えるでしょう。
またまたシュトックハウゼンの新譜発売です。
http://www.stockhausen.org/whats_new.html
曲目、価格は以下の通りです。
CD 82
MICHAELS-RUF
BASSETSU
SYNTHI-FOU
QUITT
KOMET
TRUMPETENT
23 €
ちなみにリンク先で見られるこのCDのジャケットはQUITTのスコアのスケッチです。このスケッチだけで作品全体の3つの楽器のピッチ構造を表しています。完成版のスケッチもこの図形楽譜をもとにしたカラフルな楽譜なので視覚的にも楽しいです。
久々に「光」がらみの作品集ですが、管楽器、シンセ、打楽器の作品を4本のトランペットのファンファーレ風の作品が囲む構成になっています。
最後に収録されているTRUMPETENTは「トランペット+テント」で演奏者はテントの中から楽器のベルだけをのぞかせて演奏する珍曲です。
ONE9(1991) 笙ソロ
TWO3(1991) 笙と巻き貝の貝殻
TWO4(1991) 笙とヴァイオリン
これらの作品は上のCD及びDVD-Audio(ジャケットをクリックするとamazonに飛びます)で聴くことができますが、作品間の関係が少し複雑です。
ONE9とTWO3の笙パートは同一です。TWO3はONE9の笙パートに水を入れた巻き貝の貝殻のパートを加えたもので、巻き貝を動かすことによって意図せず生じる水のゴボッという音が本当に忘れた頃に(10分に一度くらい)笙のハーモニーに一瞬だけ加わります。そしてこの二つの作品は10のパートから構成されていて、全部を演奏すると2時間かかります。
非常に長い演奏時間ですが、沈黙の中から立ち上がる笙の時間を超越した無意図的で神秘的なハーモニーを聞くのは案外楽しいものです。
ONE9はさらに、オーケストラ作品である「108」(1991)と同時演奏が可能となっています(さらにこの「108」は特殊なチェロ独奏のためのONE8との同時演奏も可能です)。「108」の演奏時間は43分30秒(「4分33秒」のパロディだと思います)なのでONE9のパートの一部のみを演奏するのでしょう(スコアを見たことがないので厳密にチェックはしていません)。
「108」は108人のオーケストラ奏者が指揮者の代わりに設置されたテレビ・モニターの時計を見ながらそれぞれのパートを勝手に演奏する作品ですが、音素材としては弱音の長い持続音が中心(時折短い、より強い音も加わります)でこれが108個重なることによって得も言われぬ繊細なハーモニーが立ち上がるのですが、ここに笙ソロのONE9が加わると、笙のハーモニーがオーケストラのハーモニーへ滲み出るような効果が生まれます。この同時演奏による版は上の左の方のCDで聴けます。
TWO4は笙のハーモニーにヴァイオリンの弱音の持続音が重なる作品で、ヴァイオリン・パートは微分音も含みます。ヴァイオリンと笙は一見何の繋がりも無いように見えますが、ヴァイオリンが弱音の持続音で演奏することで、これら二つの楽器の音色が絶妙に重なり合います。ちなみにこの作品の笙のパートはピアノでも演奏可能です。
右のアルバムはDVD AudioでTWO3、TWO4と巻き貝の貝殻を複数使ったInlets(1977)を加えて、笙と貝殻の2つを主人公とした作品集となっていますが、こちらはiTunes Storeでもわずか1500円で購入可能です(以下バナーがリンクとなっています)。この他、ケージのナンバー・ピースはさりげなくiTunes Storeでたくさん発売されたりしています。
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シュトックハウゼン公式サイトにまた動画追加です。
前回と同様、昨年のシュトックハウゼン講習会のゲネプロの様子ですが、今回はKLANG3時間目「自然な持続時間」の10曲目の映像です。
ピアノ・ソロの作品ですが、ピアニストの右手にインディアン・ベルを装着しての演奏なので右手の高音域のフレーズの演奏に呼応してシャラシャラとインディアン・ベルが鳴る仕掛になっています。
こちらから動画ファイルのリンクを見つけることが出来ます。
http://www.stockhausen.org/stockhausen_multimedia.html
足立正生監督の同名の新作映画のサウンド・トラックです。Sachiko M、ジム・オルーク、秋山徹次、飴屋法水、刀根康尚らの強力な共演者との即興演奏をまとめたものですが、その内容は素晴らしいの一言に尽きます。ジム・オルークの静謐なギター、様々な具体音や電子音、激しいノイズ的な音響などが絶妙なバランスで同居していますが、それら全てに過激な美しさと表現したくなる何かが存在しています。特にノイズ系の音響がこのように(物理的にも)美しく響く音楽は他に聴いた事がありません。これはミキシング、マスタリングが絶妙でもあるのでしょう。
サウンド・トラックという様々な小品が並ぶアルバム形態自体も、この激しく切ない音楽の美しさを際立たせ、イマジネーションを喚起させるのに寄与していますが、実際は映画で使われた音楽からさらに手を加えているようです。
映画自体は2月3日からユーロスペースで上映されるようですが、あらすじを読んでこの音楽の内容に納得しました。
「幽閉者(テロリスト)」公式HP
シュトックハウゼンの本家HPに、KLANG2時間目「FREUDE」のゲネプロの動画(2006年のシュトックハウゼン講習会での模様)がアップされています。
以下のリンク先から動画ファイル(263MB!)へアクセス出来ます。
http://www.stockhausen.org/stockhausen_multimedia.html
2台ハープというシュトックハウゼンのイメージから掛け離れた作品ですが、天使がハープを弾きながら歌っているかのような雰囲気は映像で見ることによってさらに増幅されることでしょう。
本日は、とある合唱団を指導していたのですが、練習中にその施設からサイレン風電子音と共に突如館内放送が入り「火災報知器が反応し云々」とのこと。最後に「そのままお待ち下さい」とのことだったので、練習を再開すると、数分後にまた同じような館内放送。
また同じ内容かな、と思っていたら「火事です。速やかに避難して下さい。」というメッセージ。ひーっ、リアル火事かよ!と驚き、練習を中断、慌てて荷物をまとめて階段で出口まで避難しました。
階段で少し焦げたような臭いがしましたが、直接火を見ることもなく、それほど大きなものではなかったらしい事にほっとしましたが、部屋にも戻れない状況だったので結局練習はそこで終わりとなりました。
今まさにいる建物が火事という体験はしたことがないので、一瞬ひやりとしましたが、「火事宣言」になったときのサイレン風の電子音の音色のプログラミングが妙に恰好良く、且つ音高の変化、リズムの構成など緊迫感をあおる感じでなかなか良いな、と冷静に分析してしまうあたりに音楽家の性を感じてしまいました。
そして今も、火事といえばハイドンに「火事」という副題のついた交響曲があるけど聴いた事ないな、とかケージの「ソング・ブックス」には「山火事の録音を再生すること」という指示のある曲があったななどと、余計な連想がさらに連なってしまっています。

大竹伸朗「全景」展の売店でゲットした「宇和島駅Tシャツ」を着てみました。
次回宇和島に帰省した時には「リアル」宇和島駅でこのTシャツを着て記念撮影してみたいものです。
ちなみにこの「宇和島駅」看板があったころの改築前の宇和島駅の写真を発見しました。
こちらです。
あけましておめでとうございます。
昨年はなんといってもモーツァルト・イヤーで大盛り上がりでしたが、私が実際に人前で歌った曲は初期のミサ曲のソロとお下劣な歌詞のカノン(日本語訳で!)くらいでした。音楽裏街道を歩んでいますので(汗)。
ショスタコーヴィチのアニヴァーサリーもややマニアックに盛り上がりましたが、「森の歌(オリジナル詞!)」「バビ・ヤール」の合唱を本場ロシアのオケとやったのはいいとしても、なぜか「ジャズ組曲第1番」を歌う、という不可思議なこともやり、意外にツボにはまっています。
さて、今年もシベリウス没後50年などのアニバーサリーがあります。
細かくやり出すとキリがないのでとりあえずかなりピッタリな数のものだけです。
(抜け、多少中途半端でも要注目なものなどあればご指摘下さい)
ツェルニー没後150年 1791-1857
エルガー生誕150年 1857-1934
グリーグ没後100年 18431907
シベリウス没後50年 1865-1957
コルンコルド没後50年 1897-1957
松平頼則生誕100年 1907-2001
ナンカロウ没後10年 1912-1997
しかし、私にとって最も重要なのがジョン・ケージでしょう。
ジョン・ケージ1912-1992
生誕95年、没後15年という中途半端なアニヴァーサリーではありますが、現代の作曲家でケージほど声のための作品を大量に作った人はいませんし、彼の中心的な作曲法である(演奏、作曲両面の)不確定性が、声の可能性を演奏家が主体となって引き出させるというところに大きな魅力を感じます。
前夜祭に近い感じで、「声のためのソロ2」を10日ほど前にやりましたが、すでにいくつかケージを演奏する企画があります。
まず2月23日にケルンで「龍安寺」をやります。
そして4月22日に(東京で)ケージの無伴奏声楽作品ばかりをあつめたソロ・コンサートも企画していますが、こちらは曲目はまだ何も決まっていません。
「ソング・ブックス」「Music for One」「62 Mesostics Re Merce Cunningham」あたりから選ぶことになると思いますが、2時間くらいの枠だとあっという間に超えてしまうので選曲が大変です。
せっかくなので出来るだけ「退屈」なプログラミングができれば、と思います。
ついでに、6月10日(けやきホール)にはケージの師であるシェーンベルクの声楽作品を中心に集めたコンサートを大井浩明氏とのデュオで予定していて、現在曲目がほぼ固まってきていますが、大井氏のチャレンジャー魂が炸裂したかなり「てんこ盛り」な内容になっています。
前回、大井氏とやったときもシューベルト「冬の旅」、ケージ「冬の音楽」+「ソング・ブックス」をフォルテピアノでやるという無理矢理、無謀な企画だったのですが、今回はある意味それを超えてしまうかもしれません。
ということで今年も宜しくお願いします。




