2007年3月アーカイブ

[一部フィクション有]

家の近くの小さなスーパーの店内で流れている変なメロディーがずっと気になっています。
総菜を売っているコーナーに置かれた小さな機械から流れているのですが、チープなMIDI音源風の音色でエンドレスで奏でられる不自然な展開のメロディーのつながりが購買意欲をそいで音楽に釘付けにしてしまうのです。


4分の4拍子 テンポ120 ばかっぽく
(1小節ごとに改行、8分音符単位で書いてます。休符は「・」)

ソソーラソミソ・
ソソーラソミソ・
ドドドレミーード
ミーーソソー・・
ドドドレミー・・
ドドドレミー・・
レレードレ・ミ・
ソ・ファ・ミ・レ・

(冒頭に戻り、以下同様に繰り返し)


いきなり中途半端なサビ的な(でもサビになりきれない)メロディーから始まるのも奇妙なのですが、その後のメロディーの続きたいのか終わりたいのか分からないような不可思議な展開が絶妙に変です。

一ヶ所の例外を除いてド、レ、ミ、ソの4音だけしか使わない節約精神も素晴らしいです。

伴奏は8分音符の刻みのマーチ風(ベースは1拍ずつ根音と第5音を繰り返し、和音を裏拍で刻む)なのですが、機械のスピーカーがチープなのとまわりがざわざわしているのでコード進行がよく聴き取れませんでした。
単純なI-IV-Vの繰り返しだろうと思っていたのですが、最近商品を凝視するふりをしてスピーカーに耳をよく近づけてみると、ベース進行とコード進行が意外な動きをしていることに気付きました。

以下コード進行を書きます。


(ひとつのコードネームは1小節。
ベースは前述の通り常に根音と第5音の繰り返し)

C-C-Am-Am-F-F-G-G-(以下繰り返す)


このコード進行自体はごくごく普通のものなのですが、先程のメロディーと組み合わさるとさらにメロディーの奇妙さが際立つのです。

でも作曲者が拘ったであろう部分は、Amの部分でミーソソーというメロディーがかぶさるのでそこがマイナー7thになり、Fの部分でドドドレミーとなるところはメジャー7thになるところでしょう。
基本的に知性の全く感じられないメロディーの一瞬のこだわりをスーパーの店頭で発見し驚愕と感動に打ちひしがれ、結局何も買うことなく店を去るのでした。

それ以来、このお気に入りのメロディーを自宅でリコーダーで演奏するのが日課になっています。

シュトックハウゼン音楽財団より最新作に関するメールが届きました。

5月にローマで初演される新作の電子音楽「COSMIC PULSES 宇宙の脈動」に関してのものです。この作品は現在のシュトックハウゼンが作曲し続けている24の連作「KLANG」の13時間目にあたるもので、二人のアシスタントと電子音楽のリアリゼーションを集中的に行っているそうです。

太陽を回る24の惑星のそれぞれの軌道、自転などの動きを24の音のレイヤーとみなした、8チャンネルの電子音楽として表現しようとする作品らしく、24×8=192トラックの情報をコンピューターで制御するという、詳細は分かりませんが、気の遠くなるような作業を行っているらしいです。
(そういえば先月カティンカから送られたメールにも、シュトックハウゼンは朝から晩までスタジオに籠りっきりになっていると書かれてました。来年80歳なのに元気なものです。)

ちなみにこの新作は7月のキュルテンでのシュトックハウゼン講習会でも演奏(ドイツ初演)されます。
もともとこの作品は「6時間目」として計画されていたのが、ここに来て「13時間目」に変更されています。
KLANGで使用されている24音のセリーのスケッチの12個目と13個目の間に太い線が引かれ「真昼」と書かれていて、KLANGの各作品ではしばしば、セリーの13個目の音、あるいは13番目の部分(24の部分に分割することが多いです)に何か例外的なことが起こるように作曲されています。
つまりこの「COSMIC PULSES」は作曲してみて、KLANGの中でも中心的な作品になり得ると確信し、6時間目から13時間目に変更したのではないかと思います。

近作の電子音楽といえば「水曜日の迎え」や「日曜日の別れ」ですが、この時点で相当高い境地に達しています。そこからさらにどう展開して行くのか非常に興味深いところです。

やっとまともな状況になりました。
今まではJRはスイカでピッとタッチ、私鉄はパスネットでカードを挿入、この微妙な動作の違いに慣れるのに時間がかかりましたし、最近でも少し酔っぱらったり疲れてたりしているとJRの改札機にパスネットを突っ込んでしまった事もあります。

JRと私鉄の乗り換え改札はもう最悪。
パスネットを先に入れてあとでスイカをタッチして、などと考えながらやってるのでいつも改札口は混んでるし、機械化された改札口の横で必ず説明のための駅員さんがいるのが不合理な感じでした。

例えば、松戸から表参道に行く場合、JRから地下鉄に乗り入れですが、入場はスイカ、出場はパスネットになるので「?」と思い駅員さんに訊いたら、もしスイカで入ってしまうと表参道で降りる時にものすごく複雑な手続きが必要になるので、乗車券を買って下さい、とのこと。
乗り入れしているくらいだから、そうした経路を使う人が多いはずなのに非常に不便でした。

それが、今回JRも私鉄も一枚のカードで使えるとなり、やっとそうした不便さからも解放されます。
まだパスネットが2000円位残っているので、まずはそれを使い切らなくてはいけませんし、私鉄の改札でピッというのにまだ慣れていないので違和感がありますが、その内慣れるでしょう。

ただ何でもピッですむようになると、疲れた時に自宅の玄関の前に立ってドアにピッとやりそうな気がします(汗
実際、今までも自宅のドアにパスネット挿入しようとして、おかしいことをやっているのに気付くのに数秒かかった事がありますし。。。

提出は正規の期日に間に合いませんでしたが、何とか終了しました。
今年は例年以上に還付金が戻ってくるので、このお金でどこかへ「一飛び」できそうな勢いです(笑)

確定申告のためにいつもやっていることといえば、とりあえずレシート類は捨てずに一つの袋に放り込んでおくということだけなので、経費の計算をする前にまず山のようなレシートの分類と整理をしなくてはなりません。
交通費も一年間のスケジュールを洗いざらい調べて毎日の交通費をジョルダンでまとめて調べる有様です。こんなこと毎日まめにやっておけば後で楽になるのにと思いつつ毎年実行出来ません。。

逆にここまで出来れば後は楽勝です。
表計算ソフトに数字をガンガン打ち込めば合計金額や減価償却の少々面倒な計算も勝手にやってくれます。そして、いまや国税局のHPで申告書類が作れるので、間違えないように緊張しながらペンで書き込む必要もありませんし、税率や控除の計算も完全に「おまかせ」で時代も変わったなと実感します。

経費関係の内訳表は、去年は用紙だけプリントアウトして中身は手書きだった記憶がありますが、今年は数字等の入力、計算もWeb上でできるのでさらに楽でした。

この確定申告や、勤務している大学の何百人もの成績の管理で活躍するのは表計算ソフト、しかしマイクロソフト嫌いの私は絶対エクセルを使いません。買うと非常に高価ですし、その程度のちょっとした計算に使うには馬鹿馬鹿しいですし。。

(ちなみにエクセルを「表計算」ではなく、単なる「表」を作るためのソフトとして使う「贅沢」な人も多いです。そういえば、仰々しくエクセルのファイルを添付されたメールを開いて見たら、表にすらなっていない、メール本文に貼り付けても良い程度の数行の質問事項だけの内容で唖然とした事もあります。)

ちなみにマイクロソフトのOfficeと互換性のあるNeoOfficeなどのフリー・ソフトもインストールはしているのものの、こちらはワードやエクセルの添付ファイルを開くためだけに使っていて、単体で使うには少々使い勝手が悪かったりします。ソフトの見栄えもあまり洗練されていなくて、これが仕事のやる気を意外に奪ってしまうということもあります。

そこで、私が長年愛用している表計算ソフトはAppleWorksです。
「二昔」前のマックのいくつかの機種に入っていた気軽に使える統合ソフトで、ワープロ、ドロー機能に加えて表計算もできて価格は1万円を切っていたと思います。
このソフトをインストールしたのがいつなのか調べて見るとなんと7年前、その間にMac OSは9からXに移行し、ほとんどのソフトがどんどんアップグレードしたり機能不足で使わなくなったりする中、このソフトは今でも現役バリバリです。

ここまで私が長年使っているのは、あとFINALEとJeditくらいではないでしょうか。
FINALEは毎年ヴァージョン・アップしてどんどん進化している(そしてアップグレード料金も飛んでいく)のですが、AppleWorksは買った時のヴァージョンが「6」、そして現時点での最新ヴァージョンが6.2.9、つまりほとんどアップグレードされていないのです。というか、もうここ何年も放置プレー状態ですし、アップルも自然消滅を待っているのでしょう。
そのような「いにしえ」のソフトがいまだに動いているのは感動的ですが、ちょっとした不満をのぞいて機能的に物足りなさをほとんど感じないのも驚きといえるでしょう。動作が極めて軽快なのもポイントです。

もっともAppleWorksは私にとっては表計算機能以外は「死んで」いるのでワープロ、ドロー機能はもう何年も使用していません。

AppleWorksの後継ソフトにあたるiWorkに表計算機能があるそうなのですが、おまけ以上の機能があるのかどうか分からず、ずっと躊躇しながら数年が過ぎようとしています。

ここ数ヶ月間の主な予定です。

■4月22日(日)13:30開演(予定) WINDS CAFE 124 in 三軒茶屋
 【ケージ:声のための作品集 〜ケージ生誕95年・没後15年によせて〜】
松平敬(声)
三軒茶屋・レンタルスペースSF
入場無料(投げ銭方式)

実は諸事情があって曲目がまだ完全に決まっていませんが、先日ケルンでも演奏し好評だった「龍安寺」や「MUSIC FOR ONE」(声のソロのためのヴァージョン)ほかを予定しています。
ケージの声のための作品ばかりをやるというのは少なくとも決定です。


■5月13日(日)17:00開演 双子座三重奏団
曽我部清典(トランペット)、中川俊郎(ピアノ)、松平敬(声)
渋谷・公園通りクラシックス
当日3000円、予約2500円

今回で三回目になる双子座三重奏団のライヴ。
相変わらずの「ゆるい」雰囲気は同じかと思いますが、鈴木治行、伊東乾両氏の新作初演を予定しています。


■6月10日(日)14:00開演 松平敬(バリトン)・大井浩明(ピアノ)デュオ・リサイタル
   歐われ 誦まれ 語られる 〜シェーンベルクな午後〜
代々木上原・けやきホール
曲目:「月に憑かれたピエロ」「黄金の仔牛の踊り(川島素晴編)」「ワルシャワの生き残り」、歌曲作品など
入場料:3000円(当日3500円)

個人的には今年前半期最大のイヴェントが本リサイタルです。
シェーンベルクの初期から晩年までの声楽作品を網羅するプログラムですが、通常の歌曲作品に加え、「ピエロ」「ワルシャワ」などの室内アンサンブル、またはオーケストラのための作品をピアノ・ソロ版で演奏というのがミソです。
複雑で色彩的な器楽アンサンブルを大井氏の超絶技巧ピアノでどう演奏するかが聞き物です。
一方、声のパートも、伝統的な歌唱法、シュプレヒシュティンメ、語りと、シェーンベルクの多彩な声楽技法を駆使した作品を並べています。
大井氏とは一昨年シューベルト「冬の旅」、ケージ「冬の音楽」+「ソング・ブックス」を一晩でやってしまうという無謀な企画を一緒にやっていますが、今回の企画もそれを上回る「おなかいっぱい」なものとなっています。

cologne2007.jpg

上の写真をクリックすると写真をたくさんアップしたサイトへ飛びます。
iPhotoとiWebで作ったこの写真サイト、ほとんどソフトのテンプレートを使っているだけなのに非常にカッコいいスライド・ショーまで出来て便利ですね。

今回はぶらぶらする時間はあまりなかったので写真もそれほど撮っていませんが、ケルンに行くと毎回大聖堂の写真を撮ってしまいます。

その他の写真はホテルから稽古場所や日本文化会館への途中の風景です。

http://www.itchu.com/shamisen/shamisen-tone.html

三味線の画像上の弦をクリックするだけで演奏出来ます。
実際の演奏をサンプリングして作っているので音色もリアルです。

微分音マニアにもお薦め(笑)

arsnova_in_c.jpgテリー・ライリーの「IN C」といえば彼の代表作であるだけでなくミニマル音楽の「基本」のようなもので、これまで様々な演奏を収めたCDが発売されています。楽器編成が自由なので(民族楽器を用いたものからジャズ・ロック風なものまであります)、そのチョイスによって印象も違うし、この曲の場合そこで成否が決まるといっても過言ではありません。

あまりに色々な演奏が出回っているので、今回この新作アルバムを見つけた時に「またかよ〜」と一瞬スルーしかかったのですが、ジャケットにポール・ヒリアーの名前を見つけて「おっ?」となりました。
演奏は12人の声楽アンサンブルと9人の打楽器奏者によるマリンバばかりのアンサンブル(ヴィブラフォン、バリ・ゴングの奏者が例外的に一人加わります)というもので、この編成を見ただけで「勝ち」だなと直感しました。

ポール・ヒリアーの指揮する声楽アンサンブルは予想通りの透明感溢れるサウンドで、複数のマリンバの重なり合う様はガムラン音楽「風」、声の持続音、マリンバの減衰の早い音の組み合わせのお陰でこの曲の演奏で陥りがちなカオス的な状態に陥る事をうまく回避し見事な「多重人力ディレイ」を聴かせます。1時間という長時間にも関わらず、軽やかさを失う事なく無限の時を刻みつけていきます。

そういえばヒリアーは、ミニマル音楽と比較される事の多いシュトックハウゼンの「STIMMUNG」でも好演していましたし、「中世のミニマリスト」ペロタンの作品集(ヒリアード・アンサンブル)にもかつて衝撃を受けた記憶があるので、この種の時間感覚との相性が良いのでしょう。

ringohan.jpg「東京事変」名義になってから私の林檎姫熱も若干醒めていたのですが、この新しいDVDには久々にやられました。
マイルス・デイヴィス、ビョークなど、素晴らしいミュージシャンはライヴの映像が面白いですが、このライヴも極上です。

椎名林檎と二人のオヤジの共演という企画の地味さを見ただけで期待は高まります。

前半が斎藤ネコ率いるマタタビオーケストラ(それにしてもひどいネーミング・・・)との共演ですが、ヴァイオリンなど弦楽器が沢山並んでるのを見るだけでゴージャスな気分になります。
ジャジーなアレンジをバックにじっくりと歌い上げる様も風格ばっちりですが、実は椎名林檎の曲はジャズ的なコード進行で出来ているのでこうしたアレンジでもしっかりハマるのです。

いつもながらの中途半端で間の悪いMCも気分を盛り上げます。
時々演歌のコンサートを聞いているような気分になるのも林檎姫の計算でしょう。
(このライヴのスタジオ録音版に相当する「平成風俗」も要チェックです)

後半は一転して長谷川きよしとのデュオ(途中からフルートのMAKIが加わりますがオマケ以上の存在感はありません)で退廃的ボサノヴァ風のアレンジで渋く聴かせます。この親子ほど離れた二人の組み合わせも面白いのですが、長谷川きよしが登場する前に林檎姫が足踏みオルガンの弾き語りで聴かせる「幸福論」「ギブス」の切り詰めたアレンジが実は素晴らしかったりします。

ライヴハウスのようなところでの、大ホールでは得られない親密な雰囲気での演奏ですが、椎名林檎ファンのチープな野次には相変わらず失笑です。。

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おしらせ

双子座三重奏団うるう日ライヴ
2012年2月29日19:00-
門仲天井ホール

双子座2012チラシtogo.jpg

中川俊郎:バッハーズ・アロウ
森田泰之進:こうふくのしま
鈴木治行:蛇行
山本哲也:スライドホイッスル三重奏曲
ケージ:ラジオ・ミュージック
ほか

出演:
曽我部清典(トランペット)
中川俊郎(ピアノ)
松平敬(声)

コンサート詳細はこちらまで

■タリス:40声のモテット
(一人の歌手による多重録音)

ご試聴、ご購入は以下まで
iTunes
e-onkyo music
OTOTOY

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》

 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006
平成22年度文化庁芸術祭
レコード部門優秀賞受賞作品

文化庁芸術祭シンボルマーク

プロモーション・ヴィデオ

ご購入は以下まで:
HMV ONLINE
TOWER RECORDS ONLINE
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