[一部フィクション有]
家の近くの小さなスーパーの店内で流れている変なメロディーがずっと気になっています。
総菜を売っているコーナーに置かれた小さな機械から流れているのですが、チープなMIDI音源風の音色でエンドレスで奏でられる不自然な展開のメロディーのつながりが購買意欲をそいで音楽に釘付けにしてしまうのです。
4分の4拍子 テンポ120 ばかっぽく
(1小節ごとに改行、8分音符単位で書いてます。休符は「・」)
ソソーラソミソ・
ソソーラソミソ・
ドドドレミーード
ミーーソソー・・
ドドドレミー・・
ドドドレミー・・
レレードレ・ミ・
ソ・ファ・ミ・レ・
(冒頭に戻り、以下同様に繰り返し)
いきなり中途半端なサビ的な(でもサビになりきれない)メロディーから始まるのも奇妙なのですが、その後のメロディーの続きたいのか終わりたいのか分からないような不可思議な展開が絶妙に変です。
一ヶ所の例外を除いてド、レ、ミ、ソの4音だけしか使わない節約精神も素晴らしいです。
伴奏は8分音符の刻みのマーチ風(ベースは1拍ずつ根音と第5音を繰り返し、和音を裏拍で刻む)なのですが、機械のスピーカーがチープなのとまわりがざわざわしているのでコード進行がよく聴き取れませんでした。
単純なI-IV-Vの繰り返しだろうと思っていたのですが、最近商品を凝視するふりをしてスピーカーに耳をよく近づけてみると、ベース進行とコード進行が意外な動きをしていることに気付きました。
以下コード進行を書きます。
(ひとつのコードネームは1小節。
ベースは前述の通り常に根音と第5音の繰り返し)
C-C-Am-Am-F-F-G-G-(以下繰り返す)
このコード進行自体はごくごく普通のものなのですが、先程のメロディーと組み合わさるとさらにメロディーの奇妙さが際立つのです。
でも作曲者が拘ったであろう部分は、Amの部分でミーソソーというメロディーがかぶさるのでそこがマイナー7thになり、Fの部分でドドドレミーとなるところはメジャー7thになるところでしょう。
基本的に知性の全く感じられないメロディーの一瞬のこだわりをスーパーの店頭で発見し驚愕と感動に打ちひしがれ、結局何も買うことなく店を去るのでした。
それ以来、このお気に入りのメロディーを自宅でリコーダーで演奏するのが日課になっています。
完




