以前から発売されていたエレン・コルヴァーによる「ピアノ曲I~XIV」はピアノの鍵盤の目の前に座っているかのようなクリアーな音像が印象的でしたが、今度の新譜は1歩進んでピアノの蓋の中に頭を突っ込んで録音したような音像にミックスされていて、かなり異様な音質になっています。
特に前半はピアノの減衰音をじっくりと聴く作品が多いので、このようなミックスになっているのですが、先日間近での生演奏を聴いた時ですら聴こえなかったような微細な音響に溢れていて驚かされます。
今回初めて聴いた16曲目以降はどんどん音数が増えていき演奏時間も短くなっていきますが、24曲の全体のバランスでみるとこうしたテクスチュアの違いを周到に計画していることが分かります。
24曲目では、それまでの23曲の断片の引用だけで構成されていますが、1-23-2-22-3-21-・・・という順番で組み合わされ、それぞれの引用は微妙に変形されたり絶妙な経過句が組み合わされたりして、単なる回想に終わりません。
この順序で組み合わされることにより、前半のゆったりした感じと後半の音数の多いフレーズが絶妙に組み合わされ、最後に13曲目、12曲目のシンプルで瞑想的なコードの連打で終わるところなどはシュトックハウゼンの構成力のうまさを感じさせます。
もう1枚の新譜(CD82)も「コメット」や「SYNTHI-FOU」の再録音の価値のある秀逸な別ヴァージョンもすばらしいですが、QUITTの唸りまくる微分音のハーモニーが最も印象に残りました。


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