2007年11月アーカイブ

シュトックハウゼンの7つのオペラ「光」に続くプロジェクト、1日の24時間を音楽化しようとするKLANGが実はすでに21時間目まで完成していることが判明しました。
作曲年のない11,12時間目は作曲中かと思いますが、残るは22~24時間目の3曲のみ、このペースで行くと2008年に全曲が完成しそうな勢いです。

詳細は以下のPDFファイルの27〜28ページ目をご覧下さい。
http://www.stockhausen.org/list_scores_books_2007.pdf

以下に日本語に訳してまとめたものを掲載します。
14〜21時間目は13時間目「宇宙の脈動」の電子音楽24のレイヤーを3層ずつにばらしてミキシングし直し、そのレイヤーの音域に近い楽器または歌手のソリストが同時に演奏する形になっているようですが、不思議な響きのタイトルはUrantia Bookから取っていると思われます。

「1時間目:昇天 HIMMELFAHRT」(2004/05)[37分]ソプラノ、テノール、オルガンのために CD83 
(2005年5月ミラノ大聖堂で初演)
オルガン・パートは左右の手で同時に異なるテンポで演奏しなくてはならない。
オルガン・パートをシンセサイザーで置き換えた版もある。
リンク:公式ページ上の簡単な解説

「2時間目:喜び FREUDE」(2005) [41分]2台のハープのために CD84
(2006年6月ミラノ大聖堂で初演)
2人のハーピストは演奏しながら歌も歌う。歌詞は24行のVeni Creator Spiritusで各行がこの作品の24の音楽的モメントに対応している。
リンク:公式ページ上の簡単な解説

「3時間目:自然の持続時間 NATÜRLICHE DAUERN」(2005/06)[約140分]ピアノのために CD85
(2006年2月NYにて1曲目、2006年7月ドイツ、キュルテンにて2-15曲目を初演。
2007年7月リスボンにて16-24曲目を初演。)
ピアノの持続音の自然な減衰時間やピアニストの呼吸の長さなどに基づいた非メトロノーム的テンポでリズムが決められ、それ自体が24の作品から構成される。

「4時間目:天国への扉 HIMMELS-TÜR」(2005)[約28分]打楽器奏者と子供のために CD86
(2006年6月イタリア、ルーゴで初演)
6つの異なる素材でできた木のドアを打楽器奏者が様々な方法で叩き続ける異色作。

「5時間目:ハーモニー HARMONIEN」(2006)[約15分]フルート、バス・クラリネット、またはトランペットのために
(2007年7月ドイツ、キュルテンにて初演)
管楽器の広音域にまたがる素早いアルペッジョの加速や減速によってメロディーとハーモニーの領域をつなぐ。

「6時間目:美 SCHÖNHEIT」(2006)[約30分]バス・クラリネット、トランペット、フルートのために
(2009年10月リスボンにて初演予定)

「7時間目:バランス BALANCE」(2006/07)[約30分]バス・クラリネット、イングリッシュ・ホルン、フルートのために
(2008年8月ケルンにて初演)

「8時間目:至福 GLÜCK」(2006/07)[約30分]ファゴット、イングリッシュ・ホルン、オーボエのために

「9時間目:希望 HOFFNUNG」(2006/07)[約35分]チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンのために
(2008年8月ケルンで初演予定)

「10時間目:輝き GLANZ」(2006/07)[約40分]ファゴット、ヴィオラ、クラリネット、トランペット、トロンボーン、オーボエ、チューバのために
(2008年6月アムステルダムで初演)

「11時間目:忠誠 TREUE」[約30分]バス・クラリネット、バセット・ホルン、Es管クラリネットのために

「12時間目:覚醒 ERWACHEN」[約30分]チェロ、トランペット、ソプラノ・サックスのために
(2009年10月ブリュッセルにて初演予定)

「13時間目:宇宙の脈動 COSMIC PULSES」(2006/07)[32分]電子音楽 CD91
(2007年5月ローマにて初演)
24層のパルス風(ただししばしばテンポの変化を伴う)のメロディーのループが8チャンネルの空間で複雑に重なりうごめく強烈な電子音楽。
リンク:公式HP上の曲目解説

「14時間目:HAVONA」(2007)[24分10秒]バスと電子音楽のために
(layers 24 - 23 - 22 from COSMIC PULSES)
(2009年1月パリで初演予定)

「15時間目:ORVONTON」(2007)[24分]バリトンと電子音楽のために
(layers 21 - 20 - 19 from COSMIC PULSES)

「16時間目:UVERSA」(2007)[22分40秒]バセット・ホルンと電子音楽のために
(layers 18 - 17 - 16 from COSMIC PULSES)

「17時間目:NEBADON」(2007)[21分40秒]ホルンと電子音楽のために
(layers 15 - 14 - 13 from COSMIC PULSES)

「18時間目:JERUSE」(2007)[20分40秒]テノールと電子音楽のために
(layers 12 - 11-10 from COSMIC PULSES)

「19時間目:URANTIA」(2007)[19分40秒]ソプラノと電子音楽のために CD97
(layers9-8-7fromCOSMIC PULSES)
(2008年11月ロンドンで初演)

「20時間目:EDENTIA」(2007)[18分40秒]ソプラノ・サックスと電子音楽のために CD98
(layers6-5-4fromCOSMIC PULSES)
(2008年8月ハンブルクで初演)

「21時間目:楽園 PARADIS」(2007)[18分]フルートと電子音楽のために
(layers3-2-1fromCOSMIC PULSES)

シュトックハウゼンの1960年代の集大成といえる演奏時間2時間の大作「モメンテ」が完成からほとんど半世紀たって遂に出版されました。

初期から最新作に至るまでほとんどの全ての作品の楽譜が出版されているのに、重要作である「モメンテ」だけがいままで未出版だったのは奇妙でしたが、生誕80年を記念しての今回の出版でその穴が埋められました。
来年にはリスボンでこの「モメンテ」が演奏されるようです。

この作品はあるルールに従って各部分の演奏順序、挿入句の有無を確定して、その都度の演奏用ヴァージョンを作成しなくてはなりませんが、オリジナルのバラバラの状態の楽譜、シュトックハウゼン出版のCD(旧録音の方)で使用されているヨーロッパ版の確定された楽譜の二種類が同時に出版されています。

早速楽譜を注文しようとしたら、オリジナル版もヨーロッパ版も共に490ユーロ(!)というゴージャスな価格設定でビックリしました。
かなり分厚いカラー写真満載の豪華な楽譜でも200ユーロ前後だったので、このモメンテの楽譜は相当に豪華な仕様になっているかと思いますが、なんとかして手に入れたいものです。

詳しい情報は以下のページをご覧下さい。
http://www.stockhausen.org/momente_new_2008.pdf

10年前程から突然有名になったカッチーニの「アヴェ・マリア」ですが、一聴して初期バロックの作曲スタイルと異なる作風(むしろ「シヴァの女王」などの古いスタンダード曲を思わせます)から、きっとこの曲は偽作だろうと思っていました。
以前から色々調べていましたが、遂にそれなりに信憑性の高い情報を見つけました。

http://en.wikipedia.org/wiki/Vladimir_Vavilov

このサイトの情報によるとロシアのギター、リュート奏者でもある作曲家Vladimir Vavilov (1925 –1973)による作曲とのことです。彼はバロックやルネッサンスの作品と称して自作の曲を発表するということをよくやっていたようで、この「アヴェ・マリア」もそうした作品の一つのようです。ただ、彼はカッチーニ作とは称していなかったとのことで、どういう経緯でカッチーニ作曲というクレジットが広まったかはいまだによく分かりません。

こちらのサイトにはこの曲が有名になった経緯が書かれていますが、そのきっかけとなった録音で歌ったInessa Galanteはどこかでこの曲を(カッチーニ作曲と信じて)聴き、それを楽譜に起こした、とのことです。

もし、この話が本当だとすると、「アヴェ・マリア」まだ著作権の生きているVavilovの作品となるので、彼の遺族に突然著作権料が支払われることになるのでしょうか?

シュトックハウゼンの公式HPにコンサート情報が続々追加されていますがKLANGの新作になる7時間目、10時間目のタイトル、編成も判明しましたので以下にまとめておきます。おそらくKLANG全24曲の半分はもう作曲済と思われます。
それにしても10時間目の編成はかなり奇妙です。

KLANG以外の新作としては、クラウディオ・アバドより生誕80年を記念して、TIERKREISのオーケストラ版の委嘱があったことが最近アナウンスされました。

「1時間目:昇天 HIMMELFAHRT」(2004/05)ソプラノ、テノール、オルガンのために 
(2005年5月ミラノ大聖堂で初演)
オルガン・パートは左右の手で同時に異なるテンポで演奏しなくてはならない。
オルガン・パートをシンセサイザーで置き換えた版もある。
リンク:公式ページ上の簡単な解説

「2時間目:喜び FREUDE」(2005) 2台のハープのために
(2006年6月ミラノ大聖堂で初演)
2人のハーピストは演奏しながら歌も歌う。歌詞は24行のVeni Creator Spiritusで各行がこの作品の24の音楽的モメントに対応している。
リンク:公式ページ上の簡単な解説

「3時間目:自然の持続時間 NATÜRLICHE DAUERN」(2005/06)ピアノのために
(2006年2月NYにて1曲目、2006年7月ドイツ、キュルテンにて2-15曲目を初演。
2007年7月リスボンにて16-24曲目を初演。)
ピアノの持続音の自然な減衰時間やピアニストの呼吸の長さなどに基づいた非メトロノーム的テンポでリズムが決められ、それ自体が24の作品から構成される。

「4時間目:天国への扉 HIMMELS-TÜR」(2005)打楽器奏者と子供のために
(2006年6月イタリア、ルーゴで初演)
6つの異なる素材でできた木のドアを打楽器奏者が様々な方法で叩き続ける異色作。

「5時間目:ハーモニー HARMONIEN」(2006)フルートまたはバス・クラリネットのために
(2007年7月ドイツ、キュルテンにて初演)
管楽器の広音域にまたがる素早いアルペッジョの加速や減速によってメロディーとハーモニーの領域をつなぐ。

「6時間目:美 SCHÖNHEIT」バス・クラリネット、トランペット、フルートのために
(2008年10月リスボンにて初演予定)

「7時間目:バランス BALANCE」バス・クラリネット、イングリッシュ・ホルン、フルートのために
(2008年8月ケルンにて初演予定)

「10時間目:輝き GLANZ」ファゴット、ヴィオラ、クラリネット、トランペット、トロンボーン、オーボエ、チューバのために
(2008年6月アムステルダムにて初演予定)

「13時間目:宇宙の脈動 COSMIC PULSES」(2007)電子音楽
(2007年5月ローマにて初演)
24層のパルス風(ただししばしばテンポの変化を伴う)のメロディーのループが8チャンネルの空間で複雑に重なりうごめく強烈な電子音楽。

music_for_piano.jpgケージのピアノのための連作「Music for Piano」84曲すべてを収めた2枚組のアルバム(演奏:Sabine Liebner)です。この作品は、紙のわずかなシミや汚れを音符と見立てることによって作曲者の意図から解き放たれた音楽を作ろうとする試みによる作品ですが、全曲まばらな音が忘れた頃に孤独に鳴り響く展開や盛り上がりとは対極の音楽になっています。

この作品の最も大きな音響上の特徴は全ての音楽事象が他の音との関わりのない「単音」のみである、ということです。全曲を通じてペダルは踏みっぱなしなので、その単音の残響が時に他の音と重なり和音やメロディーのように聴こえることもありますが、あくまでもそれは偶然以上の何ものでもありません。
ピアノの単音といっても、通常の奏法に加えミュートやピッツィカートなどの内部奏法、ボディーを叩くことによる打楽器的な音響もチャンス・オペレーションによって選択されるので、多様な音域にそれらが配置されることによってストイックなりにも音響の多様さは感じられます。

音楽が続いているのをしばしば忘れてしまうほどの音のまばらさ(かなり長い無音の場面も数多くあります)が2時間ずっと続くのは、究極の退屈体験であるとも言えますが、私は不思議とこの無目的な音楽に延々と耳を傾けたくなります。

ケージのピアノ作品のCDは数多くありますが、意外にMusic for Pianoの録音は少なく、全曲録音はこれ以外にはSchleiermacherのものくらいではないでしょうか。ただこのアルバムは、演奏、録音ともに中途半端な感じで不満だったのですが、今回のアルバムを聴いてはじめてこの作品の美しさを味わうことが出来ました。

テュードアによる抜粋演奏と比べると、音量の振幅はずっと小さいものの(音量は演奏者の自由とスコアに書かれているので、どれが正しいということはありません)、それが音響の細部へと耳を傾けやすくさせているのがこの演奏のポイントでしょう。

この作品は何曲かを複数のピアノで同時演奏しても良いですし、それはそれでそれなりの面白さもあるのですが、「単音」にこだわったこの作品のコンセプトを考えると、ソロ・ヴァージョンがもっともそれを生かすのではないか、と思います。

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おしらせ

双子座三重奏団うるう日ライヴ
2012年2月29日19:00-
門仲天井ホール

双子座2012チラシtogo.jpg

中川俊郎:バッハーズ・アロウ
森田泰之進:こうふくのしま
鈴木治行:蛇行
山本哲也:スライドホイッスル三重奏曲
ケージ:ラジオ・ミュージック
ほか

出演:
曽我部清典(トランペット)
中川俊郎(ピアノ)
松平敬(声)

コンサート詳細はこちらまで

■タリス:40声のモテット
(一人の歌手による多重録音)

ご試聴、ご購入は以下まで
iTunes
e-onkyo music
OTOTOY

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》

 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006
平成22年度文化庁芸術祭
レコード部門優秀賞受賞作品

文化庁芸術祭シンボルマーク

プロモーション・ヴィデオ

ご購入は以下まで:
HMV ONLINE
TOWER RECORDS ONLINE
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