三日三晩

シュトックハウゼンは生前から、自分が死んでも三日間は誰にもそのことを知らせずに、「光の家」と名付けた作曲小屋(そこで数々の名作が作曲されました)に遺体を安置しておいて欲しい、という意思を示していて、実際その通りに行われたため、死去から報道まで3日間のタイムラグが生じたようです。

日本での報道を見ていると、たった数行の記事の中に、例のNYテロ事件に関する発言がいまだに誤解されたまま引用されていたり、悲しい気分になりますが、自分が死んだらその種の報道が沸くように出てくることを見越したシュトックハウゼンが、せめて3日間はそっとしておいて欲しい、とささやかに願ったのでしょう。

周辺からの情報では、「モメンテ」が出版される前に死ぬ訳にはいかない、などと発言し、この出版準備には尋常ではない意気込みを感じていたようで、印刷会社から仕上がった楽譜が届いて1週間、さすがの御大も気が抜けてしまったのではないでしょうか。

この作品自体が40年前に完成したもので、おそらく印刷技術の問題でずっと出版できないでいたものが、2年間の集中的な出版準備(楽譜の細部までに渡る校正、演奏指示の翻訳など)をかけてようやく出版となると、LICHTの25年にわたる作曲年数をはるかに越える長い道のりだったことになります。
この作品に折り込まれた、作曲当時の離婚、再婚というプライベートな確執も、作品に対する思い入れを強くしていたのでしょう。

ちなみに来年は生誕80年を記念して、数々のコンサートのオファーを受けていたようですが、その大半は断ったそうです。理由はKLANGの作曲に集中したいから、ということです。残る22〜24時間目を来年完成させようと思っていたのではないかと想像すると、無念でなりません。

ちなみにシュトックハウゼンが亡くなった直後に、公式HPにアクセスできなくなったとの、クレームのメールがいくつも届き、その内あるメッセージには「シュトックハウゼンは宇宙空間に消えてしまったのか?」というものもあったようです。HPの管理人が調べると、公式HPのサーバ使用に関する更新期限だったにも関わらず、その手続きを怠っていたため、アクセスができなくたった、との真相が判明しましたが、偶然にしろ、面白い一致だと思います。

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「世界という大きな書物」  中路正恒ブログ - わたしたちがこれからも直観音楽を続ける理由 (2007年12月11日 09:37)

あのシュトックハウゼンの『短波』が示した最高の歓びが、また達成され、繰返されるものであることを示したい。 これがわたしたちがこれからも直観音楽を続けてゆく理由です。 賛... 続きを読む

コメント(2)

どうも、初めまして。
足跡から来ましたが、僕も突然の訃報を残念に思っております。
まっちゃんさんのblogを読ませてもらったことで、改めて突然のことであったことを実感しております。

最期までさすがシュトックハウゼンだったと思います。

9.11の発言は、当時のタイムリーな心境をダイレクトに表した言葉だと思うんですがね、、筑紫氏の震災時の発言とはわけが違うと思うんですが。

合掌

273

273さん、こちらこそはじめまして。

911の発言は肯定的に捉えるにせよ否定的に捉えるにせよ、その部分だけでは彼の真意が全く伝わっていません。
その発言を悪意たっぷりに解釈し、事実誤認も交えて荒唐無稽な論理を繰り広げる浅田彰氏の文章などには、怒りを通り越して笑ってしまいます。

その時の記者会見の録音からテープ起こしをしたドイツ語の文書がありますが、それを読んでも、質問している記者から、シュトックハウゼンがそう答えざるを得ないように質問を「誘導」しているのがよく分かります。
事実その発言の後、シュトックハウゼンがその記者にそういうことを言っていた訳ですが。

東国原知事の「徴兵制発言」に対しての報道にも同じように思うのですが、文脈から切り離されたことばだけが独り歩きして報道され、報道された嘘の事実が、さも実際のことであるかのように既成事実化されてしまうメディアのあり方に大きな疑問を感じます。

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