2008年5月アーカイブ

指揮者としても知られるセーゲルスタムがついに交響曲第200番を作曲しました(爆)。

セーゲルスタムの作品自体の評価についてはノー・コメントということにしておきます(汗

21世紀という時代において「交響曲」という古典的なスタイルをわざわざ追求すること自体、かなり保守的といえる訳ですが(ブーレーズ、シュトックハウゼン、ケージなどが作曲する交響曲など想像もつきません)、ここまで極端に濫作されると、違う意味で尊敬してしまいます。

彼の「無駄に豪華な」作品はこちらから見る事ができます。
http://tinyurl.com/ntchf

2000年にすでに交響曲第34番を書いているので、10年かからない内に交響曲を150曲以上、つまり1ヶ月に1曲以上のペースで交響曲を書いている計算になります(汗
楽器編成をみるとだいたい2管編成なので、演奏しやすいように現実的なところも考えているのかと思いますが、それでもこの超人的なペースには唖然とします。

この人は指揮者としてもかなり多忙なはずですし、映画音楽のサントラなどを本職にしている人も真っ青なのではないでしょうか。

本日PETERSより楽譜が届きました。
あまりに遅い入荷だったので中身を空けるまで何を注文したのかすら完全に忘れていましたが、カーゲルの「バベルの塔 Der Turm zu Babel」(2002年作曲)という作品の楽譜でした。

18の無伴奏独唱のメロディーからなりますが、歌詞はすべてのメロディーで同一で「創世記」のバベルの塔の下りから取られています。人間がバベルの塔を建てて天国まで到達しようとしているので当時ただ一つしかなかった言葉を多くの種類にバラバラにし意思疎通できないようにしよう、と神が言う有名な部分です。

カーゲルは、この言葉の18ヶ国語の翻訳から18個のメロディーを付けるというアイデアで、この聖書の物語をうまく解釈しているのですが、それぞれのメロディーはそれぞれ異なる7音からなる人工的な旋法で作られています。メロディーの性格はそれぞれの言葉の響きや国のイメージで色々異なっているのですが、このセンスにカーゲルらしウィットが込められていて面白いです。
似非アフリカ民謡風のスワヒリ語ヴァージョン、こぶし風の装飾音満載のトルコ語ヴァージョン、バルトーク的な複合拍子によるリズミックなハンガリー語ヴァージョンなどが特にケッサクです。

細かくメロディーが揺れ動く日本語ヴァージョンは、日本人から見ていったいどこが日本風なのか理解不可能で、その勘違い具合がなかなか味わい深いのですが、この奇妙な似非オリエンタリズムに基づいたメロディーへの日本語の当てはめ方がこれまた実に奇妙です(例:「民は民は民は民は一つで一つで一つで一つで民は一つでみなみなみなみな同じみな同じ同じ同じ言葉で…」)。

ちなみにカーゲルが取り上げた言語は、デンマーク語、ドイツ語、英語、エスペラント語、フランス語、ギリシア語、ヘブライ語、イタリア語、日本語、ラテン語、オランダ語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、スワヒリ語、トルコ語、ハンガリー語です。

演奏指示には、この18個のメロディーを全て演奏する必要はなく3〜6曲を任意に選び自由な順序で演奏する事、という記述があります。

最終的には全曲制覇を目指したいですが、折をみて少しずつレパートリーを増やしていければ、と考えています。
さすがに来る6/2の「双子座三重奏団&エクスドット」ツインライヴでは無理ですが、9月に予定されている某企画で取り上げられるのでは、と目論んでいます。

本日のシュトックハウゼンのフォルメル技法のレクチャーにお越し頂いた方、ご来場ありがとうございました。

時間が短くなりすぎたらどうしようと思っていたのに、大幅に予定時間をオーバーするいつもの展開、要領が悪くて申し訳ございませんでした(>主催者のお二方)

肝心の「ヘリコプター」のアナリーゼ、猛スピードでの慌ただしい説明になりましたので、ご来場者向けに補足をしておきます。本日ご来場でなかった方には意味不明かもしれませんがご容赦下さい。

分かりづらかったのではと思うのが、ズーパーフォルメルを実際の楽曲の構造に反映させる部分かと思います。
(ズーパーフォルメルはシュトックハウゼンの公式サイトに画像がでています)→ここをクリック

「ヘリ」の部分にあたるフォルメルは7小節目の1拍目の部分になります。
60拍(=1分)から構成されるズーパーフォルメルの四分音符一拍分がLICHT全体の16分の構造に対応するので、960倍(=16x60)に引き延ばされる事になります。つまりフォルメルの四分音符一個は同じテンポの四分音符960個分に対応するという事です。
「ヘリ」の部分のテンポは50.5なので、この4分音符一拍分は「ヘリ」の構造に対応させると基本テンポを50.5のテンポに「移高」した形で四分音符960個分ということになります。

この部分のエーファのフォルメルは16分音符、8分音符、16分音符に分けられますから、これを単純に割り算して、テンポ50.5に「移高」した状態で四分音符240、480、240個分に分けられます。

はじめの16分音符に対応する240個の四分音符を60拍のズーパーフォルメルで埋めるためには、すべての音価を4倍にすれば丁度良い事になります(60x4=240)。そしてこの音符はDなのでエーファ・フォルメルの開始音をDに変更、つまり原形より長2度上げ、他のフォルメルも同様に移調することによって、この部分の音楽がすべて確定します。本来最低声部のルツィファー・フォルメルが最高部にくるなど音域の置換はありますが、音価4倍(ただし基本テンポは50.5に移高)、長2度上に移調されたズーパーフォルメルがそのまま演奏されるだけです。

8分音符の部分は音価を8倍(60x8=480)でエーファ・フォルメルがFから始まるように完全4度上に移高、次の16分音符の部分は音価を4倍にしてエーファ・フォルメルがGesから始まるように減5度上に移高することになります。

ミヒャエル・フォルメルのAsののばしはお手すきの楽器によって頻繁に繰り返し、ルツィファー・フォルメルの半音階上行の位置は4分音符単位でカウント(細かいテンポの変化は無視しています)し、適切な位置でチェロによって演奏され(繰り返し)ます。

つまりこの作品の主要部では様々な置換処理が行われながらもズーパーフォルメルが3度くり返して演奏されるだけの構造になっている、ということです。
とはいえ、メロディーの各音を各楽器でグリッサンドを駆使してかなり遅めなテンポで演奏されるため、ボーッと聴いているとこの構造は耳に入っていませんが、各フォルメルの音域を確認した上で、ズーパーフォルメルの楽譜をにらみ付けながらCDを聴けばそのまま追っていけるはずです。慣れれば耳で聴くだけでも聞き分けられるようになります。

実際にレクチャーしてみたら90分×4回くらいかけても良い内容だったかもしれません。

本日お越し下さった方で、講義内容に関して質問がある方がいらっしゃれば、このエントリーのコメント欄で受け付けます。

本企画と連動した「双子座三重奏団&エクスドット」ツインライヴのご予約も受け付けておりますので、こちらも是非ともお越し下さい。

備忘録程度に簡単な感想だけ。

「ソロ」
予想通りリアルタイムの複雑なディレイ処理ではなく、あらかじめディレイ音を録音、処理した音源をヘッドホンからのクリックトラックで同期して演奏していました。ミキシング・コンソールに行って確認したら、この音源のCD-Rが置いてありました。
そのためか生演奏と(偽)ディレイの音色感に大きな差がありました。

「クロイツシュピール」
トムトムのスフォルツァンドがうるさすぎ&音が汚く、全体の音量バランスを見事に壊していました。
全体に打楽器パートの音色感覚に緻密さが不足。
シュトックハウゼンがいたら速攻でダメ出しするのが目に浮かびました。

「小ハルレキン」
プログラムに「日本初演」と書いてあったのは夢だったのでしょうか。。

メイクが不気味で、前曲から連続演奏で負担の大きい割にはそれなりに健闘していました。
ただ、動きがこんなんだっけ?と感じた箇所が多々あったのと、シュトックハウゼン講習会のクラリネット・クラスの「入門曲」であるこの曲のキュルテンでの演奏と比べると、冒頭の至難なアルペッジョひとつとってもキュルテンでやってる人は相当ハイ・レベルな演奏をしていたのだ、と再確認しました。

「マントラ」
華麗に弾き飛ばしてました。
異様にテンポが速かったのですが(演奏時間60分)、それに呼応して細かいフレーズがすべてうやむや。
かなり分かりやすいミスタッチも数え切れないくらいありました。
そして全体に力任せに弾きすぎて音色も乱暴な感じがしました。
リング変調はすこし深すぎるかなと思った箇所もありましたが、生楽器とのミックス具合は悪くなかったと思います。

しかし、途中、短波ラジオの録音が加わる所で、ピアニストが使っていたフェーダーが故障してフェイドアウトできなくなってしつこく合図していたのに(「お能」のエピソードの所辺りまで音がなっていました)、舞台後方のサウンド・プロジェクショニストは放置。スコア見ずにミキサー操作していたのでしょうか。

特に前半、照明のノイズが気になりました。

散々不満を書き散らしましたが、日本でこのようなプログラムによる演奏会自体が少ない事を考えると、とにかく演奏してくれただけで御の字なのでしょうか。
あるいは、急遽決まった企画に関わらず、演奏の緻密さはともかく、短期間で本番が成り立つ程度に素早く準備できるのは悪く言えばやっつけ仕事ですが、よく言えばそれだけの能力があるということでしょう。

1.フォルメル技法に至るまでのシュトックハウゼンの作曲技法の大まかな変遷
2.フォルメル技法の概要と実例の紹介
   例:「マントラ」「祈り」「友情に」
3.TIERKREISのいくつかのメロディーの分析
4.LICHTの概要
5.LICHTのSuperformelの分析
6.「ヘリコプター弦楽四重奏曲」の分析

2008年5月18日(日)18:00開始~20:30終了予定
STUDIO 1619 (グリーンSTUDIO)(新桜台駅下車徒歩1分)
¥500 (先着20名 予約優先入場制)
主催者サイト:エクスドット

非常に狭い会場で、すでに予約もそれなりに入っているようですので、ご興味の有る方はおはやめにご予約下さい。

アナリーゼ自体はもう終わっていますが、現在配布資料作成中です。それなりに充実したものにすべく奮闘中。

先日の日記でもお知らせした東京音大でのレクチャーのおおまかな講義予定内容について、ご参考まで以下にお知らせしておきます。
適宜、関連楽曲の抜粋の演奏も行います。

---

■現代声楽曲における声とことば
  講師:太田真紀、松平敬

・19世紀までの声楽曲における音楽とことばの関係

・20世紀の声楽曲における多様化した音楽とことばの関係
   20世紀前半
     Sprechstimme
     音声詩
   20世紀後半
     言語の音素への解体と再構築
     非言語の音声コミュニケーションの音楽化
     言語コミュニケーションの異化
     シンセサイザーとしての声

・声と不確定性

・声と演劇性

■シュトックハウゼンのフォルメル技法と《LICHTの概要》
~《ティアクライス》と《ヘリコプター弦楽四重奏曲》を例として

2008年5月18日(日)18:00開始~20:30終了予定
STUDIO 1619 (グリーンSTUDIO)(新桜台駅下車徒歩1分)
¥500 (先着20名 予約優先入場制)

講師:松平敬

主催者サイト:エクスドット(←写真が笑えます)
ご予約は上記サイトをご覧下さい。

来週のアンサンブル・モデルンのシュトックハウゼン・プロとたまたま日が近いですが、またシュトックハウゼンのレクチャーをやります。
今回のお題は「フォルメル技法」です。
シュトックハウゼンの70年代以降の主たる作曲技法として「フォルメル技法」という名称自体は徐々に知られつつありますが、実際にフォルメルがどのように作曲され、実際の作品へどのように投射されているのか、ということはほとんど知られていないのではないかと思い、今回のお題として選びました。

「マントラ」「祈り」「ティアクライス」での作曲法を概観し、「光」のズーパーフォルメルの分析、そしてそこから「ヘリコプター弦楽四重奏曲」がどのように作曲されたかを解析する事をこのレクチャーの目標としたいと思います。

それでは、なぜ「ヘリコプター弦楽四重奏曲」なのか。
1. ほとんど実際の音楽が一般に聴かれていない近作の中で、この作品がよく聴かれている特異な状況の割には、ヘリコプターを使った衝撃的なコンセプト以上の、具体的な音楽の内容についてほとんど理解、聴取されていない
2. 「光」でのズーパーフォルメルによる作曲の分析としては「初心者」むけの非常に分かりやすい構造を持っている
3. その構造が(少し努力すれば)耳で知覚可能である。
この3点から、シュトックハウゼンの近作のより深い理解の糸口になり得る作品だと判断した次第です。


このレクチャーは以下のコンサートのプレ企画となっていますので、宜しければこちらにもお越し下さい。

■「双子座三重奏団&エクスドット」ツインライヴ
2008年6月2日(月)19:00開演 18:30開場
杉並公会堂・小ホール
¥3000(予約・前売り¥2500)

シュトックハウゼン:ティアクライス(1975 /抜粋)
曽我部清典:新作 (2008 /初演)
中川俊郎:3人の噪音発生者のための音楽 (1987 / 2008年版初演)
中川俊郎:新作 (2008 /初演)
松平敬:STONE (2008 /初演)
川島素晴:インヴェンションV b (2008 /初演)
川島素晴:Das LachenmannⅡ (2008 /初演)
山根明季子:Transcend-b (2008 /初演)
ケージ:Five (1988)

<出演> 双子座三重奏団(曽我部清典、中川俊郎、松平敬)&エクスドット(川島素晴、山根明季子)

主催者サイト:エクスドット
ご予約は上記サイトをご覧下さい。
(写真は第2回目のライヴでカーゲルの「3手」ピアノのための「ヒポクラテスの誓い」を演奏した時のリハの様子です)

ちなみに、週明けの5月12日夕刻には、東京音大にてソプラノ歌手の太田真紀さんと現代声楽曲についての特別講義を行います(学外者が入場可能かどうかは不明)。
「レコード芸術」誌の輸入盤紹介の記事を執筆する仕事も始めたりと(発売中の5月号にはラッヘンマンのアルバムについて書きました)、だんだん自分の職業が分からなくなりつつあります(笑)。
ただ、一貫しているのは、新しい音楽を少しでも多くの人に触れてもらうために様々なアプローチをしていきたい、ということです。

とりわけ大好きな作品という訳ではありませんが、日本国内では当分演奏を期待できない難曲ですし、これを日本のプロダクションでどれだけ仕上げられるかということにも興味があったので、聴きに行きました。
以下、メモ代わりに簡単に感想をまとめておきます。

稽古が非常に難航しているという噂話もちらほら聞こえてきたので、ともかく生演奏を体験しておこう、という程度の極めて低い期待値で会場に向かいましたが、結論から言えば予想をはるかに上回る仕上がりで、生演奏を聴く事によってこの作品が少しだけ好きになりました。

歌い手にとってはとにかく音が極端に高く極端な跳躍も多く、聴いていて可哀想になるくらいですが、かなり頑張って楽譜に書かれている事を音にしようとする努力がよく分かりました。コレペティなど音楽スタッフの苦労も忍ばれます。
この殺人的な声の扱いがこの曲を好きになれない大きな理由のひとつですが、特にテノールの扱いは歌い手として怒りすら覚えるほどの極端な高音域を要求します。ハイCを越える所はファルセットで逃げたり、健闘むなしくひっくり返ったり、一声聴いて疲労で喉がボロボロなのが分かったりという有様でしたが、これは作曲家に責任があります。その無茶なスコアをよく頑張って演奏した、と努力を讚えたいと思います。

コンタルスキーのCDの演奏で聴くと、金管の絶叫などがうるさくオーケストレーションに問題があるのかと思っていましたが、今日の演奏ではそうした印象はありませんでした。演奏に原因があったのでしょう(スコアを見た事がないので推察にすぎませんが)。
オーケストラを担当した東フィルも忙しいスケジュールの中、よくここまでまとめたと思いますが、恐る恐る弾いているような印象を受けた所もありますし、リズムがもっと軽やかに処理できればよかったのにな、と思った場面もしばしば。
大量の打楽器群は舞台裏の演奏を客席に向かったスピーカーで再生する方法をとっていましたが、ピットで演奏している楽器との音質的なかみ合わせが今一つでした。
スピーカーから出る楽器の音ばかりがクリアーに聴こえすぎたのと(音量ももう少し抑えてもよかったでしょう)、スピーカーの位置の関係上これらの楽器の音だけがピットの楽器よりも上方に聞こえたのが不自然でした(それともそういうスコアの指示なのでしょうか?)。
ティンパニのロールの音はマイクのセッティングのせいか、音質もかなり不自然な感じがしましたが、左右に分かれた複数のティンパニが対話する効果はきれいに出ていました。

シュトックハウゼン流に、ピット内の楽器も含めた全楽器の音をミキサーにまとめる方法(予算はかかります)をとった方が音像は自然に聴こえたかもしれません。

ジャズのバンダは演奏もいまひとつで、エレベの音が全体のバランスを考えると少し大き過ぎでした。
そもそも、このバンダの演奏やバランスにそれほど思い入れがないようにも思えました。

演出は黒っぽい箱形のステージで、赤、黄色など強烈な原色の衣装が鮮烈な印象を与え、その色使いで様々な人間関係を象徴するアイデアで楽しめましたが、もともと前方に軽く傾斜のあるステージ自体が、最後には大きく右に傾く大掛かりな仕掛がありました。
この斜め舞台の上方で歌っているのをみると転落しないか冷や冷やしましたが(わざと滑るような演技がさらに不安を増長させます)、無事に怪我人もなく終了。

演出は基本的に面白いと思いましたが、場面ごとに細かく幕が下りて、いちいち転換に時間がかかるのが興ざめでした。不可抗力ですが、演奏がストップしている間の転換はノイズが目立ってしまうので、それもマイナス・ポイントでした。

最後のマルチ・チャンネルによる立体的なミュージック・コンクレートの効果は美しかったです。この幕切れの音響の美しさ(そして演出との関係)には軽く感動。このこだわりで前述の楽器の音響もケアしてもらえればよりよかったのですが。

生演奏を体験して、チラシなどでの煽り文句とは裏腹に、この作品は非常に古典的な作品だな、との印象を受けました。
大編成のオケやジャズ・コンボ、ミュージック・コンクレートなどお膳立て自体が極めて困難で、演奏至難ではありますが、それが作品の新しさとは直接結びつかない、ということです。
ツィマーマンのトレードマークともいえるバッハの引用、ジャズなど様々なスタイルの音楽のコラージュは、ベルクのオペラで試みられていた事の延長に過ぎませんし、ミュージック・コンクレートの使用も少しゴージャスなSEという程度の扱いにしかすぎません(ついでに言うと、ツィマーマンの出発点であった新古典主義も、異なったスタイルの折衷、融合ですから、そういう意味で一貫性があったともいえます)。

つまり20世紀後半に作曲されてはいるものの、戦後の前衛音楽の代表的オペラというよりは、ベルクなどの戦前のオペラの成果を戦後の様式で拡大した野心作、と解釈できると思いますし、19世紀までのオペラのスタイルを結局は引きずっているということになります。

だからこの作品が古臭い、と非難したいのではなく、伝統的なオペラ制作の延長線上(長い延長線ではありますが)で上演できる作品なのだからもっと演奏されてもよいのでは、と思ったという事です。

何はともあれ、関係者の皆さまお疲れさまでした。

休憩中には某偉大なコントラバス奏者にお会いしました。新しい勤務先の名刺を頂きましたが、素晴らしいですね。

小学校の授業で音楽を大音量で流され、精神的苦痛を受けたと訴えた元生徒が訴訟を起こし、大阪地裁が慰謝料など170万円を払う判決を出したそうです。

ソース:http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805020070.html

この事件自体に対して私がわざわざコメントするつもりはないのですが、気になったのはリンクに張ったasahi.comの記事の中の以下の部分です。

判決によると、音楽担当の女性教諭は02年、「音楽を体感させる」として、教科書の掲載曲「雲のきょうりゅう」のCDを大音量で3回流した。

ここで名前を出された曲自体が迷惑だなと思うのですが、私は以前教材の範唱の録音の仕事(独唱も合唱も)を結構やっていて、この曲名に聞き覚えがあるのです。
多分、この曲(合唱で)録音した事があるのではないか、と思います。
録音に立ち合った作曲者の空気感がなかなか個性的だったので記憶に残っているのですが、もし、私が参加した録音を聴いて苦痛に思ったのだったら、(不可抗力ですが)ちょっとショックですね。

別の教材のバラード系のある曲は録音しながら、ベタな展開だなぁ、などと思っていたのですが、中学校でこの曲は大人気です、と某所で聞いたりと、人の感性は様々だなと思いました。

「音楽を体感させる」として大音量で流すのならインキャパシタンツだろ、と個人的には思いますが、これを音楽の授業で流したら慰謝料170億円取られそうです。

haitink_ring.jpg長大なワーグナーの大作「ニーベルングの指環」のCD、ここまで安くなったのに感慨を覚えます。最近再発売されたハイティンク&バイエルン放送響による「指環」がHMV(画像をクリック)のオンライン会員価格で買うとなんと6,606円です(一般価格でも7306円)。14枚組なので、1枚当たり約472円という冗談のような価格設定です。
安さだけで言えばクーンのものがもっと安かったはずですが、こちらは演奏がお薦めできません。

しかし、このハイティンク盤は演奏が素晴らしいですし、なんといっても音質がとても良いです。製作費などの関係でワーグナーのオペラはライブ録音が多いのですが(もちろん、それはそれで貴重です)、こちらはじっくりと作り上げたセッション録音(1988-91年録音)なので、重厚にして繊細なワーグナーのオーケストレーションの色彩を再現するバイエルン放送響の重みのあるサウンドがクリアーに収められています。

演奏の良し悪しに関しては好みもあろうかと思いますが、値段、音質、演奏を総合すれば、少なくとも「指環」初心者に最適と言えるのではないでしょうか。

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おしらせ

双子座三重奏団うるう日ライヴ
2012年2月29日19:00-
門仲天井ホール

双子座2012チラシtogo.jpg

中川俊郎:バッハーズ・アロウ
森田泰之進:こうふくのしま
鈴木治行:蛇行
山本哲也:スライドホイッスル三重奏曲
ケージ:ラジオ・ミュージック
ほか

出演:
曽我部清典(トランペット)
中川俊郎(ピアノ)
松平敬(声)

コンサート詳細はこちらまで

■タリス:40声のモテット
(一人の歌手による多重録音)

ご試聴、ご購入は以下まで
iTunes
e-onkyo music
OTOTOY

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》

 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006
平成22年度文化庁芸術祭
レコード部門優秀賞受賞作品

文化庁芸術祭シンボルマーク

プロモーション・ヴィデオ

ご購入は以下まで:
HMV ONLINE
TOWER RECORDS ONLINE
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