5時間目「ハーモニー」トランペット版・世界初演

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BBC Promsでは昨日シュトックハウゼンの作品を集めた演奏会を行いましたが、その音源を1週間限定で以下のURLから聴くことができます(65kbps)。

http://www.bbc.co.uk/iplayer/episode/b00ct17p/
(アクセスが殺到しているようで、時々プレイヤーが再生できませんが、その場合は時間をおいてアクセスしてみて下さい)

《グルッペン》、KLANG13時間目《COSMIC PULSES》、KLANG5時間目《ハーモニー》をここで聴くことができますが、この日のコンサートの三分の一に過ぎない所が羨ましい限りです。
(残りの音源もBBCのHPから探すことが出来ます)

ここで貴重なのが、《ハーモニー》のトランペット版世界初演の音源です(演奏:マルコ・ブラウ、1時間10分辺りから)。
同曲のバス・クラリネット版、フルート版はすでに昨年初演されていて(楽譜も出版済)、管楽器による幅広い音域にわたるアルペッジョの超絶技巧が印象的でしたが、これをトランペットでどうやるのかが興味津々でした。

トランペットの音域に合わせて、オクターヴの変更がかなりされていますが、それでもトランペットで演奏するには限りなく演奏不可能に近い跳躍が当たり前のように出て来ます。
さすがのマルコ・ブラウもかなり苦戦している様子が録音から窺えますが、それでもかなりの健闘だと思います。

この版独自の要素はイントロの4つのフェルマータのロング・トーンの間の3つのパウゼに「Lob sei Gott」(神に讃美あれ)と演奏者が声を出してしゃべることです。
GLANZにも同じように演奏者が「Gloria in excelsis Deo」としゃべりますが、6〜12時間目はこの5時間目《ハーモニー》を素材とした作品なので作品にもこうした要素が含まれているものと思われます。
2台ハープのための2時間目《喜び》もハープ奏者が「Veni creator」の24行の詞を歌いながら演奏することから、晩年のカトリック的な要素の強まりが感じられます。

ちなみに5時間目《ハーモニー》(2006年作曲)は「5」という数字にこだわって構成されています。
ピッチ構造としては、KLANGの24音のセリーの反行形を基礎としています。
イントロの4音のロング・トーンはセリー(原形)の第5音目から始めるための処理で、この曲を構成する5つの部分はセリーの原形の5,6,7,8,9音目をそれぞれ開始音とします。
それぞれの部分は24音のセリーの反行形に第1音目を加えた25音のセリー(=5×5)の提示で出来ていますが、この25音のセリーが、さらに3-4-5-6-7音の5つのグループに分かれます。
それぞれのグループではまず長い音価でメロディーとして演奏され、つづけて音域を広げてテンポを速めアルペッジョのように繰り返して演奏することにより、メロディーをハーモニーのように聴かせる試みが行われます。
ちなみにこの繰り返しの数はフィボナッチ数列の3-5-8-13-21から選ばれ、この5種類の回数が5つの部分でそれぞれ異なるセリエルな配置を施されます(繰り返しの方法もテンポ、オクターヴ、奏法を変化させたりトリルで演奏したりと変化がつけられています)。
ちなみにそれぞれのグループごとに異なる半音階テンポが指定されているので、全曲で25のテンポが提示されることになります(実際は若干の重複や、構造外の挿入句がはさまれます)。

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