本日はシュトックハウゼンが生きていれば80歳の誕生日となるはずでした。
この日を待たずして亡くなってしまったのは残念ですが、彼の勤勉な性格のお陰で、まだ初演されていない作品がざっと10曲ほどあります。すべて最後の2年間で書き上げた曲ばかりです。
本日もケルンでKLANG7時間目《バランス》が初演される予定ですし、1週間後にはさらに9時間目《希望》の初演も待っています。
せっかくですので、シュトックハウゼンの秘蔵映像の情報を紹介しましょう。
まずは《ヘリコプター弦楽四重奏曲》のメイキング映像のDVDです。この曲のアイデアを知ってただの狂人作曲家だと思っている方はこのDVDを見て反省すべきでしょう。思いつくだけなら誰でもできますが(とはいえ常人にはありえない発想です)、それを実際の演奏にこぎつけるためのシュトックハウゼンの忍耐と職人的な努力がこの映像に収められています。現在発売中の「レコード芸術2008年09月号 」に私がこのDVDについて書いた記事も載ってますので、興味のある方はこちらもどうぞ。
これは国内のショップでも簡単に手に入るので「秘蔵」という程ではありませんが、以下の2点(DVD-R)はシュトックハウゼン出版のみからの発売のはずで、レア度も高いです。
■「ヒュムネン・オーケストラ付き版」(1984)
ハンガリーのオケを燕尾服姿(!)のシュトックハウゼンが指揮をしています。
■「リエージュのためのアルファベット」(1972)
これは究極のレア物にしてケッサク映像と言えるでしょう。
様々な部屋に分かれた演奏者が、それぞれ極めて怪しげな「演奏」を繰り広げ、聴衆はその部屋を自由にめぐるというものです。
若き日のエトヴェシュやフェッターの姿も見えますが、フェッターが(おそらく)彼の奥さんとキスをしながらホーミーをするシーンが強烈です。他のシーンも60〜70年代のサイケデリックな雰囲気に満ちていて、「前衛音楽の旗手」としてのシュトックハウゼン像しか知らない人にとっては衝撃的かもしれません。《光》以降の神聖な雰囲気とも全く異なりますが、直観音楽からフォルメル技法へと彼の音楽観が大きく変容していった特別な時期ならではのものなのでしょう。
他の映像もカタログでチェックできますが、以前はVHSだけだったのが、DVD-Rのものが増え、映像そのものの種類も増えてきています。


あら、レコ芸に寄稿してたんですね。それでは早速買ってきましょう。レコ芸も久しく買ってないですが、たまに読みたいです。
>「リエージュのためのアルファベット」
当店でも大いにレコメンしていますが、僕もかなりショックを受けました。
フェッターの映像も強烈ですが、壁に向いて太鼓ボンボン叩いて、怪しいお経のようなフレーズを唱えているシーンとか、延々とパイ生地をこねているシーンとかが印象に残っています。
ジャケ写かっこいいなぁ。
シュトックハウゼン自前のスタジオなんでしょうか?
りろさん>
パイ生地をこねるドスンという音も音楽的に考えているように、演劇的要素と音響の関わりが興味深いですね。
個人的には「AM HIMMEL WANDRE ICH」の一部の演奏シーンが見られたのが収穫でした。この曲は来年3月に演奏予定です。
アナログ機材さま>
はじめまして。
ジャケットのスタジオですが、多分自宅スタジオではないと思います。
自宅のスタジオは真っ白でだだっ広い場所なのですが、そことはかなり印象が異なります。WDRのスタジオとかではないでしょうか。
お久しぶりです。覚えていらっしゃるでしょうか。S/Nです。
おもえば20年前、シュトックハウゼンの還暦を記念して、NHKが四週ぶち抜きの特集番組を
組んだ時は「さすがだ」と思った。その十年後の70歳の誕生日は軽く無視され海外からの提供テープすら流さなかった。そしてさらに十年たった今年は彼の生誕80年であると共に追悼すべき年だ。昨夜から今日にかけて(日本時間)さまざまな海外ラジオが特集番組を流したようですがNHKは追悼番組も記念番組もなし。「現代の音楽」もどんどん骨抜きになってやる気が感じられない。それでも受信料はとられる。
S/Nさん>
ご無沙汰しています!
NHKのラジオなどでの追悼特集はなかったようですが、それでもシュトックハウゼンの受容は10年前よりはまともになってきているように感じます。
何も聴かずに適当な悪口ばかり言っている人も少なくなってきたようですし。
但し、例の911発言を代表としてまだまだ誤解も多いので、正しい情報を伝えるべく頑張らなくてはなりません。