シュトックハウゼンの生誕80年に合わせてWDRでは大きな特集番組を組んでいて、昨日お伝えした「バランス」世界初演の生中継などもあったのですが、その後の放送の中で未だCD化されていない「MIXTUR 2003」が放送されていました(仕事の都合でリアルタイムでは聴けず、録音しておいたものから発見しました)。
これは60年代の「MIXTUR」の不確定な部分をすべて固定させた新版で、「3xREFRAIN 2000」や「STOP und START」と同じ系列の作品が、やや不運な運命を持っています。もともとフランスで初演される予定だったのがリハーサルの回数で主催者側と折り合いがつかずキャンセル、その数年後シュトックハウゼンの指揮でザルツブルク音楽祭で初演される予定でしたが、リハーサル中にシュトックハウゼンが体調不良になり帰宅、本人不在のまま代理の指揮者によって初演されました。
この録音は残っているはずで、演奏が良ければCD化する、という話を聞いていましたが、未だにCD化が実現していません。
「MIXTUR 2003」は一つの演奏会で2種類ののリアリゼーションが演奏されるように作られていて(オリジナルMIXTURのCDもそうなっています)、それぞれ「正行ヴァージョン」と「逆行ヴァージョン」と名付けられていますが、ここで放送されたのは正行ヴァージョンの全体です。
オーケストラの音色が徹底的にリング変調される作品ですが、MIXTURの今聴ける録音はこの効果が十分に収められていません。「マントラ」でもそうでしたが、リング変調の効果をアナログ機材で忠実に録音するのは難しいようです(アナログ、デジタルの違いではなくミキシングの技術に原因があるかもしれません)
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「マントラ」の作曲者監修による新しい録音を聴いた時にあまりのリング変調の美しさに感動しましたが、このMIXTUR 2003もmp3のストリーミング放送ながらオリジナルの録音よりもはるかにリング変調の様子が美しく収められていて作品の印象ががらりと変わりました。
シュトックハウゼン作品に関わらずリング変調をアナログ録音で聴くと非整数倍音の響きがやや暴力的に聴こえるのですが、デジタル録音で聴くと鐘のような音色の効果が立体的でとても耳に心地よく聴こえます。
他にも何度か演奏されているはずですので、正規のCDとして発売して欲しい所です。


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