少し前に注文しておいた《テレムジーク》リマスター盤が届きました。
この音源の収められているのはシュトックハウゼン出版のCD全集(こちらは旧マスター)の方ではなく、レクチャーなどの音源を収めたText-CDのシリーズの第16巻です。
オリジナルの5チャンネルの音源は、技術的理由により現在は鑑賞に耐える音質ではないので、作曲当時作成したステレオ・ミックスが正規の唯一の音源となります。
CD全集の音源もこのミックスをもとにしていますし、今回のリマスターも同じアナログ・テープを使用しているので、劇的に何かが変わったということはありませんが、イコライジングは一聴してかなり手を加えているのが分かります。細かい相違点は、まだチェックしていませんが、全体に音像がすっきりした印象があります。
ちなみにこのリマスターは2007年11月18日に行われたとの記載がありますが、これはシュトックハウゼンの死のほぼ2週間前、この時期は《ティアクライス》オーケストラ版の作曲が進行中で、《モメンテ》のスコアが完成した時期でもあり、死の直前まで精力的に活動していたことが分かります。
さて、この音源、セールス・ポイントはリマスター音源を収録しているだけではありません。
メインの部分はシュトックハウゼンの肉声によるこの作品に関するレクチャー(ドイツ語)ですが、シュトックハウゼンが音素材で使った世界各地の民族音楽の録音が大量に収録されていることです。18種類の音源がそれぞれ数分ずつ収められています。
日本の雅楽、バリのガムランにはじまり、アフリカ、ヨーロッパ、ブラジルなどの音源が紹介されていますが、ヴェトナムの音楽が個人的には惹き付けられました。
この音源と《テレムジーク》の完成形を比べれば、どのようにシュトックハウゼンがこれらの音源を変容させていったか、つぶさに比較することができるでしょう。
ドイツ語を解さない方でも、この音源を聴くためだけに購入する価値があるといえるでしょう。
ちなみに、レクチャーの英訳はこちらで見ることができます。
11月の京都のシュトックハウゼン企画で演奏される《テレムジーク》はこの新マスターが使用される予定で、もちろんこのマスターによる日本初の演奏となります。


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