本日も、中川さんのオーケストラの新曲の本番がありました。
昨日は中川さんの個展でしたが、本日は4人の作曲家による4曲の新曲からなるプログラムで、その内の一曲が中川作品でした。
中川俊郎《曲率》(演奏:小鍛冶邦隆指揮、東京交響楽団)
チケットは指定席だったのですが、よく見てみると最前列ほぼ中央。
オーケストラの演奏会で最前列は、音響的にあまり良い席とは言えませんが、まあ、いいかとそこで聴くことにしました。会場の東京芸術劇場は、舞台の高さも高くないので、弦楽器セクションの演奏の様子が手に取るように見えます。
1曲目の演奏が終わり、2曲目の中川作品の演奏の前に、ステマネがそでから何やら怪しげなものをステージ中央に運んできました。
それは、ソリストとして出演する中川さんの演奏する「物体」たちでした。おもちゃのキーボードのような一応楽器といえるもの、空き缶、はさみなどの非楽器などがごちゃごちゃと譜面台にのせられ、演奏前から怪しさ満点です。
そして、その時気がついたのが、私の座っていた席は、そのソリストの演奏位置の真正面、かぶりつきだったのです。
ソリストは登場しないまま演奏が始まりますが、見事に昨日演奏されたどの作品とも似ていない、しかし中川ワールド全開の脱力サウンドが始まりました。しばらくすると演奏中にもかかわらずオーケストラの奏者がなぜか立ち上がり、「ソリスト入場」です。
譜面台にところせましと載せられた様々な楽器、非楽器を次々と持ち替え奇妙な音響を発する中川さんの姿はユーモラスで、しばしば客席からも失笑がもれましたが、異質な音響をひとつの音楽に結びつけるセンスはやはりさすがです。
(ちなみにソリストのパートはオーケストラの楽譜を主催者に提出したあと、本番日ぎりぎりまで作曲していたらしいのですが、本人しか持っていないその譜面を昨日電車に置き忘れ、今日それを取りにいく時間も作れず、結局新たに楽譜を作り直した、というエピソードも中川さんらしいです)
やはりこの作品でもオーケストラの奏者にちょっとしたパフォーマンスをさせていましたが、弦楽器奏者に弓で譜面台の支柱を軽く叩かせるところなどは、演劇的効果だけでなく、おもしろい音響効果を出していました。
そしてクライマックスは作品後半、ソリストの中川さんが突如オーケストラの方に向き、「本物」の指揮者が指揮を続けているのにもかかわらず、勝手に指揮を始めます。
どちらの指揮をみて演奏しているのかは、謎ですが、中川さんのもっともらしい指揮ぶりはケッサクでした。
そして、昨日の都響と同様、本日の東響のメンバーからも中川さんのキャラは愛されていた様子が窺え、微笑ましかったです。
今年は、かなり他の仕事を控え、オーケストラ作品の作曲に集中していたようですが、それが良い作品、良い演奏に結実し、ご本人も満足されているのではないでしょうか。


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