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長く引き伸ばされた音、純正音程というラ・モンテ・ヤングのエッセンスのつまった彼の初期作品「コンポジション1960 #7」をリアリゼーションしてみました。

HとFisの完全5度による和音と「長い時間のばすこと」という短いインストラクションのみの作品ですが、サイン波で好きなだけ伸ばし、同時にその波形が投影されるMaxのパッチを作ったのが、上の動画です。

10秒くらい見たら、続きは全部同じだということが分かるかと思いますが、ずっと聴いていると意識がアチラ側に行ってしまいますね。

集中して鑑賞するもよし、サティの「家具の音楽」よろしく、お部屋のインテリアとして垂れ流すもよし、というところでしょうか。

あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。

今年も懲りずにアニヴァーサリーの作曲家を調べてましたが、やや地味なラインナップとなっています。

フリードリヒ2世生誕400年とは渋すぎですが、バッハの《音楽の捧げもの》のテーマを400回演奏する人などはきっと誰もいないでしょう。

一番メジャーなのはドビュッシーとケージかと思いますが、それぞれと同じ生年のディーリアス、ナンカロウも捨てがたいです。

スーザ、シュールホフあたりがあまりにも香ばしすぎまたり、メノッティとシュトックハウゼンが同じ没年というのにちょっとした驚きを感じたりと、いろいろ面白い発見もありますが、リストの下の方に行くと、直接面識のある人がちらほら見えてきて、この人とこの人は10歳差なんだ、などと余計な知識まで頭に入ってしまいます。

個人的に好きなのが、没年と生年が同じ人の比較、つまりこの人が死んだ歳に、この人が生まれたんだ、という比較です。
ちなみに私はストラヴィンスキーの生まれ変わりです(笑)


没後500年
ジョヴァンニ・ガブリエリ Giovanni Gablieli 1557-1612
ハンス・レオ・ハスラー Hans Leo Hassler 1562-1612(生誕450年)

生誕400年
フリードリヒ2世 Friedrich II. 1712-1786

生誕150年
クロード・ドビュッシー Claude Debussy 1862-1918
フレデリック・ディーリアス Frederick Delius 1862-1934

生誕100年
ジョン・ケージ John Cage 1912-1992(没後30年)
コンロン・ナンカロウ Conlon Nancarrow 1912-1997(没後15年)
山田一雄 1912-1991

没後100年
ジュール・マスネ Jules Émile Frédéric Massenet 1842-1912

生誕90年
ヤニス・クセナキス Iannis Xenakis 1922-2001
別宮貞雄 1922-
松下眞一 1922-1990

生誕80年
ナム・ジュン・パイク Nam June Paik 1932-2006
ジョン・ウィリアムズ John Williams 1932-
ニコロ・カスティリョーニ Niccolò Castiglioni 1932-1996 
エリアーヌ・ラディーグ Eliane Radigue1932-
ペア・ノアゴー Per Nørgård 1932-
ポーリン・オリヴェロス Pauline Oliveros1932-
ロディオン・シチェドリン Rondion Konstantinovich Schedrin 1932- 
山本直純 1932- 2002
丹波明 1932-
冨田勲 1932-
湯山昭 1932-

没後80年
ジョン・フィリップ・スーザ John Philip Sousa 1854-1932

生誕70年
イングラム・マーシャル Ingram Marshall 1942- 
メレディス・モンク Meredith Monk 1942-
三枝成彰 1942-
三宅榛名 1942- 

没後70年
エルヴィン・シュールホフ Erwin Schulhoff 1894-1942

生誕60年
ピーター・ガーランド Peter Garland 1952- 
オリヴァー・ナッセン Oliver Knussen 1952- 
ヴォルフガング・リーム Wolfgang Rihm 1952-
カイヤ・サーリアホ Kaija Saariaho 1952-
宮澤一人 1952- 
山田泉 1952-1999

没後60年
中山晋平 1887-1952
弘田龍太郎 1892-1952(生誕120年)

生誕50年
鈴木治行 1962-
松下耕 1962- 
和田薫 1962 - 
小栗克裕 1962-

没後50年
ジャック・イベール Jacques Ibert 1890-1962
ハンス・アイスラー Hanns Eisler 1898-1962
アーヴィング・ファイン Irving Fine 1914-1962
フリッツ・クライスラー Fritz Kreisler 1875-1962
下総皖一 1898-1962

生誕40年
川島素晴 1972-
飛田泰三 1972-

没後40年
ハヴァーガル・ブライアン Havergal Brian  1876-1972
マンフレート・グルリット Manfred Gurlitt 1890-1972
ファーディ・グローフェ Ferde Grofé1892-1972 (生誕120年)
シュテファン・ヴォルペ Stefan Wolpe 1902-1972(生誕110年)
ガヴリイル・ポポフ Gavriil Nikolayevich Popov 1904-1972

生誕30年
山根明季子 1982-
小出稚子 1982- 

没後30年
カール・オルフ Carl Orff 1895-1982
エドゥアルド・トゥビン Eduard Tubin 1905-1982 

没後20年
ウィリアム・シューマン William Schuman 1910-1992
アストル・ピアソラ Astor Piazzolla 1921-1992

没後10年
平井康三郎 1910- 2002
原博 1933 -2002

没後5年
ハラルド・ゲンツマー Harald Genzmer 1909-2007
ジャン・カルロ・メノッティ Gian Carlo Menotti 1911-2007
カールハインツ・シュトックハウゼン Karlheinz Stockhausen 1928-2007
松村禎三 1929-2007
江村哲二 1960-2007



hardcore.jpg

この楽譜は、今必死で練習している松平頼暁氏の《It's gonna be a hardcore!》の楽譜の一部を書きだしたものです(クリックで拡大)。
上がバリトン、下がピアノのリズム・パターンです。

ただでさえ、4拍5連音符を正確に演奏するのは簡単ではないのに、ひとつのリズム・パターン("It's gonna be a hardcore!"という歌詞のまとまりがひとつのパターン)が5連4分音符6つ分なので、このパターンを繰り返していくと、フレーズの頭が4/4拍子とだんだんずれてくることになります。冒頭ではこのフレーズの頭の音で歌と同時に手拍子も演奏するので(×印が手拍子)、そのずれが聴覚的にも強調されます。この手拍子は、曲が進むに連れて、だんだん叩く場所が増えてくるので、演奏していると、どんどん頭が混乱してきます。
さらにいじわるなのが、この5連符に2種類の3連符が入れ子になっていることです。特に2拍3連は、5連符の中で正確に演奏するのはものすごく大変です。

(我こそはと思わんリズム・フェチの皆さんは、上の楽譜を練習してみてはいかがでしょう?)

そして、究極の嫌がらせとしか思えないのが、途中で挿入される一連のセリフです。
この直前でピアノと同時に演奏をストップするのですが、どうせ複雑なリズムだから適当にやっていても分からない、などとなめてかかっていると、ここで演奏のズレがバレてしまうという仕掛け、曲の始めから最後までひたすらこのリズムパターンを繰り返さなくてはならないのは、気が滅入りそうなほどに大変ですが、このポリリズムがぴったりと決まったらかなり気持ちいい音楽になるはずです。

この曲を演奏するのは、以下の演奏会、80歳を迎えてもなお前衛の道を突き進む松平頼暁氏の作品ばかりを集めた演奏会です。

私は、この曲に加え、テューバの橋本晋哉氏とのユニット、低音デュオの委嘱作品になる《Rotation I》も演奏します。
声とテューバというビミョーな編成から、予想のつかない音響が次々と表れるとても面白い作品です。

他の出演者の豪華な顔ぶれも魅力的、是非ともご来場頂ければと思います。

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「松平頼暁-80歳の肖像-」
12月20日(火)19:00~@東京オペラシティリサイタルホール 

プログラム:
シミュレーション (1974-75) [橋本晋哉/tub]
セレブレーション (1980) [河合拓始/pf]
イッツ・ゴナ・ビー・ア・ハードコア! (1980/2005) [松平敬/bar、藤田朗子/pf]
レプレースメント (1987) [溝入敬三/cb]
連星 (1990) [中村和枝/pf、河合拓始/pf]
モルフォジェネシスII, III (1992) [中村和枝/pf]
井上郷子のための名簿 (1997) [井上郷子/pf]
ローテーションI (2010) [低音デュオ/bar, tub]
(当日の演奏順は未定です)

*演奏会の前後、休憩時間にロビーにて「朝の音楽」(1970) [有馬純寿/音響]

チケットは前売一般3000円、前売学生1500円、当日3500円
ローソンチケット 0570-000-407(オペレーター対応) http://l-tike.com/
東京オペラシティチケットセンター 03-5353-9999 
「松平頼曉80 歳記念演奏会実行委員会」tel:080 5496 6854( 石塚)、email:concert1220@gmail.com 

ご予約は、本記事へのコメント、私のメルアド una_voce[at]me.com ([at]をアットマークに変えて下さい)へのメールでも受け付けています。

昨年の双子座三重奏団のライヴ動画をアップしましたので紹介します。いずれもその時のライヴのために書き下ろして頂いた新曲です。


伊左治直:竜の湯温泉郷への郷愁



新垣隆:インヴェンション あるいは 倒置法 III



中川俊郎:Xmas Song of Birds




演奏:
双子座三重奏団
 曽我部清典(トランペット)
 中川俊郎(ピアノ)
 松平敬(バリトン)

2010年12月5日恵比寿・アートカフェフレンズにて

かなり遅れてしまいましたが、昨年6月の無伴奏ライヴからの動画を二つアップしました。

松井茂:《純粋詩》、《音声詩作品集》より


高橋悠治:毛沢東詞三首

あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。

さて、新年の初仕事はここ毎年続けているアニヴァーサリーの調査です。

今年の新しい試みとして「作品」のアニヴァーサリーも調べてみました。
あまり細かくしても仕方がないので丁度100年前、50年前に作曲され音楽史的にも影響力の高いものを調べてみました。
(作曲が複数年に渡っているものは完成年が該当するもののみ選びました)

100年前(1911年作曲)

  • シェーンベルク:グレの歌 (1911年完成)
  • シェーンベルク:6つのピアノ小品 op.19
  • シェーンベルク:心のしげみ op.20
  • R.シュトラウス:ばらの騎士
  • スクリャービン:ピアノソナタ第6番
  • ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ
  • ドビュッシー:聖セバスティアンの殉教
  • ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ

50年前(1961年作曲)

  • シュトックハウゼン:ピアノ曲IX, X(1961年完成)
  • ブーレーズ:構造II
  • ケージ:ヴァリエーションズII
  • フェルドマン:持続III~V
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第12番「1917年」
  • クセナキス:ヘルマ
  • リゲティ:アトモスフェール
  • プスール:Trois Visages à Liège
  • 武満徹:ピアノ・ディスタンス
  • 武満徹:◯と△の歌
  • 湯浅譲二:葵の上
  • 松平頼則:蘇莫者

偶然ではあるのでしょうが、丁度50年前に作曲されたピアノ曲のラインナップがあまりにも強力でびっくりしました。


そして、恒例の作曲家のアニヴァーサリーです。
個人的な萌えポイントには★印をつけました(但し、作曲家としての評価とはまた別です)。

没後400年 
トマス・ルイス・デ・ビクトリア 1548-1611

没後350年
ルイ・クープラン 1626?-1661

生誕200年
フランツ・リスト 1811-1886

没後150年
テクラ・バダジェフスカ 1838-1861★★★

生誕100年
ニーノ・ロータ 1911-1979
アラン・ホヴァネス 1911-2000★★
ジャン・カルロ・メノッティ 1911-2007
尾高尚忠 1911-1951
清水脩 1911-1986
アラン・ペッタション 1911-1980
安部幸明 1911-2006

没後100年
グスタフ・マーラー 1860-1911

生誕90年
入野義朗 1921-1980
アルフレッド・リード 1921-2005
アストル・ピアソラ 1921-1992
石井歓 1921- 2009
マルコム・アーノルド 1921~2006

没後90年
エンゲルベルト・フンパーディンク 1854-1921
カミーユ・サンサーンス 1835-1921
デオダ・ド・セヴラック 1872-1921

生誕80年
マウリシオ・カーゲル 1931-2008★
シルヴァーノ・ブッソッティ 1931-★ 
ソフィア・グバイドゥーリナ 1931-
アルヴィン・ルシエ 1931-★
篠原眞 1931-
松平頼暁 1931-★
林光 1931-
外山雄三 1931-

没後80年
カール・ニールセン 1865-1931 
中田章 1886-1931
ヴァンサン・ダンディ 1851-1931

生誕70年
ヨハネス・フリッチュ1941-2010★
エマニュエル・ヌネス 1941-

没後70年
フランク・ブリッジ 1879-1941
岡野貞一 1878-1941

生誕60年
松下功 1951-

没後60年
アルノルト・シェーンベルク 1874-1951
ニコライ・メトネル 1880-1951
尾高尚忠 1911-1951

生誕50年
田中カレン 1961-
横島浩 1961年 - 
マーク=アンドレ・ダルバヴィ 1961-
マイケル・トーク 1961-

没後50年
パーシー・グレインジャー 1882-1961★★

生誕40年
トーマス・アデス 1971-
マティアス・ピンチャー 1971-

没後40年
イーゴリ・ストラヴィンスキー 1882-1971
カール・ラッグルズ 1876-1971★
 
没後30年
ハワード・ハンソン 1896-1981
サミュエル・バーバー 1910-1981
コーネリアス・カーデュー 1936-1981★

没後20年
池内友次郎 1906-1991
山田一雄 1912~1991

没後10年
團伊玖磨 1924-2001
松平頼則 1907-2001★
イアニス・クセナキス 1922-2001★

何といっても、《乙女の祈り》で知られるバダジェフスカ没後150年が香ばしすぎます。

ホヴァネス生誕100年や、グレインジャー没後50年など切りの良い割には絶対に局地的な話題にしかならないであろうアニヴァーサリーも味わい深いものがあります。

抜け、誤り、おすすめなどありましたらご教示下さい。


autotono.jpeg

数年前、ブソッティが来日したときに企画された一連のコンサートのライヴ音源がStradivariusレーベルより発売されました。
(CD販売ページはこちら

その中の声楽アンサンブルを集めたコンサートに私も参加しましたが、この時の音源は全曲このCDに含まれています。どの作品も人間業とは思えない超絶技巧を要する演奏至難なものばかりだったので、感慨深いものがあります。

このアルバムのメインは、(私は参加していませんでしたが)図形楽譜というよりは、もはや壮大な落書きといった趣の「楽譜」のインパクトが強いAutotonoの演奏でしょう。
この作品の楽譜はこちらのページを御覧下さい(2つ目の画像)。

そして、そのアンコールとして演奏されたブソッティ自身の歌うトラックも微笑ましいです。

iTunesでの配信もされていますので、こちらもどうぞ。

本番からずいぶん間があいてしまいましたが、6月の無伴奏ライヴからの動画第2弾です。
今回が委嘱初演となった鶴見幸代さんの《アリア》です。

植物がゆっくりと成長していくような展開の作品で、演奏時間30分を超える大作となりましたので、3つの動画に分けての紹介となります。






6月の無伴奏ライヴで演奏した森田泰之進氏の委嘱新作《うたかたながし》の動画をアップしました。途中から事前に録音、加工した私の声とのヴァーチャル二重奏になりますが、この面白さは動画でこそ倍増します。


他の動画も追ってアップする予定です。

昨年秋に初演された中川俊郎氏のオーケストラ作品《曲率》の動画を、YouTubeで発見したので貼っておきます。

ソロ・パフォーマーのパートは中川氏本人がやっていますが、この面白さは動画を見なければ分からないでしょう。

ちなみに私はこの演奏を聴いていますが、座った席が最前列でしかも中川氏のすぐ近く、このときの会場の東京芸術劇場はステージがあまり高くないので、この抱腹絶倒のパフォーマンスをかぶりつきで堪能してしまいました。




今は、コーラスでこういう仕事をやっていますが、5,6月に以下のようなものに出演しています。詳細は追って再告知します。


墨田ぶらり下町音楽祭
5月23日(日)14:00~ 15:00~ 16:00~ 17:00~
入場料:1日通し券2500円、1箇所1公演のみ1000円

出演:
愛甲雅美(ソプラノ)安藤由香(リコーダー)鈴木奈津子(ピアノ)長久真実子(チェンバロ)
橋本晋哉(テューバ)パティオ・イカウイイ(シンガー) 松平敬 (声、バリトン)
安江佐和子(パーカッション) 山本徹(チェロ) 吉川真澄(ソプラノ)渡辺佳代子(オーボエ)

押上駅の7つの会場で行われる音楽祭です。
私は、橋本晋哉氏とともに「現代音楽ブース」(押上文花町会倉庫)で演奏します。
30分のステージを4回やります。
曲目は未定ですが、低音デュオのレパートリーが演奏されるかと思います。



松平敬:無伴奏ソロ・ライヴ(仮題)
6月24日(木)19:00~ 公園通りクラシックス
入場料:2500円(ご予約)、2800円(当日)

出演:松平敬(声)

曲目(予定):
ジョン・ケージ:Music for One
森田泰之進:うたかたながし(委嘱初演)
クルト・シュヴィッターズ:Ursonate
鶴見幸代:アリア(委嘱初演) ほか

全編、私ひとりのみの演奏でお送りします。
数年前にも似たような企画をやっていますが、その時は部分的に有馬純寿氏に音響をお手伝いしてもらいました。今回は、完全にひとりでやる、というコンセプトです。
MONO=POLIではなく、MONOのみということです。


以下、「MONO=POLI」関連記事の掲載誌などの情報です。
括弧内は記事のライターのお名前です(敬称略)。

レコード芸術4月号(佐野光司、長木誠司)
CDジャーナル4月号(長井進之介)

CDジャーナルはカラー1ページの大きな記事を組んでもらえたのも嬉しいですが、さりげなく表紙にも私の名前が!!

すでにお知らせ済みの、タワーレコードのフリーペーパーintoxicate84号の記事がweb上にも掲載されました。以下のリンクからどうぞ。


昨日お越し下さった皆様、ありがとうございました。
さて、そのリハで橋本氏と、現代音楽の演奏において、どうしても世界初演、日本初演、ということに目が行きがちですが、一度演奏したきりにせず、再演を重ねることによって、その作品を後世に残すことの方が重要ではないか、といったような雑談をしました。

それで、私の場合はどうか、と思い、どれくらい再演を重ねているか、振り返ってみました。

圧倒的に多いのが初演のみ、というものですが、2度目の演奏、というのはそれなりの数あります。
個人的には3度やると、たくさんやったな、という気になるので、3度以上演奏したものの記録をまとめてみました。

演奏回数:3回

ケージ:龍安寺
2003 同志社大学
2007 ケルン・日本文化会館
2007 レンタルスペースSF

シェルシ:WO MA
2005 公園通りクラシックス(3曲目は省略)
2005 秋吉台
2007 ケルン・日本文化会館

シュトックハウゼン:シュピラール
2007 キュルテン
2008 門仲天井ホール
2008 東大

クセナキス:カッサンドラ
2003 豊中市立ローズ文化センター
2004 北とぴあ
2005 大阪市中央公会堂

川島素晴:インヴェンションIII
2004 北とぴあ
2004 新居浜文化センター
2005 公園通りクラシックス

湯浅譲二:R.D.レインからの二篇
2005 秋吉台
2008 東京芸術大学
2009 東京オペラシティ

中川俊郎:ベルジュレット
2004 新居浜文化センター
2005 公園通りクラシックス
2009 公園通りクラシックス

ベリオ:セクエンツァIII
2004 北とぴあ
2004 南予文化会館
2006 公園通りクラシックス

演奏回数:4回

シュトックハウゼン:ティアクライス
2001 キュルテン
2003 同志社
2004 北とぴあ
2008 杉並公会堂

中川俊郎:主の祈り
2007 すみだトリフォニー
2008 桐朋学園大学
2008 東京芸術大学
2009 公園通りクラシックス

演奏回数:5回

ケージ:声のためのソロ2
2006 低音デュオ(with テューバのためのソロ)
2007 公園通りクラシックス(with ソング・ブックス、ピアノのためのソロ、テューバのためのソロ)
2008 門仲天井ホール(4人による同時演奏)
2008 東京芸術大学(with アリア)
2010 CD《MONO=POLI》に収録(4ヴァージョンの多重録音)

演奏回数:10回

湯浅譲二:天気予報所見
2004 北とぴあ
2004 新居浜文化センター
2004 南予文化会館
2005 公園通りクラシックス
2005 秋吉台
2006 東京オペラシティ
2008 トーキョーワンダーサイト本郷
2008 東京芸術大学
2009 公園通りクラシックス
2010 桐朋学園大学

やはり、圧倒的に多いのが《天気予報所見》ですが、ケージの《声のためのソロ2》が多いのは意外でした。同じケージでも《アリア》は定番過ぎるゆえに演奏を避けているので、ランク外です。

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

今年も懲りずに、マイナーなアニヴァーサリーを調べてみました。
シューマン、ショパンといったメジャーどころは敢えて外していますが、マーラーの生誕150年はノーマークだったので、入れています。
個人的なツボには☆印を付しています。

生誕500年
アントニオ・デ・カベソン (1510-1566) ☆
アンドレーア・ガブリエーリ (1510-1586) ☆☆

生誕300年
ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ(1710-1736) ☆
ドメニコ・アルベルティ(1710-1740) ☆☆☆
ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ (1710-1784)

生誕200年
ノルベルト・ブルグミュラー(1810-1836) ☆☆☆(あのブルグミュラーの弟)
オットー・ニコライ(1810-1849)

生誕150年
フーゴー・ヴォルフ(1860-1903) 
エドワード・マクダウェル(1860-1908)  
イサーク・アルベニス(1860-1909)
グスタフ・マーラー(1860-1911) 
イグナツィ・パデレフスキ(1860-1941)  
ギュスターヴ・シャルパンティエ(1860-1956)

生誕100年
サミュエル・バーバー(1910-1981)
ウィリアム・シューマン(1910-1992)
ピエール・シェフェール(1910-1995) ☆
平井康三郎(1910-2002) ☆

没後100年
カール・ライネッケ(1824-1910)
ミリイ・バラキレフ(1837-1910)

生誕80年
ロバート・アシュリー(1930-)
諸井誠(1930-) ☆
ディーター・シュネーベル(1930-)

生誕70年
フランク・ザッパ(1940-1993)

生誕60年
ジェイムズ・ディロン(1950-)
久石譲(1950-)

生誕50年
猿谷紀郎(1960-)

没後50年
エルンスト・フォン・ドホナーニ(1877-1960)
アーサー・ベンジャミン(1893-1960)

生誕40年
新垣隆(1970-)
鈴木純明(1970-)

没後30年
入野義朗(1921-1980)

没後20年
アーロン・コープランド(1900-1990)(生誕110年でもあります)

没後10年
中田喜直(1923-2000)
アラン・ホヴァネス(1911-2000) ☆
フランコ・ドナトーニ(1927-2000)

微分音演奏システム.jpg


先日紹介したフォルマント兄弟にインスパイアされて、伝統的なキーボード演奏のみで微分音をリアルタイムで演奏(ただしモノフォニックのみ)するためのシステムをMax/MSPでプログラミングしてみました。

原理は非常に簡単で、和音として演奏した鍵盤の丁度中間のピッチが演奏されるというものです。したがって、短2度音程による和音を弾くと、その中間の4分音が演奏されるということになります。

全く同じ原理で、3音による和音で6分音(半音の3分割)、4音和音で8分音(半音の4分割)が演奏可能です。
金管楽器や弦楽器のように、異なる「運指」で同じピッチを演奏することも可能ですが、演奏のしやすさなども考慮して、4分音、6分音、8分音、10分音の「運指法」を考えてみました(当然ながら、ここから3分音、5分音の運指は容易に導けます。両手の10本の指を総動員すれば、20分音(!)まで演奏可能です)。
当然、4分音から6分音に突然移行、などというのも、和音の構成音を変えることのみで可能ですので、かなり複雑な微分音によるメロディーを比較的簡単に演奏ができます。

以下、この音階のサンプル音源です。
プログラミングがまだ完璧でないので、微妙な音のしゃくりはご容赦ください。

ここまできて、半音階を聴いてみると、半音がとてつもなく広く感じられるでしょう。

本日は、東大駒場キャンパスへフォルマント兄弟(三輪眞弘+左近田展康)の作品のレクチャーも伴った演奏会を聴きに行きました。
(他にシンポジウムなどもありましたが、諸事情により欠席)

はじめに演奏したのは《フレディーの墓/インターナショナル》。クイーンのヴォーカリスト、フレディー・マーキュリーに有名な《インターナショナル》を日本語で歌わせる、というコンセプトですが、この彼の声はサンプリングのような編集によらない、完全な電子音響というところがポイントです。彼の声色を完全に分析し、ピッチや母音の変化をさらに電子的にコントロール可能にしているのですが、例えば「初音ミク」のようなものとは決定的に違っているのが、リアルタイムで演奏可能、ということです。

このテクノロジーによって、カラオケにあわせて、ステージ上のひとりのキーボード奏者(岡野勇仁)が、リアルタイムで、「フレディー・マーキュリーの声で」インターナショナルを「日本語で」歌うという芸当を行う、というのが可能になっています。

「兄弟」は、一瞬でも、フレディー・マーキュリーの声だな、と認識したなら、(実体が存在しないにも関わらず)彼が実際にインターナショナルを日本語で歌った、という事実が存在するのだ、と主張します。

この作品のPVはこちら(↓)から見られます(映像になってしまうと、この効果が半減するのが残念ですが)。


この演奏に引き続いて、兄弟による、この作品に使われたテクノロジーの詳細な解説が続きました。

はじめの問題は、いかにリアルタイムで言葉を話させるか、という点です。
1オクターヴの鍵盤の黒鍵を5つの母音、k,s,t,n,h,m,rといった子音を7つの白鍵に割り当て、黒鍵と白鍵を同時に弾くことによって、ひとつの音素を演奏可能にしています。
濁音やy,wなどの半母音も補助的な鍵盤を同時に弾くことによって発音可能にしていますが、ポイントは、すべての日本語の音素が「片手」で「演奏」できる、ということです。
このことによって、キーボードの低音域(左手)を発音、高音域(右手)をピッチに割り当てることによって、リアルタイムで、任意のピッチで任意の音素を話す、あるいは歌うことが可能になります。
この発音システムの詳細はこちら、このシステムを用いて「インターナショナル」を歌わせるための楽譜はこちらをご覧下さい。

次の問題が、ピッチです。声の微妙なゆらぎや、非西洋音楽にも対応するために微分音程を通常のキーボードでそれほどの困難を感じさせずに演奏するシステムを考えました。純正5度を含む17平均律を使い、例えば隣り合ったCとC#の鍵盤を同時に演奏すると、その中間の音程が演奏可能になるようなプログラミングを施し、さらに微妙な音程を出したければ、同時に弾く鍵盤の音程を変えるとか、3音同時に弾くなどの技を実演もしていました。これはおそらく、演奏された鍵盤のからそれぞれの周波数を割り出し、その平均の周波数が出力される仕組みになっていると予想されます。
声は和音が出せませんから、出せない和音をゆらぎに使う、というのはうまい発想だと思いました。Cの音を伸ばし続けて、Dの鍵盤をトレモロの様に演奏すれば、ヴィブラート風になりますし、同様のテクニックで「こぶし」のようなことも可能になります。

このようにして、こうした発音、微分音の細かいニュアンスを伝統的な鍵盤のみで可能にしたわけですが、これは、そうした効果を完全に記譜しておけば、リアルタイムで、リアルな歌声が実演可能となる、ということを意味します。
(しかも、その楽譜は、多少細かい音価を含むものの、伝統的な五線譜です。楽譜と出てくる音が一致しないのはプリペアド・ピアノと同じですが)

そしてこの技術を駆使したのが、本日披露された新曲《都々逸》です。
三味線奏者(田中悠美子)と歌(岡野勇仁)の二人のための作品ですが、当然この歌のパートはキーボードによって演奏される電子音響で、見事なこぶしを加えて演奏されます。
三味線を弾くお師匠さんが「発音が悪いわね」とか「こぶしが下手ねぇ」などとたしなめる小芝居がなかなか洒落ていました。

最後に、レクチャーの中でも上映した、 "Ordering a Pizza de Brothers!"の動画を紹介します。これは、ピザ屋に電話をかけて、リアルタイムに演奏される電子音響の声がピザを注文する、というものですが、これをパフォーマンスとして、観客の前で上演する、そして、ピザ屋の人は、普通の人間が注文していると、思い込んでいるのがポイントです。


歌い手としては、非常に複雑な心境でしたが、この電子音響による架空の歌手との二重唱も楽しいのではないか、などと妄想もしました。


私がかなりの頻度で演奏をしている湯浅譲二氏の《天気予報所見》は、何の感情も持たない天気予報のテキストが、泣いたり笑ったりしながら読まれることによる違和感の面白さが作品の魅力の一つですが、ここに紹介する動画では、本当の天気予報でアナウンサーがなぜか笑いのツボに入っています。



本日も、中川さんのオーケストラの新曲の本番がありました。
昨日は中川さんの個展でしたが、本日は4人の作曲家による4曲の新曲からなるプログラムで、その内の一曲が中川作品でした。

中川俊郎《曲率》(演奏:小鍛冶邦隆指揮、東京交響楽団)

チケットは指定席だったのですが、よく見てみると最前列ほぼ中央。
オーケストラの演奏会で最前列は、音響的にあまり良い席とは言えませんが、まあ、いいかとそこで聴くことにしました。会場の東京芸術劇場は、舞台の高さも高くないので、弦楽器セクションの演奏の様子が手に取るように見えます。

1曲目の演奏が終わり、2曲目の中川作品の演奏の前に、ステマネがそでから何やら怪しげなものをステージ中央に運んできました。
それは、ソリストとして出演する中川さんの演奏する「物体」たちでした。おもちゃのキーボードのような一応楽器といえるもの、空き缶、はさみなどの非楽器などがごちゃごちゃと譜面台にのせられ、演奏前から怪しさ満点です。

そして、その時気がついたのが、私の座っていた席は、そのソリストの演奏位置の真正面、かぶりつきだったのです。

ソリストは登場しないまま演奏が始まりますが、見事に昨日演奏されたどの作品とも似ていない、しかし中川ワールド全開の脱力サウンドが始まりました。しばらくすると演奏中にもかかわらずオーケストラの奏者がなぜか立ち上がり、「ソリスト入場」です。

譜面台にところせましと載せられた様々な楽器、非楽器を次々と持ち替え奇妙な音響を発する中川さんの姿はユーモラスで、しばしば客席からも失笑がもれましたが、異質な音響をひとつの音楽に結びつけるセンスはやはりさすがです。
(ちなみにソリストのパートはオーケストラの楽譜を主催者に提出したあと、本番日ぎりぎりまで作曲していたらしいのですが、本人しか持っていないその譜面を昨日電車に置き忘れ、今日それを取りにいく時間も作れず、結局新たに楽譜を作り直した、というエピソードも中川さんらしいです)

やはりこの作品でもオーケストラの奏者にちょっとしたパフォーマンスをさせていましたが、弦楽器奏者に弓で譜面台の支柱を軽く叩かせるところなどは、演劇的効果だけでなく、おもしろい音響効果を出していました。

そしてクライマックスは作品後半、ソリストの中川さんが突如オーケストラの方に向き、「本物」の指揮者が指揮を続けているのにもかかわらず、勝手に指揮を始めます。
どちらの指揮をみて演奏しているのかは、謎ですが、中川さんのもっともらしい指揮ぶりはケッサクでした。

そして、昨日の都響と同様、本日の東響のメンバーからも中川さんのキャラは愛されていた様子が窺え、微笑ましかったです。

今年は、かなり他の仕事を控え、オーケストラ作品の作曲に集中していたようですが、それが良い作品、良い演奏に結実し、ご本人も満足されているのではないでしょうか。

昨日はサントリーホールへ「作曲家の個展2009 中川俊郎」へ行ってきました。
毎年、双子座三重奏団でご一緒している中川さんのオーケストラ作品がまとめて演奏される、ということで楽しみにしていましたが、中川ワールドをたっぷりと堪能しました。

中川さんとオーケストラ、というのはイメージとしてほとんど結びつかないな、と思いつつ、プログラム巻末の作品表をながめていたら、そこにのっていたオーケストラ曲は3曲、その内の2曲が昨晩演奏され、さらにそこにない新曲2曲が披露されたので、昨晩だけで中川さんのオーケストラ作品のほとんどを聴いてしまったことになります。

プログラムと演奏者は以下のとおりです。

---

西村朗氏とのプレトーク

中川俊郎:
・合奏協奏曲第2番(1987/88)
・合奏協奏曲第3番(2009)[初演]

休憩

・もの思う葦たち(2003)
・影法師--F.シューベルトの同名の歌曲その他による(2008-09)[初演]

指揮:飯森範親 東京都交響楽団

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《合奏協奏曲第2番》は初演のライヴ録音がCDにもなっていますし、その時の聴衆たちからの強烈なブーイングの嵐も伝説となっていますが、私はむしろ楽しんで聴けましたし、しかし同時にその拒否反応したくなる原因も理解できました。

ちなみにプレトークでこの拒否反応についても話題になってましたが、武満徹、松村禎三などの大物作曲家が一様に完全拒絶といった面持ちだったのに対して、中川さんの師の三善晃は、ひょうひょうと、あのおもちゃはもっと前においた方が、よく聴こえたんじゃない?などとアドバイスしていた、というエピソードは今となっては微笑ましいです。

さて、この作品の楽譜は空白だらけなのですが、そこを各演奏者が即興演奏で埋める、という趣向をもっています。そもそも、記譜された楽譜を忠実に演奏するようトレーニングを積んだクラシックのオーケストラ奏者に即興演奏をさせる、という設定自体が無茶なのですが、作品解説に「即興自体も上手である必要はなく、まったく何をして良いか分からない人が、しかたなく何かをやる、というレベルの人がいて、全く構わない。逆に即興の達人が、一人で浮きまくるのもありである。」と書かれているように、即興演奏の技術の稚拙さも許容してしまうところが大きなポイントです。

そして、出てくる音はどのような音かというと、いくつかの目立ったフレーズはあるものの、端的に言えば、オーケストラの各奏者が本番前に各自バラバラに練習しているようなカオス的な音響に終始し、そこに明確な音楽の進行のようなものは存在しません。究極のデタラメに限りなく近いともいえる音響を聞いて、武満徹のような作曲家が強い拒否反応をしめすのはある意味自然かもしれません。

それでも不思議なのが、このカオスのような音響が単なる「うるさい」音になってしまわない、バランス感覚です。そして、このぐしゃぐしゃした音響の独特な肌触りもなぜか気持ちよくなってくるのですが、オーケストラの奏者たちが楽しみながら演奏していることも影響しているかもしれません。

そして、つづく《合奏協奏曲第3番》は、基本的には第2番と同じ音楽です。
違いは、第2番の空白部分に、作曲者が、即興演奏のためのガイド(具体的な音形やアイデアなど)が書き込まれているということです。つまり第2番で即興の部分だったところが、通常の記譜された楽譜に近づいているのですが、空白の即興部分も残されているとのことです(作曲家としては、まわりの様相が変わることによって、この即興部分の演奏内容に影響が及ぼされることも期待しています)。

第2番とこの作品を続けて演奏することによって、両者の違いを楽しめる趣向になっていますが、カオス的な印象は、即興性の低いはずの第3番の方がかえって強まったのが面白かったです。指揮者を含む各奏者が立ち上がったり客席を動き回ったり、突然モーツァルトのセレナーデを演奏し始めたり(しかしまわりの音とのバランスでほとんど聴こえない)、アナーキーさを強調させるような派手な音形が現れたりと、つまりは、無秩序な雰囲気を作曲者が巧妙に演出している、ということなのです。

この種のパフォーマンスは、オーケストラ奏者は嫌がることが多いのですが、若干悪乗り気味の飯森氏の指揮(+パフォーマンス)と、中川さんの憎めない人柄に刺激されてか、好意的に演奏していたのが印象的でした。

休憩をはさんで、《もの思う葦たち》は前半のカオス的な音響とはがらっと様相を変えます。
この作品のポイントは指揮者を含めた全奏者が同じ楽譜を使用する、ということです。しかもそのスコアは、単純な幾何学的な図形による図形楽譜、そこをどのように解釈するか、というのが演奏上の肝となります。
具体的にどのようなプロセスで演奏を作り上げていったのかは分かりませんが、楽譜に書かれた図形がある程度想像できるような演奏で、前半と真逆のすき間だらけの薄い響きを楽しみました。

最後の《影法師》は今回の演奏会でもっとも「まともな」作品、つまりきちんと記譜された作品です。タイトルにもなっているシューベルトの歌曲の、ピアノで演奏されるパッサカリアのテーマを始めとして、B-A-C-Hの音名象徴、モーツァルトの《ジュピター》の第4楽章のテーマなど、様々な(意図的、そして無意識に導き出した)十字架音形の引用を組み合わせて作品を構成する、という趣向ですが、一見伝統的に聴こえるこの作品に、中川さんの作曲家としての本領を見ました。
その組み合わせ方の和声的センス、透明感のあるテクスチュアなど、中川さんの演奏するピアノの音色を思わせる繊細さを強く感じました。

そして、今日はまた中川さんの別のオーケストラ作品の初演、この極端な初演のブッキングの偏りも中川ワールドといえるのではないでしょうか。
(終演後、楽屋に行ったら、今日の作品のスコアを電車に忘れてしまって、熱海まで取りに行かなければならない、との話を伺いました。さすがです)


さらに、11月29日の双子座三重奏団でも、中川作品を大量に演奏しますので、是非ともご来場下さい。

双子座三重奏団第5回.jpg
(クリックで拡大できます)

以下に、この双子座三重奏団のメンバーの情報をお知らせします。

トランペットの曽我部清典氏は本日4日来週11日午後6時より、NHK-FMの音楽に出演します。詳しい曲目は日付のところからリンクされた番組表をご覧頂きたいのですが、私にも関連があるのは来週11日の放送分で、双子座三重奏団の昨年の演奏会のライヴ録音が1曲放送されることです。本日放送分で川島素晴氏の《まつだいら家》が放送されるのも、私と関係なくはありません(演奏は曽我部氏のみですが)。

一方、作曲家にしてピアニストでもある中川俊郎氏は、10月中にオーケストラの初演が2日連続であるという超人的な状態になっています(うち一日は中川作品のみのオーケストラ作品個展)。

作曲家の個展2009-中川俊郎
2009年10月14日(水)19時開演、サントリーホール 大ホール
指揮:飯森範親
管弦楽:東京都交響楽団
リンク:主催者サイト

オーケストラ・プロジェクト2009
2009年10月15日(木)19時開演、東京芸術劇場大ホール 
指揮:小鍛冶邦隆 
管弦楽:東京交響楽団
リンク:主催者サイト

もちろん、双子座三重奏団の本番もよろしくお願いします。


sntk9.jpg以前から謎の存在であったシュニトケの交響曲第9番のCD(左画像)が発売されました。3楽章35分程のこの作品は、最晩年のシュニトケが、度重なる心臓発作の末、右半身不随の状態で左手でスコアが書かれたという壮絶なドラマを持っています。

10年以上前の作品が、なぜこれまでお蔵入りになっていたかというと、そうした状況で作曲されたため、あまりにも自筆譜が判読しがたいものだったからなのです。CDの解説やSikorskiから出版されているスコアにその自筆譜の一部を見ることができますが、震えるような筆跡で埋め尽くされた自筆譜はかなり衝撃的です。スケッチではなくてスコアがこの状態ですべて書かれたことにも執念を感じさせます。ラスカトフというシュニトケとも交流のあった作曲家が、この状態の楽譜を読める形に再構築し、このCDの演奏へと至った訳です。

出版されているスコアはシュニトケが書いた部分、ラスカトフが手を加えた部分の区別が付くようになっていますが、マーラーの第10交響曲のような未完成作品の大規模な補筆でなく、細部の修正にとどまっていることがよく分かります。つまり、第4楽章以降を作曲する意図があったかどうかは不明ですが、遺されている第3楽章までのスコアは完成しているとみなしても良いということです。

修正している内容は、全体に大まかな記譜しかないダイナミクス記号の付加、勘違い、あるいは不注意で記譜されたと思われる音符の訂正、若干のオーケストレーションの訂正、判読不能な箇所の補筆(そこには「判読不能」と注釈がついています)など、それぞれの箇所は音符1〜数個のマイナーチェンジですが、全曲にその種の訂正が大量にあって、しばしば何故そのように訂正したのか、という意図が分からず恣意的に思える部分もあります。

出版社には是非とも自筆譜のファクシミリも出版して頂きたいところです。

ちなみに、このCDに関してはレコード芸術5月号にも短いレビューを書きましたので、ご興味のある方はそちらもお読み下さい。


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おしらせ

双子座三重奏団うるう日ライヴ
2012年2月29日19:00-
門仲天井ホール

双子座2012チラシtogo.jpg

中川俊郎:バッハーズ・アロウ
森田泰之進:こうふくのしま
鈴木治行:蛇行
山本哲也:スライドホイッスル三重奏曲
ケージ:ラジオ・ミュージック
ほか

出演:
曽我部清典(トランペット)
中川俊郎(ピアノ)
松平敬(声)

コンサート詳細はこちらまで

■タリス:40声のモテット
(一人の歌手による多重録音)

ご試聴、ご購入は以下まで
iTunes
e-onkyo music
OTOTOY

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》

 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006
平成22年度文化庁芸術祭
レコード部門優秀賞受賞作品

文化庁芸術祭シンボルマーク

プロモーション・ヴィデオ

ご購入は以下まで:
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