Classical Musicの最近のブログ記事

本日は、日本歌曲にまつわる話題。

山田耕筰が「耕作」から「耕筰」へと改名、その理由は頭が禿頭なので名前だけでも賑やかに、という話は以前から知っていたのですが、出典を知らなかったので少し調べてみると、『山田耕筰著作全集3』(岩波書店)の「竹かんむりの由来」という文章にその顛末が乗っているということで、近くの図書館にその資料を調べに行きました。

するとやはり髪の毛のことが原因であることが、自虐的に語られていましたが、それ以外に同姓同名が多く、郵便の誤配、間違い電話などが多かったことも原因だったことが分かりました。さらに、ローマ字表記がKosakuではなくKôsçakという、やたらと入り組んだ綴りにした由来(コーザクーと誤読された)も分かり、少し物知りになった気分になりました。

そして驚いたのが、この文章の初出文献です。『音楽の友』昭和23年10月号とのことですが、今もまだ続いている雑誌の源泉をたどると、こういう文章に行き着くのか、と感慨深く感じました。

そして、ヤマハから誕生月は楽譜が15%割引というハガキも届いていたので、いくつかの楽譜を購入しました。『伊福部昭歌曲集』『深井史郎歌曲集』(どちらも全音楽譜出版社)は結構なレアアイテムだと思い(伊福部歌曲は芸大の図書館で見た記憶あり)、早速購入しましたが、最終ページの出版情報を見てなんとも切ない気持ちになりました。

まず『伊福部昭歌曲集』は、

第1版第1刷発行 1971年4月20日
第1版第4刷発行 2011年4月20日

とのこと。単純に計算して、10年に1回新たに印刷しているという計算になりますが、逆に言うとその程度しか売れていないということです。

そして、そんなものが全音から出ていることすら知らなかった『深井史郎歌曲集』は

第1版第1刷発行 1971年7月5日
第1版第2刷発行 2011年1月31日

第1刷から第2刷までの月日はなんと40年!、ナクソスなどで作品が聴けるようになったのでようやく需要が高まってきたのでしょう。
まだ今も現役で活躍中の作曲家の名作の楽譜が入手困難(一柳慧《ピアノ・メディア》など)であることが珍しいことではないことも併せて考えると、なんともやるせない気持ちになりました。

ちなみにこの歌曲集には草野心平の蛙語を一部使った歌詞(「ごびらっふの独白」とは別)の、ファルセットも多用したバリトン用の歌曲も含まれています。当時の日本歌曲としては相当に前衛的だったと思います。

深井史郎の楽譜は下にamazonのリンクを張っておきますが、amazonでは現在注文できない伊福部昭の楽譜の情報は全音のサイトよりどうぞ。ちなみに伊福部の全歌曲を収めたCDもありますので、ついでに紹介しておきます。個人的にはティンパニ伴奏による《アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌》を演奏してみたいものです。




あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。

さて、新年の初仕事はここ毎年続けているアニヴァーサリーの調査です。

今年の新しい試みとして「作品」のアニヴァーサリーも調べてみました。
あまり細かくしても仕方がないので丁度100年前、50年前に作曲され音楽史的にも影響力の高いものを調べてみました。
(作曲が複数年に渡っているものは完成年が該当するもののみ選びました)

100年前(1911年作曲)

  • シェーンベルク:グレの歌 (1911年完成)
  • シェーンベルク:6つのピアノ小品 op.19
  • シェーンベルク:心のしげみ op.20
  • R.シュトラウス:ばらの騎士
  • スクリャービン:ピアノソナタ第6番
  • ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ
  • ドビュッシー:聖セバスティアンの殉教
  • ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ

50年前(1961年作曲)

  • シュトックハウゼン:ピアノ曲IX, X(1961年完成)
  • ブーレーズ:構造II
  • ケージ:ヴァリエーションズII
  • フェルドマン:持続III~V
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第12番「1917年」
  • クセナキス:ヘルマ
  • リゲティ:アトモスフェール
  • プスール:Trois Visages à Liège
  • 武満徹:ピアノ・ディスタンス
  • 武満徹:◯と△の歌
  • 湯浅譲二:葵の上
  • 松平頼則:蘇莫者

偶然ではあるのでしょうが、丁度50年前に作曲されたピアノ曲のラインナップがあまりにも強力でびっくりしました。


そして、恒例の作曲家のアニヴァーサリーです。
個人的な萌えポイントには★印をつけました(但し、作曲家としての評価とはまた別です)。

没後400年 
トマス・ルイス・デ・ビクトリア 1548-1611

没後350年
ルイ・クープラン 1626?-1661

生誕200年
フランツ・リスト 1811-1886

没後150年
テクラ・バダジェフスカ 1838-1861★★★

生誕100年
ニーノ・ロータ 1911-1979
アラン・ホヴァネス 1911-2000★★
ジャン・カルロ・メノッティ 1911-2007
尾高尚忠 1911-1951
清水脩 1911-1986
アラン・ペッタション 1911-1980
安部幸明 1911-2006

没後100年
グスタフ・マーラー 1860-1911

生誕90年
入野義朗 1921-1980
アルフレッド・リード 1921-2005
アストル・ピアソラ 1921-1992
石井歓 1921- 2009
マルコム・アーノルド 1921~2006

没後90年
エンゲルベルト・フンパーディンク 1854-1921
カミーユ・サンサーンス 1835-1921
デオダ・ド・セヴラック 1872-1921

生誕80年
マウリシオ・カーゲル 1931-2008★
シルヴァーノ・ブッソッティ 1931-★ 
ソフィア・グバイドゥーリナ 1931-
アルヴィン・ルシエ 1931-★
篠原眞 1931-
松平頼暁 1931-★
林光 1931-
外山雄三 1931-

没後80年
カール・ニールセン 1865-1931 
中田章 1886-1931
ヴァンサン・ダンディ 1851-1931

生誕70年
ヨハネス・フリッチュ1941-2010★
エマニュエル・ヌネス 1941-

没後70年
フランク・ブリッジ 1879-1941
岡野貞一 1878-1941

生誕60年
松下功 1951-

没後60年
アルノルト・シェーンベルク 1874-1951
ニコライ・メトネル 1880-1951
尾高尚忠 1911-1951

生誕50年
田中カレン 1961-
横島浩 1961年 - 
マーク=アンドレ・ダルバヴィ 1961-
マイケル・トーク 1961-

没後50年
パーシー・グレインジャー 1882-1961★★

生誕40年
トーマス・アデス 1971-
マティアス・ピンチャー 1971-

没後40年
イーゴリ・ストラヴィンスキー 1882-1971
カール・ラッグルズ 1876-1971★
 
没後30年
ハワード・ハンソン 1896-1981
サミュエル・バーバー 1910-1981
コーネリアス・カーデュー 1936-1981★

没後20年
池内友次郎 1906-1991
山田一雄 1912~1991

没後10年
團伊玖磨 1924-2001
松平頼則 1907-2001★
イアニス・クセナキス 1922-2001★

何といっても、《乙女の祈り》で知られるバダジェフスカ没後150年が香ばしすぎます。

ホヴァネス生誕100年や、グレインジャー没後50年など切りの良い割には絶対に局地的な話題にしかならないであろうアニヴァーサリーも味わい深いものがあります。

抜け、誤り、おすすめなどありましたらご教示下さい。


私が勝手に妄想していた第九ならぬ「大工交響曲」が実現してしまいました!

打楽器の神田佳子さんのスタジオでの忘年会の出し物として、私も演奏に参加、直前の簡単な打ち合わせのみで、即興も混ぜ、勢いでアレンジを作り上げてしまいました。

演奏の模様は以下の動画を御覧下さい。
演奏が相当にゆるいですが、忘年会の余興ですのでご勘弁を。



神田さんの実行力に拍手(笑)

昨日は、有楽町で行われているラ・フォル・ジュルネへポゴレリチの演奏を聞きに行きました。どうも最近の彼の演奏は、あちら側の世界に行っているらしい、という噂を聞いていたので覚悟はしていましたが、予想を超えるトンデモ演奏で、近年稀にみる大ショックを受けてしまいました。
演奏した曲目は、ショパンの「ピアノ協奏曲第2番」、コンチェルトでよくここまでやりたい放題やったというくらいの主観的な演奏でした。

単なる奇天烈な解釈として切り捨てられないのは、現在の彼が本心から、この音楽をあのように捉えていることが痛切に伝わってきたからです。

以下、ツイッターに昨晩から今日にかけてつぶやきまくった投稿をそのまま転載します。

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ポゴレリチ聴いた。何というか、見てはいけないものを見てしまった感じ。。

pppppとffだけの音楽。あの世から聴こえてくるのかと思うくらい可聴域すれすれの(しかしとてつもなく美しすぎる)弱音と、突然もだえくるうような低音のff

1分に数回はフェルマータ。音を伸ばしているというよりは時間が止まった感じ。ポゴレリチが美しいと感じた瞬間を凍結させるかのよう。この異様な時間感覚はほとんどシュトックハウゼンかケージ

異常に遅いソロパートからオケのトゥッティに戻ると日常的な世界に引き戻される。さっきのあれは何だったんだ、という感じ。

それにしてもあの第2楽章の耽美と絶望の入り交じったような異様な表現力は何だったのだろう。。

そしてあの15分はかかっていた第2楽章をアンコールでもう一度演奏してしまう神経は何ww

あの有楽町の「祭り」の雰囲気にはもっとも相応しくない奇怪な演奏。ショパンなめるなよ、地獄の音楽だぜ、とでも言いたいのだろうか。

ただの奇天烈な演奏として拒絶する人が多いし、ブーイングが出ているのも分かる極端な演奏だし、逆に肯定的に捉える人もいるのも分かるけれども、立ち上がって歓声を上げる人の気持は理解できない。

あのような奇怪な解釈でも、ポゴレリチにはショパンがあのような異常な音楽として捉えられているのはよく分かったので、あれはあれでありだとは思う。

とにかく、あの鬱々とした音楽のネガティヴなオーラを完全に受けてしまい、どよーんとした気持ちが未だに抜けきれない。

会場のロビーで、同じ曲のアバドとの共演盤を売っていたけど、あの頃の演奏との極端な落差を考えたら、「どうよ」と思ってしまう。

ポゴレリチのさらに恐ろしいのは、あのような自己没入型の演奏をしている割には、妙に客観的な面も持ち合わせていること。

コンチェルトなので、日常の世界へ戻ることができるが、リサイタルだと、そこへ引き戻してくれる人がいない訳で、どのような冥界へ連れていかれるのか。。

今日のポゴレリチのショパンの演奏は、明日自殺する人が人生の最後に奏でる告別の音楽。そんな演奏を続けるポゴレリチは???

「ロマンチックな」ショパン聞きに行ったら、ピアノから貞子が表れたような衝撃を受けた人もいるのでは、、、

今日のポゴレリチ、聴衆にも陰鬱なオーラを浴びせかけるとともに、演奏者本人も自分自身で首を締めるような究極の拷問のような演奏。自己陶酔とは真逆の世界。

自分自身に拷問と苦行を強いながらも、それを冷静に見つめる本人も同時に存在している不思議

そろそろ、寝ようと思うが、ポゴレリチの悪夢を見そうな予感。。。

ポゴレリチの弾くラフマニノフのピアコン2番。おそらく最近の演奏で、ソロパートでのドロドロな感じが不穏な空気を漂わせるが、昨日の演奏と比べると、この演奏はごくごく普通。 

昨日のポゴレリチのトラウマを払拭するために、目黒寄生虫博物館へ向かう。


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以上




私も、双子座三重奏団のレパートリーとして時々演奏する、《猫の二重唱》はロッシーニの作として知られていますが、どうも偽作らしいというのは曖昧な情報として知っていました。

ようやく、この作品の成立についての経緯についての信頼できる記述(Schottの楽譜の2009年版の解説)を発見したので、備忘録がわりに書き記しておきます。

この形に仕上げたのは、イギリス人のRobert Lucas Pearsall(1795-1856)、ロッシーニ自身の作品も含む「つぎはぎ」作業によって作られました。

はじめのAdagioの部分は、デンマークの作曲家Ernst Friedrich WeyseのKatte-Cavatine(猫のカヴァティーナ)の編曲、最後の早い部分はロッシーニの歌劇《オテロ》の第2幕のRodrigoのアリアからの引用です。真ん中の8分の6拍子はPearsall氏によるもののようです。

WeyseのKatte-Cavatineの楽譜はここで見ることができますが、3拍子だった原曲が、4拍子に変更されているものの、猫の鳴き声を「歌詞」として使うアイデア、和声進行などは、そのまま引き写しているのが分かります。
Weyseの伝記の著者によると、1822年に出版されたこの作品の楽譜すらPearsallの編曲らしいとのこと。

猫の二重唱に使われた《オテロ》の中のアリアは、ここで聴くことができます(3分30秒あたり、NMLに登録していない方は時間制限あり)。これは、そのままなのですが、猫の二重唱の方をよく知っているので、このパッセージが出てくるとちょっと笑ってしまいます。

(WikiにはOtelloとIagoの二重唱の素材が使われている、との記述がありますが、どうも間違いのようです。同様の記述のある文献がGoogle Booksの検索に引っかかってきましたが、この記述を鵜呑みにして引用したことによる誤りだと思われます。)

Weyseのヴァージョンは1825年にG.Bertholdのペンネームで出版されましたが、その後Schottによって1971年に出版された楽譜がロッシーニ作とされ、そのままロッシーニの作品として知られるようになったようです。

だんだんとCDの購入枚数が減り、iTunesやナクソスのストリーミングの利用頻度が増えていっていますが、今年購入した以下の3つのCDボックスは良い買い物でした。

1. ビートルズ、全アルバムのリマスター盤(ステレオ盤)

ジャズやロックの古典的名盤は何度も何度もリマスターされ、その都度買い換える、というレコード会社の策略にはまりまくりの記憶が痛々しいですが、ビートルズのアルバムだけは、初CD化から20年間ずっと同じマスターが売られ続けていたのは、ある意味驚異的でした。
このマスターも当時の技術水準から考えるとそれなりの良い仕事だったと思うのですが、特に中低音域のペラペラした感じはずっと気になっていたので、今回のリマスターは朗報でした。


2. クラフトヴェルク(初期作をのぞく)全アルバムのリマスター盤(ドイツ語盤)

テクノポップですから、やはりリズムセクションやアナログ・シンセの音の太さが足りないと物足りません。今回のリマスターではそこが改善されていたのと、LPサイズの巨大なブックレットのキッチュ感が嬉しかったです.


3. ハイドン交響曲全集(デニス・ラッセル・デイヴィス指揮)

ハイドンの作曲した104曲(+α)の交響曲を収めたボックスセットです。
37枚組にしてたったの6500円という破格値ですが、演奏は値段と反比例してなかなかの好演です。弦楽器のヴィブラートは控えめの古楽的アプローチで、アンサンブルもすっきりとしています。中庸な表情付けで、もっとコントラストが欲しいところもなくもありませんが、そのおかげで、「演奏」ではなく「作品」が聞こえてきます。

現在、仕事の移動時間などを利用して全曲聴取に挑んでいます。
始めから聞くと、途中で挫折しそうなので、あえて中期のものから開始しています。




haitink_ring.jpg長大なワーグナーの大作「ニーベルングの指環」のCD、ここまで安くなったのに感慨を覚えます。最近再発売されたハイティンク&バイエルン放送響による「指環」がHMV(画像をクリック)のオンライン会員価格で買うとなんと6,606円です(一般価格でも7306円)。14枚組なので、1枚当たり約472円という冗談のような価格設定です。
安さだけで言えばクーンのものがもっと安かったはずですが、こちらは演奏がお薦めできません。

しかし、このハイティンク盤は演奏が素晴らしいですし、なんといっても音質がとても良いです。製作費などの関係でワーグナーのオペラはライブ録音が多いのですが(もちろん、それはそれで貴重です)、こちらはじっくりと作り上げたセッション録音(1988-91年録音)なので、重厚にして繊細なワーグナーのオーケストレーションの色彩を再現するバイエルン放送響の重みのあるサウンドがクリアーに収められています。

演奏の良し悪しに関しては好みもあろうかと思いますが、値段、音質、演奏を総合すれば、少なくとも「指環」初心者に最適と言えるのではないでしょうか。


作詞、作曲者の著作権は死後50年、その演奏に関わる著作隣接権は発行後50年で切れますが、そのどちらも消失したパブリック・ドメインのクラシック音楽の録音を集めたサイトが以下のURLにあります。
Public Domain classic

左に作曲者の名前が並んでいて、そこをクリックするとその作品の一覧、それをさらにクリックするとその作品の様々な演奏を収めたmp3に辿り着けます。

例えばベートーヴェンの交響曲第5番だとこのような感じです。
http://public-domain-archive.com/classic/composition.php?album_no=12

古くは1913年のニキシュの演奏から、ワインガルトナー、フルトヴェングラー、トスカニーニ、若き日のカラヤンまで様々な演奏を無料で聴き比べることが出来ますし、普通にダウンロードも出来ます。
古の巨匠の演奏を味わうのもいいですし、以下のような小品をノスタルジックに楽しむのも味わい深いです。

エルガー「愛の挨拶」(1913年録音)
サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」(1904年の自作自演もあり)

ラフマニノフやガーシュインの自作自演もありますし、プッチーニのオペラ全曲が聴けたりもします
プッチーニ「トスカ」(テバルディ、カラス)


そして、このような古の音源を楽しむのに最適な、レトロプレイヤーというナイスすぎるソフトがあります。

レトロプレイヤー(Mac OS XまたはOS9)

retroPlayer.jpg

mp3などの音声ファイルをプレイヤーの画面にドラッグするだけで再生できますが、レコード盤が回ったり、針の雑音が加わったり、音程が微妙に揺らいだり、果てには針飛びが起きたり(これらの程度は設定可能です)と細部までの拘りに胸キュンになってしまいます。


とある筋からベームのモーツァルト交響曲全集がiTunes Storeで1500円で買えると知り、アクセスしてみてあまりの安さにビックリしていると、そのリンクからケンプやバレンボイムのベートーヴェン、ピアノ・ソナタ全曲も1500円で購入できることも分かったので、以下にリンクを張っておきます。

ベーム、モーツァルト交響曲全集

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ケンプ、ベートーヴェンピアノ・ソナタ全曲

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バレンボイム、ベートーヴェンピアノ・ソナタ全曲

ついでに以前から知っていた1500円お買い得セットも紹介しておきます。
なんといってもアーノンクールのベートーヴェンてんこ盛りセットが演奏も含めてお薦めです。

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カラヤン、ブルックナー交響曲全集

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アバド、マーラー交響曲全集

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アーノンクール、ベートーヴェン交響曲全集+序曲集+ヴァイオリン協奏曲+プロメテウスの創造物+荘厳ミサetc.

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10年前程から突然有名になったカッチーニの「アヴェ・マリア」ですが、一聴して初期バロックの作曲スタイルと異なる作風(むしろ「シヴァの女王」などの古いスタンダード曲を思わせます)から、きっとこの曲は偽作だろうと思っていました。
以前から色々調べていましたが、遂にそれなりに信憑性の高い情報を見つけました。

http://en.wikipedia.org/wiki/Vladimir_Vavilov

このサイトの情報によるとロシアのギター、リュート奏者でもある作曲家Vladimir Vavilov (1925 –1973)による作曲とのことです。彼はバロックやルネッサンスの作品と称して自作の曲を発表するということをよくやっていたようで、この「アヴェ・マリア」もそうした作品の一つのようです。ただ、彼はカッチーニ作とは称していなかったとのことで、どういう経緯でカッチーニ作曲というクレジットが広まったかはいまだによく分かりません。

こちらのサイトにはこの曲が有名になった経緯が書かれていますが、そのきっかけとなった録音で歌ったInessa Galanteはどこかでこの曲を(カッチーニ作曲と信じて)聴き、それを楽譜に起こした、とのことです。

もし、この話が本当だとすると、「アヴェ・マリア」まだ著作権の生きているVavilovの作品となるので、彼の遺族に突然著作権料が支払われることになるのでしょうか?


最近やっている作業(少しずつ書き加わるかもしれません)

・バッハ「マタイ」のイエスのパートの練習。
7月下旬に演奏予定なのです。

イエスの最後の言葉「エリ、エリ〜 אֵלִי אֵלִי, לָמָה עֲזַבְתָּנִי」というのもヘブライ語ですね(詩篇22番冒頭)。せっかくヘブライ語・日本語の対訳本を買ったので原典にあたって調べてます。
指導している合唱団で「ハレルヤ」をやっていますが、これもヘブライ語、「ハレルー・ヤハ הַלְלוּ-יָהּ」です。

・シュトックハウゼン「ピアノ曲X」のアナリーゼ。
あまりの音の多さに、はじめはどこから手を付けて良いか分かりませんでしたが、きっかけさえつかめば思ったよりもシンプルで整然とした構造になってます。
8月23日の大井氏のリサイタルでの上演曲。
(先日演奏中止になったシェーンベルク・川島素晴編「黄金の仔牛の踊り」の初演もここで予定されています。)

ちなみにシュトックハウゼンといえば、「自然の持続時間」でピアノの減衰音が完全に消えるのを待たずに次のフレーズへ行って云々、という感想が多かったので(私も同じことを感じましたが)、ベンヤミンに遅ればせながらメールで聞いてみると、やはりシュトックハウゼンの指示でそうしたということです。はじめは几帳面に音が全部消えるのを待っていたが、待ちすぎずに次へ行くように、と言われた、ということです。
この作品のCDがあと数日で到着するはずですので、そこでさらに詳細にチェック出来るかと思います。

・シュトックハウゼン「シュピラール」の練習
こちらは7月のシュトックハウゼン講習会に備えて。
さすがに1年前にもやっているので、その時は結構あたふたしていた感覚が減り、かなり余裕を持って演奏出来るようになりました。
一見好き勝手に演奏すればよさそうな印象を持たれがちですが、きちんとやろうとすると極めて難しいのです。

しかし、入ってくる短波放送のほとんどが中国語というのは音楽的ヴァラエティの面から問題です。

・iTunes Storeでお買い物
先日紹介したアーノンクール以外にも大量に購入してしまいました。
ベティ・デイヴィス(マイルスの一時期の奥さん)のアルバム、ここでやっと聴くことができましたが、これは激ヤバのファンクで、こんな人と結婚したからこそ70年代のドロ沼のような音楽へと進化できたのかと納得。
ジョニ・ミッチェルの「コヨーテ」(ジャコ・パストリアスとのデュオ・アルバム)もなかなか良いですね。
その他、クリスチャン・ウォルフ、リュック・フェラーリ、ヴァレーズなども購入。

・巨人の星
冬くらいからずっと見続けていますが、やっと3巻目(1巻辺り10枚セット)のDVDに突入、大リーグボール2号もう少しで完成です。
しかし、次回予告で次の回のオチが分かってしまうのはどうなんでしょう。。


iTunes Storeに大量のアーノンクールのアルバムが追加されました。
以下のバナーからアーノンクール関連音源へアクセスできます(要iTunes)。

Nikolaus Harnoncourt

キャシー・バーベリアンと共演したモンテヴェルディ・アルバム、メンデルスゾーンの交響曲、魔弾の射手、バッハのカンタータなど、現在手に入りにくい音源も含め、大量に追加されているだけでも驚きですが、もっとすごいのは価格です。

ベートーヴェンの交響曲全曲、序曲集、ヴァイオリン協奏曲、荘厳ミサ、プロメテウスの創造物すべて合わせて1500円というのが最も凄まじいですが、その他お買い得価格のものも多いです。ただし、同種の音源の違うフォーマットの物が重複して登録されていて、買い方によって安くなったり高くなったりするのでこれには注意が必要です。

ベルリン・フィルとのブラームスの交響曲全集など、ずっと気になっていて買わずじまいだった音源がいくつかあったので、まとめていろいろ購入しました。

音質的にはCDを買った方が良いのですが、忙しくて家でゆっくり聴く時間がなく、出先でiPodでの聴取がほとんど、というのと(この状態で聴くには十分な音質)、現時点ですでに大量のCDが家に溢れているので、スペース節約という目的もあり、iTunes Storeは結構お世話になっています。

ひそかにジョン・ケージのナンバー・ピースがそれなりに充実していたり、ジャズ系だとブルーノートの古典的なアルバムが1000円以下で買えたりと、うまく使うと手軽に様々な音源を集めることが出来ます。


前回の日記で書いた通り、5月7日のシュトックハウゼンのコンサートでピアノを弾くベンヤミン・コブラーが出演する「熱狂の日」のコンサートに行ってきました。

私の聴いたプログラムは、バルトークの「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」とストラヴィンスキーの「結婚」の2曲で彼は「結婚」の第4ピアノを担当でした。

友人の彼が出ていることとは無関係に、とても楽しめるコンサートでした。
ピアノ+打楽器という組み合わせを考えると、この「ソナタ」と「結婚」というのは絶品な組み合わせですね。
リハ時間が極端に短くて、とぼやいていましたが、全くそれを感じさせない演奏でした。
彼らにとっては「えいっ」という感じでもできるのでしょう。

バルトークからストラヴィンスキー用への忍者並みの舞台転換(間に休憩なしなので、全員がこの転換を凝視していました)のあと、「結婚」の演奏者が入場してきましたが、飛行機の荷物運搬のトラブルで合唱団員の衣装が届かず、全員「熱狂の日」のスタッフTシャツを着ての演奏でした(ズボンは普段着)。
ロシアの農村の結婚式を題材とした作品なので、これもありでしょう。

ごく僅かな乱れはあったものの、短期間のリハ(前日1時間半、当日15分!)での演奏とは信じられない一体感のある演奏で、複雑な変拍子も完全に手の内に入っていました。
スコア表記より若干速めのテンポもとてもエキサイティング(早口のロシア語を喋らなくてはならない歌い手にとってはスリリングだったでしょう)でしたし、コーラスのアンサンブルは圧巻でした。
意外に終結部の簡単な和音のアタックが揃わなかったり、ということもありましたが(何度かこの和音を繰り返すたびに揃ってきたので、やっぱりリハ不足なのだと納得)、それは許しましょう。

それにしても、バルトークもストラヴィンスキーも曲目解説が3行ずつ、というのにはある意味職人魂を感じました。(しかも、その下にものすごい余白がありました)
ストラヴィンスキーは「とにかく強烈なリズム」のような言葉、バルトーク作品では貴重な3行中の1行を「初演時の譜めくりはショルティ」という記述に使ってしまうのにも苦笑しました。

終演後、ベンヤミン夫妻に会い、流れで、また一緒に食事をすることになりました。

彼らと楽屋口から出ると、出待ち風のお客さんがずらっと並んでいて、彼もサイン攻撃に会い、まんざらでもない様子でした。
ラウラ(ベンヤミンの奥さん)はその様子がおかしいようで、サインをする姿を写真におさめていました。

別の演奏者と新宿で一緒に食べようと約束していたらしいのですが、よく話を聞くと新宿駅の裏に日本風の店(屋台?)があるからそこで、というだけの約束で、どの出口か、店の名前は何なのかも分からず、結局3人で和風の居酒屋に行きました。

掘りごたつのお店で、たこわさび、焼き鳥、ほっけなどを楽しんでもらいました。

ベンヤミン夫妻でバルトークの「ソナタ」を演奏したことがあることや、ラウラはアルゲリッチがこの曲を演奏した時の譜めくりを担当して、毎回極端に違うアプローチで弾くので譜めくりの立場としては非常にスリリングだったなどの話も聞きました。

このバルトーク+ストラヴィンスキー・プロは本日もう一度本番があります。
「結婚」はたまたま、ここ最近日本で演奏されることも多いですが(私もその内の一公演でソリストとして演奏しました)、4台ピアノがネックでなかなか上演されにくい曲で、残席も若干あるようですので、お越しになることをお薦めします。


とある知人より紹介してもらったこのページを見て切ない気持ちになりました。

音大生なら聴いておきたい100曲

このようなリストを作らないと、音大生なのに自分のさらっている曲以外は何にも曲を知らない、という悲惨な現状を象徴していますが、このリストを見ても、こんな基本的な曲すら入ってない!、というのはいくらでも出て来ます。
そういったものも含めて、この中の大部分の作品くらいは音大に入学した時点で知っているのが本来の姿だと思いますし、「音大生」になったのならこの何十倍の曲に触れなくてはいけないはずけれども。。。

ただ、私が大学の教員としてこうしたリストを作らなくてはならない状況になった場合、「適切な」100曲を選ぶというのは無理な話ですし、どうしてもその人の好みが出て来てしまいます。

それならいっそのこと、自分の好み丸出しの偏りまくった「基本」100曲リストを作ってみたらどうなるかと思い、作ってみました(時代の古い順に並んでいます)。
絞り切れず思い切ってざっくり割愛した曲も多いですし、交響曲数曲をまとめて1曲扱いにしたり、と実際は100曲以上になっているのですが、こんな感じです。

ペロタンのオルガヌム各種
マショー:「ノートルダム・ミサ曲」
オケゲム、ジョスカン・デ・プレ、パレストリーナ、ジェズアルドの諸作品
モンテヴェルディ:「オルフェオ」
モンテヴェルディ:「聖母マリアの夕べの祈り」
バッハ:「マタイ受難曲」
バッハ:「ロ短調ミサ」
バッハ:「ゴールトベルク変奏曲」ほか鍵盤楽器のための作品各種
バッハ:「フーガの技法」
バッハ:「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」
ハイドン:「天地創造」
ハイドン:「四季」
モーツァルト:交響曲各種(特に後期)
モーツァルト:ピアノ協奏曲各種(特に後期)
モーツァルト:「ハ短調ミサ」
モーツァルト:「レクイエム」
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」
ベートーヴェン:交響曲(3番以降)
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲各種(特に後期)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ各種
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲3〜5番
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
ベートーヴェン:「荘厳ミサ曲」
ベルリオーズ:「幻想交響曲」
ベルリオーズ:「レクイエム」
シューベルト:「冬の旅」ほか歌曲各種
シューベルト:大ハ長調交響曲
シューマン:「詩人の恋」ほか歌曲各種
ブラームス:交響曲各種
ブラームス:室内楽曲、歌曲各種
ムソルグスキー:「ボリス・ゴドノフ」
ヴァーグナー:「トリスタンとイゾルデ」
ヴァーグナー:「ニーベルングの指輪」
ヴァーグナー:「パルジファル」
ブルックナー:交響曲各種(5番以降)
マーラー:交響曲各種(特に6番以降)
スクリャービン:「プロメテウス」
スクリャービン:ピアノ・ソナタ(5番以降)、ピアノ曲各種(後期)
ドビュッシー:「海」
ドビュッシー:「遊戯」
ドビュッシー:「前奏曲集」
ドビュッシー:「12の練習曲」
シベリウス:交響曲各種(特に4番以降)
シェーンベルク:室内交響曲第1番
シェーンベルク:弦楽四重奏曲第2番
シェーンベルク:「月に憑かれたピエロ」
シェーンベルク:「管弦楽のための変奏曲」
シェーンベルク:「モーゼとアロン」
ベルク:「ヴォツェック」
ベルク:「ルル」
ヴェーベルン:作品番号のついた全作品
ストラヴィンスキー:「春の祭典」
ストラヴィンスキー:「結婚」
ストラヴィンスキー:「詩篇交響曲」
ストラヴィンスキー:「ムーヴメント」
ストラヴィンスキー:「レクイエム・カンティクルス」
バルトーク:弦楽四重奏曲(3番以降)
バルトーク:「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」
バルトーク:ピアノ協奏曲(第1番、第2番)
ヤナーチェク:「シンフォニエッタ」
ヴァレーズ:「イオニザシオン」
ヴァレーズ:「アンテグラル」
ヴァレーズ:「アルカナ」
ヴァレーズ:「砂漠」
メシアン:「世の終わりのための四重奏曲」
メシアン:「トゥーランガリラ交響曲」
メシアン:「4つのリズムの練習曲」
メシアン:「鳥のカタログ」
メシアン:「峡谷から星たちへ」
メシアン:「アッシジの聖フランチェスコ」
ブーレーズ:ピアノ・ソナタ(第2番、第3番)
ブーレーズ:「構造I, II」
ブーレーズ:「主のない槌」
ブーレーズ:「プリ・スロン・プリ」
シュトックハウゼン:「少年の歌」
シュトックハウゼン:「グルッペン」
シュトックハウゼン:「コンタクテ」
シュトックハウゼン:「モメンテ」
シュトックハウゼン:「ヒュムネン」
シュトックハウゼン:「シュティムング」
シュトックハウゼン:「祈り」
シュトックハウゼン:「シリウス」
シュトックハウゼン:「光」
ケージ:「ソナタとインターリュード」
ケージ:「ピアノと管弦楽のためのコンサート」
ケージ:不確定性を用いた作品各種
ケージ:ナンバー・ピース各種
リゲティ:「アトモスフェール」
リゲティ:「アヴァンチュール」
リゲティ:「ピアノのための練習曲」(第1巻、第2巻)
リゲティ:ヴァイオリン協奏曲
ベリオ:「シンフォニア」
ナンカロウ:プレイヤー・ピアノのための作品各種
ライヒ:「ドラミング」
グラス:「浜辺のアインシュタイン」
ヤング:「ウェル・チューンド・ピアノ」
シェルシ:「山羊座の歌」
フェルドマン:「コプトの光」ほか各種(特に後期)
クセナキス:「オレステイア」ほか各種
ラッヘンマン:「マッチ売りの少女」

日本人作曲家は省いてありますが、5人代表的な人を選べ、と言われたら、武満徹、湯浅譲二、松平頼則、松平頼暁、近藤譲の各氏を選ぶことになるでしょうか。
他の人の100曲リストも見てみてみたいですね。


yuji_bach_concerto.jpgyuji_bach_goldberg.jpgyuji_bach_fuge.jpg

高橋悠治の旧譜が大量に再発されましたが、その中からバッハを電子楽器で演奏したものを紹介します。
一つ目は「クラヴィーア協奏曲集」。基本的にスタインウェイで弾いていますが、2つの協奏曲の第2楽章では電子ピアノ(フェンダーローズ)に換えての演奏となってます。不思議な事に、前後のアコースティック・ピアノで弾いている楽章と繋げて聴いてもほとんど違和感がありません。

二つ目は「ゴルトベルク変奏曲」。本編の方はアコースティック・ピアノですが、付録として収められた「14のカノンBWV1087」ではローランドのシンセサイザーによる演奏で、非人間的且つ暖かみをもったプログラミングが秀逸です。ほとんどが20秒〜40秒のごく短いカノンばかりですが、思わず繰り返し聴いてしまいます。

極め付けは「フーガの技法」をシンセサイザー(ムーグ、EMS)で演奏した「フーガの[電子]技法」です。これは、ふざけているのかと思いたくなるほどに、バッハの原曲を徹底的に解体してしまっています。極端なトレモロやヴィブラートをつけたり、オリジナルのピッチがほとんど分からないくらいの強烈なモジュレーションをかけたりと、いかにも「電子音」的なプログラミングを施している時点で原曲のフォルムがかなり崩れているのに、テンポはヨレヨレ(各声部の縦のラインが揃っていないところも数多くありますが、クリックトラックなどを使わずに多重録音を行ったのでしょう)、和声の整合性などお構いなしに一部の声部にディレイを掛ける事によってハーモニーもポリフォニーも極度に混濁している部分もあります。同じ声部でも曲の途中で音色がどんどん変化していくように構成していますが、何らかの統一的な規則性がある様子はなく、気まぐれに音色を変化させているように聞こえます。

バッハの意図したポリフォニーは無残なまでに破壊されていますが、上記の様々な音響操作によって、様々な音色の電子音によるポリフォニーが、バッハのフーガに寄生して奏でられる高橋悠治のオリジナル作品だと思って聴くのが正解ではないでしょうか。

バッハと電子音の相性は非常に良いですが、彼の音楽の持つ抽象性がそのような特性を持たせているのでしょう。
電子音との相性が良いクラシック音楽の作曲家でぱっと思いつくのはバッハ以外に後期ヴェーベルンくらいかな?などと思案していると、ルネサンス及びそれ以前のポリフォニー音楽はかなりの割合でOKではないか、ということに気付きました。
そういえば、大昔、マショーの「ノートルダム・ミサ曲」をMIDIに打ち込んで、2xリコーダー、2xフィードルという音色の設定にするとなかなか優雅かつ作品の隠れた魅力を再発見する結果になったことを思い出しました。


gould_wagner.jpg sow.jpg

ヴァーグナーの音楽から壮大さを取り去ると何が残るかを試してみた2種類の異色アルバムを紹介します。

一つ目はグレン・グールドによるヴァーグナーの作品集「Gould Conducts and Plays Wagner」。
生涯で唯一の指揮者としての演奏となる「ジークフリート牧歌」の異常に遅いテンポの演奏も面白いですが(同曲のピアノ編曲版も併録)、グールド自身がピアノ独奏用に編曲した「マイスタージンガー」や「神々の黄昏」からの抜粋の演奏が彼らしい独特な仕上がりになっています。大オーケストラの重厚で濃厚な色彩が、ピアノの乾いたモノクロームな響きへ置換される事により、ヴァーグナーの音楽のポリフォニックな側面が浮き彫りになってきます。特に「マイスタージンガー」の前奏曲はバッハがあと100年長生きしていたらこのような曲を書いたのでは、と思わせるほどの非ロマン的且つ疑似バロック的な解釈で演奏され、多重録音も駆使して複雑な対位法を活き活きと描いています。
「神々の黄昏」もピアノをオーケストラのように鳴らす事には全く興味がないようで、半音階的な和声やモチーフ、テクスチュアの不断の変容のみに焦点を当てたストイックな解釈は、ヴァーグナーの音楽から壮大さを取り除いても彼の音楽の素晴らしさには全く影響がない、つまりヴァーグナーの音楽は「初めに壮大さありき」ではないという事を強く示しています。
非ロマン的な演奏ではありますが、無味乾燥に陥ることなく、内なるエクスタシーに満ちた演奏になっているところも興味深いです。

もう一つの異色ヴァーグナー・アルバムはCurd Ducaによる、その名も「switched on wagner」というアルバムです。ヴァーグナーの曲をシンセで、というのは一見ありがちな企画のように思われるかもしれませんが、このアルバムでは重厚なシンセのハーモニーでヴァーグナーの壮大な作品を、という期待を完全に裏切ってくれます。
副題が「minimalistic mood music」とありますが、携帯電話の着信音にもできそうな「かるーい」「うすーい」ヴァーグナーに仕上がっています。鍵盤ハーモニカのような音色にプログラミングされたムーグ・シンセサイザーで「ヴァルキューレの騎行」を単音(!)で超絶的に演奏したり、口笛風の音色によるこれまた超絶的な単音演奏による「タンホイザー」、ディレイを効かせたエレクトロニック・ベースの音色の「ローエングリン」の「婚礼の合唱」(これも単音)など、微笑ましいトラックが続きます。
その他「マイスタージンガー」「ジークフリート」「パルジファル」なども収録されていますが、全11曲収録で総演奏時間36分という非ヴァーグナー的な短さも「ミニマル・ヴァーグナー」の面目躍如です。


kangengaku.jpgクラシックの作曲家の方々で、これを読んでいなければモグリであろう名著、ベルリオーズ、シュトラウスによる「管弦楽法」の邦訳が出版されました。この著作の存在はずっと前から知っていたものの、邦訳本出版を期に遅まきながら読んでみました。
この本は基本的にオーケストラの楽器の用法を説明したものですから、オーケストラ曲を書いてみようと思う作曲家の人のための「参考書」の意味合いが一番大きいとは思うのですが、深く音楽を楽しみたい愛好家の人にとっても非常に楽しめる本だと思います。
ワーグナーへの愛情がひしひしと感じられるシュトラウスの加筆部分も興味深いのですが、当時の楽器の機能(特に管楽器)や音楽事情が垣間見られるベルリオーズの書いた部分は非常に面白いです。
同時代の二流作曲家のひどいオーケストレーションを具体的な楽器法を挙げて非難している部分の辛辣さも面白いですが、無能な指揮者、オーケストラ奏者などを徹底的にこき下ろしている記述は痛快そのものです。
無能で年老いた合唱指揮者が速いテンポの曲を振ってもすぐに老化した体の血液の循環になじむ中庸のテンポに落ち込んでしまう、などの記述からは情景がありありと浮かんできます。
オペラでよくある舞台裏の合唱団への指揮は、現代ではTVモニターを使って簡単に出来ますが、そのようなもののなかった当時は特殊な機会でテンポを伝えようとしたという話などものっています。

特筆すべきは「声楽」という一章が設けてあるところでしょう。
音域や、フレーズと演奏しやすさの関係などの詳細な記述は、声楽家である私の目で読んでも非常に的を得ていて、大いに感心しました。
フランスやイタリアの合唱曲でソプラノを2声に分けアルトを欠く書法がありますが、その辺の事情もよく分かりました。

ちなみにI氏による昨日初演された新作オペラでは、やってはいけない、とこの本で釘を刺されている劣悪な声楽書法に満ち溢れていたりするのですが、、、(汗


以下のページでベートーヴェンの第九の自筆譜が「全ページ」閲覧できます。

http://beethoven.staatsbibliothek-berlin.de/de/sinfonien/9/index.html

画質も良好で、ある程度拡大してみる事もできますけど、ベートーヴェンが「格闘」して作ったのがよく分かって面白いです。出版社によってアーティキュレーション、ピッチの違いも多い曲なのですが、その辺も自分でチェックできるのは「実用」面でも非常にありがたいです。

自筆譜といえばシェーンベルクの自筆譜をネット上でかなり沢山見られるサイトがありますし、アーノンクールのモツレクの新録音のCDのおまけに自筆譜が見られるソフトも付いているのもお得です。
ほかに自筆譜がネットで見られるところってありませんかねえ?
この手の物を購入しようとするとやたら高くて躊躇してしまうのです。


いろいろな方からの情報も頂きましたので、生年順にまとめてみます。

ヴェルクマイスター1645-1706 没後300年
パッヘルベル1653-1706 没後300年
マレ1656-1728 生誕350年
モーツァルト1756-1791 生誕250年
ブルクミュラー1806-1874 生誕200年
レーガー1873-1916 没後90年
ファリャ 1876-1946 生誕130年、没後60年
レスピーギ1879-1936 没後70年
ピストン1894-1986 没後20年
宮城道雄1894-1956 没後50年
タンスマン1897-1986 没後20年
デュルフレ1902-1986 没後20年
ショスタコーヴィチ1906-1975 生誕100年
クレストン1906-1985 生誕100年
池内友次郎1906-1991 生誕100年
松平頼則1907-2001 没後5年(生誕99年)
ブリテン1913-1976 没後30年
石桁真礼生1916-1996 没後10年、生誕90年
柴田南雄1916-1996 没後10年、生誕90年
デュティユー1916- 生誕90年
アイネム1918-1996 没後10年
クセナキス1922-2001 没後5年
エヴァンジェリスティ1926-1980 生誕80年
フェルドマン1926-1987 生誕80年
チュードア1926-1996 生誕80年、没後10年
ヘンツェ1926- 生誕80年
八代秋雄1929-1976 没後30年

あとジャズの世界では、

マイルス・デイヴィス1926-1991 生誕80年、没後15年
ジョン・コルトレーン1926-1967 生誕80年
クリフォード・ブラウン1930-1956 没後50年


情報をご提供下さった、iioさん、りろさん、閘門大師さん、dolphyさん、いしづかさん、ありがとうございました。


日本人の作曲家で調べてみると

池内友次郎1906-1991 生誕100年
石桁真礼生1916-1996 没後10年、生誕90年
柴田南雄1916-1996 没後10年、生誕90年
松平頼則1907-2001 没後5年
宮城道雄1894-1956 没後50年
八代秋雄1929-1976 没後30年

というのがでてきました。
何と言っても池内友次郎生誕100年というのが渋すぎます。
私にとってはどうしても和声の教科書とかをすぐ連想してしまうもので。。。

あと海外の作曲家でも

クセナキス1922-2001 没後5年
タンスマン1897-1986 没後20年
レーガー1873-1916 没後90年
レスピーギ1879-1936 没後70年
ピストン1894-1986 没後20年
ヘンツェ1926- 生誕80年
デュルフレ1902-1986 没後20年
アイネム1918-1996 没後10年
ファリャ 1876-1946生誕130年、没後60年
ブリテン1913-1976 没後30年

まあ、ちょっと苦しいのもありますが。。。
タンスマンとかピストンとか結構最近まで生きてたんですね。
あと、デュルフレも。


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おしらせ

双子座三重奏団うるう日ライヴ
2012年2月29日19:00-
門仲天井ホール

双子座2012チラシtogo.jpg

中川俊郎:バッハーズ・アロウ
森田泰之進:こうふくのしま
鈴木治行:蛇行
山本哲也:スライドホイッスル三重奏曲
ケージ:ラジオ・ミュージック
ほか

出演:
曽我部清典(トランペット)
中川俊郎(ピアノ)
松平敬(声)

コンサート詳細はこちらまで

■タリス:40声のモテット
(一人の歌手による多重録音)

ご試聴、ご購入は以下まで
iTunes
e-onkyo music
OTOTOY

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》

 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006
平成22年度文化庁芸術祭
レコード部門優秀賞受賞作品

文化庁芸術祭シンボルマーク

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ご購入は以下まで:
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