- ケルン歌劇場:シュトックハウゼン《光の日曜日》全曲初演(5月1日ほか)
- サントリー芸術財団サマー・フェスティバル「映像と音楽・室内楽」(8月27日)
- 音楽の複数次元 ジョン・ケージ『ヴァリエーションズVII』(1月29、30日)

木曜日の低音デュオ・ライヴ、お陰さまで無事に終了しました。
ご来場の皆様、心より感謝申し上げます。
重量級の委嘱作3作に加えて、モンテヌス写本から5曲が演奏されましたが、その正体が演奏後に明かされました。作品を提供していただいた若手作曲家の皆さんに敬意を表し、以下にその作者をお知らせします。
Bichemeus: Summa Monténuss(モンテヌスの主)→山本哲也
Pineus Parallelius: Totus floreo(花咲き乱れ)→松平敬
Machaut/Liberpons d'ageous: Phyton, le mervilleus serpent(不可思議の蛇フィトン)→橋本晋哉
作者不詳:Astra polorum(天上の星)→田口和行
Gouci Fosso-quivar: Volui obviam.→細木原豪紀 《Volui obviam.》がなぜか、大きな話題を呼びましたが、プログラムに掲載したものよりもより鮮明な「ファクシミリ画像」をこちらから見ることができます(禁断のあの3文字も確認可能。。)。 それぞれ、大変こったネタ、設定を考えてもらいましたが、各氏のツイッターなどでその解説を読むことができます(どなたかコメントなどでリンクをはってくださると助かります)。 私の担当曲の「設定」も、実は以下のように必要以上に考えていましたので、ご参考までに掲載しておきます。 ---
《Totus Floreo》の作曲者はPineus Paralleliusであるとされている。しかし、この作曲家に関しては、その作風から12~13世紀頃に活躍したらしいこと、当時のヨーロッパ人としては異例なまでに東洋の音楽理論に精通していたこと以外、その生涯は謎に包まれている。
モンテヌス写本の記述によると、この作品は、東洋からヨーロッパに伝わったとされるルイザワカ写本(現在は所在不明)に掲載され、当時のヨーロッパでちょっとしたブームになっていたらしい、ある東洋の民謡をもとに作曲されている。
その民謡は、春、花が咲く情景を描いているとされるが、歌詞に記述された東洋文字が部分的にしか解明されていないため、その詳細は不明、そもそも「東洋」の具体的な国名に関してすら、いまだ明らかになっていない。その歌は、「東洋」で使用されていたと思しき独特な記譜法による楽譜が、ルイザワカ写本に掲載されていたようであるが、この写本が失われた現在、その記譜法に関して知るすべはない。《Totus Floreo》では、当時のヨーロッパの音楽家がその楽譜からネウマ譜への変換を試みた3通りのリアリゼーションが、聖歌のように順番に挿入されるが、最後に現れるリアリゼーションはParallelius自身によるものであり、おそらくこのリアリゼーションが本来のメロディーの形に近いと推察されている。このメロディーは定旋律として、わずかな変形を伴いながらテノール声部に表れる。
歌詞は、当時のヨーロッパ人の演奏の便宜をはかり、当時よく知られていたと思われる《カルミナ・ブラーナ》(オルフの付曲が有名)からのラテン語のテキストが当てはめられている。
一方、前述のParallelius自身のリアリゼーションに基づく部分では、彼自身が試みた、その東洋文字の解読作業の成果が表れている。当時のヨーロッパ人が演奏しやすいように、(Paralleliusが想定した)原詞の発音に近いラテン語、あるいはそれに類似した「ラテン語もどき」が楽譜に書き込まれている。彼が解読しきれなかった箇所は前述のカルミナ・ブラーナからの歌詞にある単語などが適宜割り振られているようだ。
なお、楽譜には2本の曲線を組み合わせた不思議な記号が書き込まれているが、最近の研究で、これは演奏者のジェスチャーを指示しているらしいことが明らかとなった。これは当時の記譜法としては極めて異例であるが、Paralleliusの東洋音楽からの影響の反映、という見方が濃厚だ。
---
ついでに楽譜もどうぞ。
画像をクリックすると全ページを収めたPDFが開きます。
なぜ、このような偽名になったかは、勘の良い方ならすぐおわかりかと思います。


最近のコメント