CD77 テノール作品集

TIERKREIS Version 2003 for tenor and synthesizer
DIE 7 LIEDER DER TAGE(1986) for tenor and synthesizer
VISION(1980) for tenor, trumpeter, synthesizer and tape

演奏:
テノール:Hubert Mayer
シンセサイザー:Antonio Pérez Abellán
トランペット:Marco Blaauw (VISION)
サウンド・プロジェクション:Karlheinz Stockhausen

録音:2005年


「日曜日」のほぼすべての場面で登場するテノール・パートの初演を全て受け持ったフベルト・マイヤーの演奏をまとめたアルバムである。

TIERKREISは12の星座を表す12のメロディーを何度か繰り返しながら演奏するが、どのように繰り返すかは決められていない。今回の作曲者自身によるテノールとシンセサイザーのためのヴァージョンでは、これまでの彼自身によるヴァージョンと比べてもかなり自由にメロディーを変化させている。途中でテンポを極端に変えたり、メロディーの中の数分をCDの「針飛び」のように無機的に繰り返したり、「獅子座」でテノール歌手が突然ライオンのまねをしたり(失笑)と、1つのメロディーの多彩な側面を楽しめるようになっている。特筆すべきはアントニオによるシンセサイザーのプログラミングである。原曲のオルゴール風の音色を基本としつつ、様々な手法でその音色を変調し、鳥や猫の鳴き声を思わせるようなユーモラスなサウンドも織り交ぜ、この作品のもつ幻想的で可愛らしい雰囲気をうまく表現している。

DIE 7 LIEDER DER TAGEはカティンカによる歌唱の録音がすでに発売されているが、今回は「本職」の歌手による演奏である。原調での演奏だったカティンカ盤に対し、フベルト・マイヤーは完全4度上に移調した「高声用」のヴァージョンを演奏している。カティンカの演奏は子音のノイズ的側面を強調した「器楽的」な演奏に対して、フベルト・マイヤーは歌い手ならではの声の美しさを生かした演奏になっている。ややリバーブの深いカティンカ盤の録音に対して、当盤ではリバーブは少なめに抑えられているので唱法の細かい変化までクリアーに聴き取る事ができる。

VISIONは「木曜日」の最後を飾る神秘的な作品である。
最弱音で微かに震えるシンセサイザーの和音が背景で鳴り続け、トランペットとテノールが弱音を中心とした演奏を繰り広げる。終始極めて少ない音数で、テノールの無声音による歌唱とトランペットの気息音が結びつけられたり、沈黙の中を舌打ちのクリック音が時を刻むように静かに演奏されたりと、非常に緊張感の高い演奏が続く。作品の途中で「木曜日」の様々な場面がテープを演奏する事により回想されるが、この挿入句があるために弱音の緊張感がより高まっている。


関連作品:
・DIE 7 LIEDER DER TAGE(カティンカの演奏)CD63
・TIERKREIS(オルゴール版)CD24、(クラリネット版)CD32、(トリオ版)CD35
・「木曜日」CD30

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