CD11 プロツェシオン、セイロン

PROZESSION(1967)
   for tam-tam, electrochord, electronium, piano, filters and potentiometers

タムタム:Christoph Caskel, Joachim Krist
エレクトロコード:Péter Eötvös
エレクトロニウム:Harald Bojé
ピアノ:Aloys Kontarsky
フィルター、ポテンショメーター:Karlheinz Stockhausen

録音:1971年

CEYLON(1970) for small ensemble

エレクトロニウム:Harald Bojé
打楽器、シンセサイザー:Péter Eötvös
変調されたピアノ:Aloys Kontarsky
タムタム:Joachim Krist
キャンディ・ドラム:Karlheinz Stockhausen

録音:1975年

PROZESSIONはシュトックハウゼンの作曲活動の一つの転機に当たる重要な作品である。1960年に完成した「カレ」以降、完全に固定されたスコアによる作曲から遠ざかり、演奏による多義性、不確定性を追求していたが、それらは基本的に、演奏者が予め自分の演奏用のスコアをリアライズするという形で行われていた。しかしこの作品では、タイトルの由来にもなった素材の変容の「プロセス」のみが作曲され、演奏者は一種の即興演奏のような形でこれをリアライズする。素材は、シュトックハウゼンの過去の作品の一部が記憶に基づき引用されたものであり、細部は演奏者に委ねられている。この素材をどのように変容していくかは、+や-などの特別な記号によって指定され、音域、強度、持続、素材の分割法のいくつか、または全てが変容される。続くイヴェントの素材はここで演奏された音楽イヴェント、または他の演奏者によるイヴェントから取られるので、シュトックハウゼンの過去の作品の引用が、フィードバックを含む様々な経路で全く新しい音楽へとどんどん変形されていくことになり、その集積が(低質な即興演奏にありがちな、まとまりのなさとは対極の)「作品」としての構造感を生み出すことになる。

このような、即興演奏のプロセスを+や-などの記号で記譜する作曲方法はこの作品を皮切りにKURZWELLEN、SPIRALなどでも踏襲されるが、彼と緊密で継続的なコラボレーションを行っている演奏者による演奏を前提として作曲され、口述による演奏指示も重要な要素になっていく。こうした方向性はテキストによる演奏指示のみによる「直観音楽」へ到達することになる。

CEYLONは2作目の直観音楽集「来たるべき時のために」の中の一曲。完全にテキストのみによる1作目の直観音楽集の「7つの日より」に対して、この曲集では五線紙による伝統的な記譜法を使った作品も含まれ、このCEYLONはそうした傾向のものの一つである。この作品ではキャンディ・ドラムで演奏されるリズムが2ページに渡って詳細に記譜されているが、アンサンブルでの具体的な演奏方法は明示されていない。
この録音では、このリズムを7回繰り返し、それに注釈をつける楽器の種類、テンポなどの演奏計画を予め決め、それに基づいて実際の演奏が行われた。
ガムラン音楽そのものにかなり近い音響と、シュトックハウゼンらしい電子音響が不可思議なバランス感覚で融合した無国籍なサウンドは、シュトックハウゼンの全作品の中でも際立って特異である。

関連録音:CD17.1「来たるべき時のために」