・IN FREUNDSCHAFT(1977) for clarinet
録音:1979年
・TRAUM-FORMEL(1981) for basset-horn
録音:1983年
・AMOUR(1976) for clarinet
録音:1980年
クラリネット、バセットホルン:Suzanne Stephens
このCDはシュトックハウゼンのクラリネット作品を長年演奏し続けているスザンヌ・スティーヴンスの演奏によるクラリネット作品集であり、特にこのアルバムではシュトックハウゼンのクラリネット作品の「スタンダード」とでもいうべき定番曲が収められている。
「友情に IN FREUNDSCHAFT」は今や管楽器のコンクールの課題曲に選ばれるほど演奏頻度の高い作品で、様々な独奏楽器のための版も作られているが、オリジナルはこのクラリネット版である。
高音域、中音域、低音域に分けられた3つの層による疑似対位法による作品であるが、音程、リズム、音価のすべての面で正反対の性格を持つ(しかし同一の素材を起源とする)高音域と低音域のメロディーが、中音域で同じ音で繰り返されるトリルを仲立ちとして、素材を少しずつ交替しながら中音域へと歩み寄っていく構成を持つ。
「夢のフォルメル TRAUM-FORMEL」は「土曜日」第1場「ルツィファーの夢」の基本構造となる5層のフォルメルを疑似対位法で演奏する作品であるが、「友情に」よりもはるかに頻繁な音域の跳躍を伴う至難なテクニックを演奏者に要求すると同時に、聴衆にもこの複雑な対位法を把握するための集中的な聴取を要求する。しかしながら、バセットホルンの官能的な音色の特性をうまく生かした作品で、単なる超絶技巧の作品とは一線を画している。
「AMOUR(愛)」はクラリネットのための5つの小品集で、それぞれの作品はシュトックハウゼンの始めの結婚相手のドリス、二回目の結婚相手マリー・バウアマイスター、そしてこの作品の初演者であり実質的に3番目の妻である(籍は入れていない)スザンヌ・スティーヴンスなど、彼の愛した女性たちに捧げられている。
このような作曲事情も反映して、「前衛音楽の旗手」として知られるシュトックハウゼンのイメージからは程遠いチャーミングな作品ばかりで構成される。
どの作品でもメロディーによる作曲の様々な側面が追求されているが、「蝶が遊んでいる」での素早い跳躍音程の連続や、「4つの星があなたの道しるべとなる」での4音のモチーフのミニマル音楽を思わせるゆっくりとした変容を伴う繰り返しなど、気楽な小品集に留まらない創意に満ちている。
関連録音:
CD29:「友情に」、「アムール」フルート版
CD32:「友情に」バセットホルン版
CD44:「友情に」トロンボーン版
CD60:「友情に」トランペット版
CD78:「友情に」、「アムール」サクソフォン版
