CD35 「上唇の踊り」、「アヴェ」、「十二宮」トリオ版

OBERLIPPENTANZ(1983)
   for piccolo trumpet, euphonium, 4 horns, 2 percussionists
   ピッコロ・トランペット:Markus Stockhausen
   ユーフォニウム:Michael Svoboda
   ホルン:Gernot Scheibe, Gaby Webster, Ralph Warné, Marcie McGaughey
   打楽器:Robyn Schulkowsky, Mircea Ardeanu
   録音:1985年

AVE(1984/85) for basset-horn and alto flute
   バセットホルン:Suzanne Stephens
   アルト・フルート:Kathinka Pasveer
   録音:1989年

TIERKREIS Trio-Version(1975/83)
   for clarinet, flute and piccolo flute, trumpet and piano
   クラリネット:Suzanne Stephens
   フルート、ピッコロ:Kathinka Pasveer
   トランペット、ピアノ:Markus Stockhausen
   録音:1991年

このアルバムはシュトックハウゼンの長年のコラボレーターであるマルクス・シュトックハウゼン、カティンカ・パスヴェーア、スザンヌ・スティーヴンスの3人に焦点を当てた様々な編成による作品がまとめられている。

「上唇の踊りOBERLIPPENTANZ」は「光の土曜日」の第3場面「ルツィファーの踊り」のピッコロ・トランペットが活躍する部分を抜粋し若干のアレンジを加えた作品。
高音域での跳躍音程が頻出する素早いテンポのフレーズは、古今のトランペット作品の中でも随一のテクニックとスタミナを必要とするが、マルクス・シュトックハウゼンがいとも易々と演奏してしまう様は驚きだ。
後半は器楽伴奏なしのピッコロ・トランペットのみによるカデンツァになるが、ステージの床に仰向けになって最高音域を吹き続ける場所でクライマックスを迎える。

「AVE」は「光の月曜日」第3幕の前半部分をバセット・ホルンとアルト・フルートの二重奏用にアレンジした作品で、メルヘン的で優美な二人の動きを伴って演奏される。
バセット・ホルン、アルト・フルートという官能的な音色の組み合わせによって、微分音を多用した走句や、気息音などのノイズ的音響の絶妙な組み合わせの美しさは、長大な「光」の中でも上位に属するレヴェルで、オペラのオリジナル版での合唱やシンセサイザーなどのパートが割愛されている分、この2つの楽器の美しい絡み合いの肌触りに、より親密に触れることができる。
この作品をバセット・ホルンまたはアルト・フルートのソロ作品として演奏できるようにさらに再構成した「スザーニ」「スザーニのエコー」「エーファの鏡」といった派生作品も作られている。

様々な編成による版の存在する「十二宮 TIERKREIS」のシュトックハウゼン自身によるこのトリオ版は、シュトックハウゼンの3人のコラボレーターでの演奏を想定して作成されたが、それぞれのメロディーの音色、テンポ、音域など様々な側面におけるヴァリエーションの豊かさのお陰で、原曲のシンプルな12のメロディーを飽きることなく一気に楽しむことができる。
器楽アンサンブルによる版ではこのヴァージョンがもっとも完成度が高いといえるであろう。

関連録音:
CD34:「光の土曜日」全曲
CD36:「光の月曜日」全曲
CD43:「上唇の踊り」(ピッコロ・トランペット・ソロ版)
CD44:「下顎の踊り」
CD57:「舌先の踊り」
CD28:「舌先の踊り」(ピッコロ・ソロ版)、スザーニのエコー
CD59:「右眉毛の踊り」
CD79:「鼻翼の踊り」
CD24:TIERKREIS(オルゴール版)
CD32:TIERKREIS(クラリネットとピアノによる版)、スザーニ、エーファの鏡
CD77:TIERKREIS(テノールとシンセサイザーによる版)